表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/49

かくして、俺はまた肩身が狭くなった

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

「レトゥス製薬会社の日本支社で見つけた、隠語のグレープフルーツは、俺が処理した。村ごと消してな?」


 生徒会室に、沈黙が満ちた。


 (いな)真夕(まゆ)は、すぐに指摘する。


「待って! 10人以上の失踪者がいた村のこと? 地元の県警では全く不明のようだけど、何があったの?」


「人知を超えた邪神がいた……。そう思ってください! 知ることで発狂するため、お勧めしません」


 不満そうな真夕は、しぶしぶ黙った。


 代わりに、天城(あまぎ)梨理香(りりか)が訊ねる。


「月面の『アルカディア』による悲劇は、これで防げたと考えましょう! ですが、事態はより深刻になりました。もはや、地球上でいつ同じような存在が出てきて、同じように滅びるやら……」


 のんきな女刑事の京本(きょうもと)香穂(かほ)が、指摘する。


「それこそ、あなたが予知すれば?」


「私の未来予知は万能ではなく、それだけでは警察も動きにくいと思います」


 ポーカーフェイスの梨理香は、歯切れの悪い返事。


 これ以上は、議論する意味がない。


 俺は、上座にいる生徒会長、安倍(あべ)良高(よしたか)を見た。


 頷いた彼が、宣言する。


「ひとまず、分かった! ここでいきなり発砲した件は、本来なら退学とそれなりの処罰にするべきだが……。警察がもみ消したことから、対外的な問題はない! ウチとしても、天城くんの未来予知を信用するなら時間との勝負だったと言わざるを得ず、現状では何もなかったと見なす」


 露骨にホッとしたのは、俺ではなく、副会長の夢咲(ゆめさき)アリア。


 俺が処罰される場合、漏れなく彼女も巻き添えだ。


 良高は、俺に釘を刺す。


「事実がなくなるわけではない……。また校内で事件を起こせば、まとめて処罰されると、覚えておきたまえ」


「はい、会長……。ご迷惑をおかけして、申し訳ありません」


 俺の返事に、無言で頷く良高。


 アリアは、見ていると精神が不安になる笑顔へ戻った。

 誰か、トドメを刺してやれよ?


 良高が、解散を宣言する。


「みな、ご苦労だった!」



 ◇



 報酬というわけではないが、俺たちの探偵部に女子2人が名前を貸してくれることに。


 天城梨理香と、その親友である(いずみ)佳乃(よしの)だ。


 せまい準備室で、女子の割合が一気に増えた。


 梨理香が、話を進める。


「代わりに(さい)さんとアレーテさん、綾ノ瀬(あやのせ)さんは、ゲーム部と兼部してもらいます」


「分かった……」


「いいですわ!」

「よろしくお願いします」


 ふと、尋ねてみる。


「泉は、これでいいのか?」


 顔を引きつらせた佳乃は、それでも答える。


「良くないけど……。梨理香ちゃんが心配だから」


 ところが、本人はケロリとして、付け加える。


「ああ、今後は名前の呼び捨てで構いません!」


「そうか……」



 ――数日後


 良くも悪くも他人を気にしない、ゲーム部。


 その部室で、ゲームの『アルカディア』を遊んでいた。


 気づけば、部室には誰もいない。


 時計を見ると、夜の8時だ。


(普通の高校だったら、見回りの警備員か教師にドヤされているな……)


 そう思いつつ、ゲームを終了して、後片付けへ。


「少し……話しませんか?」


 クールな女子の声に、そちらを向く。


「梨理香……。お前、ずっといたのか?」


「忘れないうちに話したいと思いまして……」


 どう話したものか、という雰囲気でマゴマゴする、天城梨理香。


「お前、未来予知のスキルを持ってないだろ?」


 ビクッとした梨理香は、俺を見つめる。


「なぜ?」


「ランダムに閃くか、啓示を受けるタイプもいるだろうが、それにしては理詰めだった……。最後のデブリーフィングでも、未来予知ができる人間とは思えない反応ばかり。しかし、近い未来の人類滅亡は嘘とは思えない声音だった! 未来から送り込まれたエージェントと考えるのが自然だ」


 息を吐いた梨理香は、ブレザーの上着を脱いで、上のシャツも脱ぐ。


 2人だけの部室に、シュルシュルという音が響いた。


「見てください……」


 そこには、肌の後ろにあるはずのない、機械的なギミック。


 俺が視認したことで、梨理香は顔を赤くしたまま、制服を着直す。


「私は、天城博士が開発したサイボーグです。あなたが指摘したように、未来からやってきた……」


「とりあえず、滅びの未来は変わったのだろうな? 今の博士に会いに行くか?」


 首を横に振った梨理香は、悩んでいる様子で答える。


「今の博士は、何も知りません……。ところで、今は佳乃の家に間借りしているようなもので」


 視線で訴えられた俺は、息を吐く。


「こっちは、奈々美(ななみ)の家に居候だ! 一緒に住みたいってか?」


「はい! 私がサイボーグという事実はなるべく伏せたいので。それに、地球上に未知の危険があると分かった以上、それと接する機会が多そうな才さんの傍にいるのが最善手だと思います」


 俺は、思案する。


「そもそも、お前はいつまで稼働できる? メンテは?」


「あなた方が寿命で死ぬぐらいまでは……。メンテナンスフリーですから、そちらも大丈夫だと思います」


 息を吐いた後で、返事をする。


「とりあえず、家主の奈々美に聞いてみる!」


「お願いします……」



 綾ノ瀬奈々美は、二つ返事で了承した。


 黙っているわけにはいかず、未来からやってきたサイボーグと告げたが……。


 ともあれ、デッドエンドの1つを潰せたわけだ!


 等価交換で、俺はあの家でまた肩身が狭くなった。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ