表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

魔王を倒した元勇者の三十路、のんびりギルド長

作者: 薫納豆
掲載日:2026/03/01

魔王を倒した元勇者の話です。

「今日からギルド長をさせてもらう」

そして、俺の名前を口にする。

「よろしくな」

俺は精一杯の笑顔で言い、頭を下げる。


ジロジロ。

ああ、見られてる、外見チェックされてるよ、俺。

ギルドの受付嬢たちに、外見チェックされてるよ。


『この世界』にはネクタイはないから、シャツにズボンっていう格好で来たんだが。

三十路のオッサンだから、がっかりされてるかもしれんが。


「初めまして、ギルド長の教育係をさせてもらう、サエ・ティリ、と言います」

笑顔で言ってくる。

高校生くらいに見えるのに、凄い子なのか。

「チリさんか」

チリ、確かフランスの近くだったか? 覚えやすいな、うん。

「ティリです」

少し怒気が伝わってくる。

「あ、ああ、ごめん」

「気を付けて下さいね、本当に」

怒ってるよ。

「すんません」

俺は頭を下げる。

「そうだ。

これ、お菓子を持ってきたから、よかったら、どうぞ」

「オカシッ」

「うん?」

いきなりの高速詠唱だったら分からなかった。あと、なんか目がキランって光ったような。

「ありがとうございます。

じゃあ、今日からお願いしますね」


高校生だった俺は異世界召喚され、三十路で魔王を倒した。

元の世界に戻ったら無職確定、言葉も忘れたし。

だが、戦うのは厭きた。

そして、運よくなれた、ギルド長。


ぼちぼち、平和的にいこう。




「就任祝いだ!」「酒が美味い!」


ギルドの真ん中のテーブルで、酒を乾杯する冒険者たち。

俺の知り合いではない、てか、俺はギルドに所属してなかったから、ギルドのことはよく分からない。


いいんだろうか、ギルドで酒を飲んで。

ラノベでは、よくあったけど。


「(なんとかしろよ、ギルド長)」

チ、いや、ティリから、伝わってくる、無言の圧。


えー。

どうしよっかなー。

戦いたくないし、かと言って上手いあしらい方も思い付かないし。


本当、どうしよう。


「どうだ!? 新ギルド長!」「勇者だったんだろ!? 豪快にいかねえか!!」

「いや、今はやらない」

「前のギルド長だったら」

ティリから呟きが。

ため息と一緒に。


どうしろと。




「美味いっ」「ギルドで飲む酒は最高だ!」


「ギルドは酒場じゃないんですから、断ってくれないと困ります」

真剣、しかし少し困った顔で言われる。

「そうなのか」

「はい、そうなんです」

ティリにうなずかれる。

「参ったな」

「は?」

「あ、いや」

「はい」

なんだろう、一瞬鬼の形相で睨まれたような。


やっばり、肩書きよりも、入った順番なんだろうか。

日本と変わんねえや。


俺、ギルド長…。


「じゃあ、今回は私が注意して来ます」

「お願いしやす」


そして、歩いていく。


「すみません」

「酒出してくれるのかっ」「最高だぜっ」

絡まれる。

「ギルドは酒を飲む所ではありません」

「早く出せっ」「早くっ」

「あ、あのっ」

いや、完璧に困ってる。


前のギルド長が、断ってくれていたのだろう。


けど、

「ここじゃ酒は飲むな」

俺は近付き、2人に言う。

そして、

「出ていけ」

殺気を込め、言う。

「受付嬢に迷惑かけるな」

殺気を強める。


戦いたくはないが、受付嬢が困るなら話は別だ。


魔王を倒した元勇者の殺気で、2人は逃げていった。




「本当、あのオッサンは最悪」「けど、助けてくれてよかったじゃないっスカ」「もっと早く助けろよ」

耳の集中力を落とす。

ティリと受付嬢(名前覚えないとな)の裏での話し声が聞こえてきた。


ギルド長なんだから、もう少し敬ってくれても。

入った順番か。


「お菓子おいしーっ!」

おっと、もう少し集中力を落とさないといけなかったらしい。


サエ・ティリ、このギルドのまとめ役。

たまに怖い人受付嬢。

そして、甘いものが大好き。


この人は覚えた。


ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ