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女を侍らせていた男子が魔法学校にやってくる!

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

 魔法学校に通っている(いずみ)佳乃(よしの)は、高級マンションの一室で目覚めた。


 日光のような目覚ましによる、穏やかな目覚め。


 ルーティンで登校する準備をしながら、長い黒髪にブラシをかける。


 タイパで、同時にサンドイッチをもぐもぐ。


 前髪を横にざっくりしつつ、両耳の前にデザイン的なもみあげがある、姫カットだ。


 学生証によれば、高等部1年。


 中学生どころか、小学生に見えそうな童顔で、琥珀色の瞳の顔写真が張り付けられている。


 ブウウウッと震えた、卓上のスマホを手にとる。


 同じ魔法学校に通う、友人から。


“編入生が来るんだって!”


 そうなんだ?


本川(ほんがわ)高校で売春クラブの元締めをしていた幹部の1人が、うちに来るって! 首席の綾ノ瀬(あやのせ)さんも、すっかり言いなりだとか! 自宅に住まわせているっぽいから、毎日ヤッてるんじゃない? 清楚な見た目だけど、すっごい性欲だったわけ!”


 ひえっ!?


 何で、そんな男子を入れたの?


 佳乃は憂鬱になりつつも、適当に返信しつつ、朝の準備を急ぐ。


“一部の生徒が、その男子を追い返そうと待ち構えるってさ! 面白そう!”


 友人の無責任な発言に、佳乃は溜息をついた。


「まったく……。でも、何で入れたんだろ? いくらウチが特区の学校と言っても、理事会が黙って……綾ノ瀬のゴリ押し? 嫌だなあ……」


 独白しながらも、両手は動き続ける。


 魔法学校のブレザーを羽織り、正面玄関へ向かった。



 ◇



 綾ノ瀬奈々美(ななみ)を狙う人物を特定できないまま、ラッキースケベは10回を超えた。


 彼女の上下のバリエーションを知ったうえ、うっかり部屋を間違えた彼女が同じベッドで寝ていたことも。


 起きたら、上下逆さまの奈々美がいて、頭と正反対の場所に挨拶したという。

 念のために言うと、彼女はパジャマを着ていた。


 脱いでおくべきでした、という、ボソッとした呟きは、気のせいに違いない。


 俺は、非常に落ち着かない。


 どこが? とは言わないが……。


 ともあれ、ボロくて治安が悪い繁華街の雑居ビルの一部屋より安全で快適だ。


(女子2人との同居は、気を遣う!)


 やっぱり、賃貸で一人暮らしをしたい。


 でも、お金と信用がないのだ。


 魔法学校に入るため、通信制の高校に入り、そこから編入する形だ。


(観察特区だから、異能がある子供の受け皿だな!)


 唯一の救いは、そこも新しい施設ということ。


 魔法陣のような丸いマークがついたブレザーを着て、俺は義妹の水鏡(すいきょう)アレーテと共に、ここの優等生である奈々美に案内されて、正門を通る。


 遠巻きにしている生徒たちが、何やら話している。


 奈々美は、笑顔で指し示す。


「ここは自習に近いので、(さい)くんとアレーテも自分のペースで――」

「綾ノ瀬さん! そいつが、例の編入生ですか!?」


 俺たちが見ると、そこには同じ制服を着た男子が1人。


 敵意にあふれた目つきで、俺を睨む。

 

 いつの間にか、剣呑な雰囲気の生徒が出てきた。


(男女……。学年も、バラバラか?)


 特区だからか、わりと国際色が豊か。


 声をかけてきた男子は、後ろに控えている奴らの代表らしい。


「風紀を乱すような奴を入れることは、たとえ理事会が認めても、ボクたちが認めない!」


 ムッとした奈々美が、抗議する。


伊田(いだ)くん!」


「綾ノ瀬さんは、騙されているんだよ! こいつに何をされたか知らないが、一度落ち着いて――」

「水鏡だ! 俺に用があるのなら、俺と話せ」


 俺の割り込みで、顔をゆがめた伊田が、こちらを向いた。


「聞いての通りだ! お前は歓迎されていない! 分かったら、とっとと帰れ」

「……願いを叶えてくれたら、そうする」


 思わぬ発言だったようで、伊田は不審そうな表情へ。


「才くん!?」


 傍にいる奈々美が驚くも、伊田はニヤリとする。


「何だ? 聞くだけ聞いてやる」

「……賃貸契約の保証人になってくれ」


 ポカンと口を開けた伊田が、聞き返す。


「は?」


「賃貸の保証人だ! 俺はいい加減に一人で暮らしたいが、引っ越し先がなくて――」

「ま、待て待て! お前はいったい、何を言っているんだ!?」


 慌てる伊田にジリジリと迫りつつ、説明する。


「なら、こうしよう! とりあえず、お前の家に泊まらせてくれ!」

「嫌に決まっているだろ!? いい加減にしないと、ボクの後ろにいる……いない!」


 巻き込まれないように、伊田の仲間は退避したようだ。


 遠巻きになりつつ、事態を見守っている。


 その時に、低いイケボで男子の声。


「何を騒いでいるのかと思えば……。君たちの一存で彼の進退を決めるわけがないだろう? これは、魔法学校としての決定だ」


 全員が見ると、オシャレな眼鏡をかけた、同じ制服の男子。


 そちらを向いた伊田が驚く。


「せ、生徒会長……」


 メガネ男子は、息を吐いた。


「君とお仲間も、一緒に来たまえ! 逃げてもムダだぞ? 正門の前に監視カメラがないと思うか?」


 その発言に、フェードアウトしかけていた連中がピタリと止まる。


 観念したように、こちらへ近づいてきた。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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