いわゆる、コラテラル・ダメージ
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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『レトゥス製薬会社の日本支社で、突如として爆発が相次ぎ――』
上空のヘリから下へ向けられたカメラには、C室のインコが空を飛んでいる光景。
その嘴から、甲高い電子音が響く。
『ピッ、ピッ、ピ――ッ! Fox Three!』
ステルス戦闘機が胴体の下にあるハッチを左右に開けてミサイルを出したように、シュバッと小型の空対空ミサイルが飛んでいく。
小さいものの――
ほぼ同じ高度を飛んでいたドローンにぶつかり、大きな花火に変えた。
バサバサと向きを変えつつ、視界に入ったドローンを次々に襲う。
『ピッ、ピッ、ピ――ッ! Fox Three!』
ドオオンッ!
『Guns, guns, guns!』
ヘッドオンになったドローンへ、嘴の付近から機銃らしき光が続く。
ヴゥウウウウッ!
重苦しい発砲音と同時に、ドローンは粉砕された。
空中ですれ違っていく、オウム。
どうやら、オウムの姿をした戦闘機のようだ……。
『Area clear. Proceeding with patrol.(脅威なし。引き続き、哨戒する)』
やつは、バサバサと、どこかへ飛んでいく。
誰か、捕まえてくれ!
いっぽう、地上にいる20歳ぐらいの美女は、宇宙のような青い瞳で周りを見た。
青いドレスを纏いつつ、その周りに黒い剣がいくつも回転している。
サーベルのように華麗だが、駆け付けた傭兵が小銃をフルオートで撃っても意に介さない。
「私が守りたい人は……どこ?」
黒い光が線を描き、防弾プレートによるボディアーマーを着ているはずの胴体が串刺しになった。
瞬く間。
5本以上が突き刺さった男は、ドサリと倒れる。
新たな黒いサーベルが、空中で回転する。
絶叫しながら、残りの傭兵が銃撃しつつ、手榴弾を投げ、ロケットランチャー、対物ライフルで攻撃するも――
やがて、青いドレスの女は滑るように歩き出す。
その美女の顔は、悲しげだった。
A室にいた魔法少女は、ピンクの長い髪を靡かせつつ、制服の上に白いフード付きのコートを着たような姿で、指を鳴らす。
とたんに、紅蓮の炎が辺りを埋め尽くし、フードをかぶっている少女の顔を下から照らし出した。
ヒュブッと、弾丸が宙を切り裂き、少女の頭にぶつかった。
対物ライフルが直撃すると、人体は血煙になる。
頭蓋骨であれば、粉々に弾けたカボチャと同じ……。
ところが、少女は後ろへのけぞった勢いで後頭部から床に叩きつけられそうになるも、苦痛の声を上げつつ、すぐに立ち上がった。
スコープを覗いていた狙撃手が、意味不明な声を上げつつ、うつ伏せのままで対物ライフルを連射する。
ドンッ! ドンッ! と、空気を押しのける衝撃波と同時に、スナイパーの体が後ろへ下がるほどの発砲。
けれど、小さなビール瓶ほどの弾丸は、少女に当たっても有効打にならない。
自動で回復しているのか、何らかの祝福があるのか……。
清潔で無機質なレトゥス製薬会社の廊下を地獄に変えつつ、狙撃手を体内から破裂させた。
登校中の女子のように、呟く。
「私と同じく、あの御方の寵愛を受けているのに……。まあ、いいわ! とりあえず、閉じ込められた憂さ晴らしね?」
D室にいたのは、化け物だった。
例えるのなら、四角い箱に手足や、ロボットのアームをつけたような……。
顔がある。
今は、犬の出来損ないのよう。
倒れている死体の上を歩く。
人間の下半身のようになった。
壁にモニターがあるところを通りすぎる。
顔の部分にモニターができて、そこに顔が映し出される。
傭兵の死体を踏み越えていく。
ボディ―アーマーを着た状態で、より人間に近づく。
その両手で小銃らしきものを構える。
ババババと連射しつつ、廊下を前進することを止めない。
あらゆる攻撃は、変化し続ける化け物を止めることはできず、やがてロケットランチャーを無数に撃ち出しつつ、両肩に対物ライフルの銃身があり、両手に小銃を構えている存在へ……。
さんざんに撃ち込まれたおかげで、弾には困らない。
――数時間後
彼らの破壊活動により、レトゥス製薬会社の日本支社は消滅した。
シェルターに立て籠もった人を除けば、ヘリで脱出して、在日US基地で航空機に乗り換えた社員だけが命拾い。
――数日後
日本支社から脱出した生存者が、USにあるレトゥス製薬会社の1つへ着陸する。
土地がある場所だけに、長い滑走路まで。
けれど、無事に着陸した航空機の分厚いドアが開くや否や、機械のオオカミのように進化したD室の化け物が覗き込んだスタッフの頭にかじりつく。
翼を広げたインコも、機内から飛び出した。
悲し気な美女も、しずしずと、USの乾いた空気の中を進む。
最後に、魔法少女の姿。
その背後には、むせ返るような血と肉の臭い。
大惨事になりつつある外に構わず、苦笑する。
「あそこにいるって言うなら、しばらく離れておかないと!」
指を鳴らしつつ、片手を振れば――
巨大なレーダー装置が、あぶられた飴のごとく溶けて、次の瞬間に吹っ飛んだ。
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