ついに、死亡フラグが美少女に!
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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日本でありながら日本でない、観察特区。
地方とは違う都市部があり、新築が多いことから独特の雰囲気だ。
ぎっしり詰められた雑居ビルに、ランドマークとなったタワービルも。
オカルトと不条理を詰め込んだ隔離エリアだろうと、観光客は来るらしい。
安全のためか、大型バスで乗り付けて、そのまま商業施設の中へ入っていく。
帰りは、その巻き戻しだ。
そのタワーの天辺にちかい張り出しに、1人の女子が立っていた。
年齢は、女子中学生ぐらいか?
どこか安っぽい、白のセーラー服を着ている。
白い肌で、黒い髪は長く、ツインテールに縛っている。
可愛いと評される顔で、ルビーのように赤い目が輝いた。
高所にふさわしい強風が続き、紺色のスカートがバタバタと揺れ続ける。
けれど、その少女は地面に立っているかのように目を閉じた。
その口から、舞台の役者のような声が響く。
「わたくしは、すぐ夢中になりました」
「あの人も、それに応えてくれました……」
「わたくしの全てが満たされて、支配され、とても幸せでしたわ……」
ここで、彼女の声が低くなる。
「彼が、わたくしの一族を滅ぼした張本人と知るまでは……」
赤い宝石が2つ、暗い輝きを帯びた。
邪悪な笑みを浮かべた少女は、強風が吹き荒れる高所で、語り続ける。
「でも、わたくしは愛してしまったのです! だから……」
恥じらいつつも、人を殺しかねない雰囲気。
「わたくしの期待に、応え続けてくださぁい……。そう、わたくしの一族が滅んでも仕方ないと思えるほどに……。フフ、フフフフフフフ! 今や、あなたのことを考えない時間はないのだから!」
セーラー服を着ている少女は、ポケットからIDを取り出した。
彼女の顔写真と共に、“水鏡アレーテ” という名前。
息を吐いたアレーテは、IDを仕舞う。
「才? わたくしに謝ったら……絶対に許しません」
別人のように落ち着いたアレーテは、片耳にイヤホンを嵌めた。
小さな端末のスイッチを入れる。
ザッ
『C87地区の立て籠もり事件は、いまだに膠着しており――』
警察無線だ。
サイズと操作から、受令機らしい。
ニヤッと笑ったアレーテは、ぼそっと呟く。
「ちょうどいい、獲物ですわ……」
イヤホンを外した彼女は、立ったままの状態から信じられないほどのジャンプを行い、そのまま地面へ落ちていく。
◇
『犯人に告ぐ! 人質を解放して、出てこい! 今なら、罪は軽いぞ?』
言っている本人ですら、信じてない。
C87地区は、市民の退避を行いつつ、パトカーや装甲車が囲んでいた。
警官の手には、サブマシンガンどころか、ショットガン、小銃まである。
日本と思えない光景だ。
その時に、離れた位置で停まった車から、1人の若い女が出てきた。
「刑事です! 通して!」
「お、お疲れ様です!」
上下に開いた警察手帳を見せつつ、見張っている警官がどけたバリケードテープの下を潜る。
息を切らして、スーツの上から防弾ベストを着た男たちがいる場所へ。
頭を下げつつ、自己紹介。
「ほ、本日付けで特区警察に配属された、京本香穂です! 階級は巡査部長! よろしくお願いします!」
1人の中年男が、片手を上げた。
「おう! 特警で刑事をしている背戸行人だ! 階級は警部補……。とりあえず、これを着ろ! 銃は?」
投げられた防弾ベストを受け取り、それを上から着る香穂。
「ありがとうございます! えっと……。申し訳ありません! 事件を知って、すぐこちらへ来てしまい……」
再び頭を下げた香穂に、行人がパタパタと手を振る。
「いいから! 責めているわけじゃない……。じゃ、絶対に前へ出るなよ? 俺たちで対応するから。……お、来た来た!」
面白そうに呟いた行人は、違う方向を見た。
理解できない香穂も、それに倣う。
土煙を上げる勢いで、車道を1人の少女が走ってきた。
ギョッとした香穂が、思わず叫ぶ。
「ちょっ! ちょっと!? 危ないわよ! 戻りなさい!!」
立て籠もっている建物の窓から、バババと連射音。
車道のアスファルトに小さな穴が開き、破片が飛ぶ。
けれど、その火線を避けるように左右へズレる少女は止まらない。
美少女と呼べるだけのお顔が歪み、絶叫する。
「才との幸せ計画のマネーになってくださいましぃいいいっ!」
少女は減速せず、そのまま建物へ突っ込んだ。
凄まじい音と揺れが、周りに響き渡る。
まったく動じない行人は、警察官の必須アイテム、腕時計を見た。
「かかって、15分……。犯人と人質の移送準備、それと現場検証の用意も――」
色々な準備をしている間に、銃撃していた窓から人影が飛び降りた。
ドスンッと、重い音と揺れ。
続いて、獲物を狩ってきたネコのように、先ほどの少女が満面の笑み。
「確認を……」
ピロン♪
差し出されたIDを端末に読み込ませた行人は、役所のカウンターのように告げる。
「ほい、お疲れさん!」
黒髪ツインテールをした少女は、首をかしげる。
「現場を見なくても?」
「スラ子なら、問題ない――」
「その呼び方は、止めてくださいまし!」
片手をヒラヒラさせた行人は、受け流す。
「悪かったね、水鏡ちゃん! 聞きたいことがあったら、連絡する」
「では、失礼……」
スタスタと歩き去る、白いセーラー服。
その背中を見ながら、若い女の刑事はボソッと呟く。
「えっ? 何なの、これ……」
「特区の日常だよ! 早く慣れろ、新人」
行人は、周りを見ながら、新しいパートナーに教えた。
過去作は、こちらです!
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