淫紋が刻まれたヒロインと、その実行犯についての推理
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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水鏡アレーテは、新しい友人に紹介してもらう形で、1年4組にいる綾ノ瀬奈々美と会った。
あまり使われない外階段の踊り場で、向き合う。
底辺に近い本川高校から浮いている、ザ・お嬢様といった風貌。
よく手入れされた長い黒髪は、ストレートのまま。
知的な美人といった顔のペール・ブルーの瞳は、困惑ぎみだ。
お行儀よく、体の前で降ろした両手を重ねたままで、問いかける。
「1年2組の水鏡さん……。お兄様からの頼みで?」
「ええ! わたくしの兄も、じきに転入してきますわ!」
色っぽく息を吐いた奈々美は、首を横に振った。
「帰ってください! これ以上、巻き込むわけには……。私は、生徒会長の古波津さん、あなたの担任でもある浅岡先生と連携しています。今日の夜に、駅の近くの公園のトイレへ行って行方不明の女子と会う予定で――」
キリッとした表情で話す奈々美だが、正面から近づいたアレーテがセーラー服の上下の隙間から入れた片手でお腹をなぞられ、腰砕けになった。
「ふっ! くうぅうううっ……。やめてください!」
ダウン寸前のボクサーがリングロープにつかまるように、手で体を支える奈々美。
そのせいで、アレーテが差し込んだ手を払えない。
ニタァッと笑ったアレーテは、その片手を動かしながら、指摘する。
「こんな状態で? よく、これで日常生活を送れる……。1回いって、楽になりなさい」
お腹の上からさすり続けたら、奈々美が大きく鳴いて、ズルズルと女の子座りに。
ハアハアと息を荒げつつ、時折、ピクッと肩を震わせる。
マラソンを終えたランナーのようになった奈々美に対し、正面でしゃがんだアレーテは奈々美のセーラー服を上下に開き、下腹部を覗き込む。
「やめ……て」
弱々しい抵抗の奈々美だが、アレーテは真剣な表情になった。
(リアルで淫紋を見たのは、さすがに初めてですわ……)
奈々美の下腹部には大きなハートマークが意匠的に描かれ、プログラムのような古語による条件式もあった。
(魔術……ですわね?)
今は奈々美がたっした直後だからか、ネオンのように薄いピンク色に輝いている。
(術式は、増幅、解除までの人数? 何ですの、これ?)
アレーテが困惑したのは、淫紋があったからではなく、技術レベルに対して遊びが過ぎるから。
近所のスーパーへ行きたいから、戦闘機に乗るようなもの。
自転車か、バイク、車で行け! という話だ……。
(女子を発情させるだけなら、こんな術式はいらない)
考えられるのは、奈々美の心を折りたい。
抵抗できる状態を残しつつ、ジワジワと堕落させるつもり。
(であれば、奈々美はまだ処女! これで経験済みだったら、本当に意味が分からない)
おそらく、本人が言ったばかりの、今夜のトイレ訪問が本命だった。
奈々美のセーラー服の中に頭を突っ込んでいたアレーテは、ようやく顔を出した。
「いつから?」
文句を言おうとした奈々美は、整ってきた呼吸のままに思案する。
「分かりません……。もしかしたら、この高校で公園のトイレを知っている女子と話した時かも?」
「わたくし、この手の問題に詳しいのですよ? その下腹部のマーク、応急処置をしておきます?」
「できるんですか!?」
食い気味に答えた、奈々美。
頷いたアレーテは、笑顔で答える。
「ええ! ただし、あくまで応急処置……。本格的な処置は、時間ができてから」
「……お、お願いします!」
鬼気迫る表情の奈々美に対して、アレーテは再び片手を差し込み、淫紋に条件をつけ加える。
”ただし、この者が発情する相手は水鏡才だけとする”
これにより、男なら誰にでも股を開くことはない。
下手に術式を崩せば、何が起きるか不明だ。
追加条件によって無力化するのが、一番。
(我ながら、完璧ですわ!)
しかし、すぐ我に返る。
「今日の夜に公園のトイレを調査する件は、わたくしが代わりに行います」
目を見張った奈々美は、反対する。
「でも!」
「あなたの状態は、一時的なもの……。すでに、負けたんです! それより、念のために他の男子に近づいて、ムラムラしないかのテストを」
羞恥の色が残っている奈々美は、アレーテに助けられて、立ち上がった。
「わたくしがそのマークを無力化したことは、誰にも言わないでくださいまし! 生徒会長や教師にも! あなたは体を持て余して、今にも転びそうな演技を続けなさい。むろん、実際に抱かれる必要はありません」
アレーテの顔を見た、奈々美。
そのアレーテは、毅然と告げる。
「このルールを守れなければ、力づくであなたを回収して終わります」
うつむいた奈々美は、やがて同意する。
「分かりました……。テストで問題がなければ、今日はもう早退します。我慢し続けて辛いし、替えのパンツがないですから」
廊下に戻り、近くの男子で色々なテストを行うも、全て異常なし。
ホッとした奈々美は、一気に疲労を感じたらしく、早退を告げた後で、呼んだタクシーに乗って自宅へ向かう。
テストに付き合わされた男子は、勘違いした。
綾ノ瀬は俺に惚れているんだぜ? と友人に自慢しまくったあとで彼氏面になるも、まったく相手にされない結果に……。
過去作は、こちらです!
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