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宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった  作者: 初雪空
第一章 魔術師、来たる
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ついに、死亡フラグが美少女に!

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

 日本でありながら日本でない、観察特区。

 地方とは違う都市部があり、新築が多いことから独特の雰囲気だ。


 ぎっしり詰められた雑居ビルに、ランドマークとなったタワービルも。

 オカルトと不条理を詰め込んだ隔離エリアだろうと、観光客は来るらしい。


 安全のためか、大型バスで乗り付けて、そのまま商業施設の中へ入っていく。

 帰りは、その巻き戻しだ。


 そのタワーの天辺にちかい張り出しに、1人の女子が立っていた。


 年齢は、女子中学生ぐらいか?

 どこか安っぽい、白のセーラー服を着ている。


 白い肌で、黒い髪は長く、ツインテールに縛っている。


 可愛いと評される顔で、ルビーのように赤い目が輝いた。


 高所にふさわしい強風が続き、紺色のスカートがバタバタと揺れ続ける。

 けれど、その少女は地面に立っているかのように目を閉じた。


 その口から、舞台の役者のような声が響く。


「わたくしは、すぐ夢中になりました」


「あの人も、それに応えてくれました……」


「わたくしの全てが満たされて、支配され、とても幸せでしたわ……」


 ここで、彼女の声が低くなる。


「彼が、わたくしの一族を滅ぼした張本人と知るまでは……」


 赤い宝石が2つ、暗い輝きを帯びた。


 邪悪な笑みを浮かべた少女は、強風が吹き荒れる高所で、語り続ける。


「でも、わたくしは愛してしまったのです! だから……」


 恥じらいつつも、人を殺しかねない雰囲気。


「わたくしの期待に、応え続けてくださぁい……。そう、わたくしの一族が滅んでも仕方ないと思えるほどに……。フフ、フフフフフフフ! 今や、あなたのことを考えない時間はないのだから!」


 セーラー服を着ている少女は、ポケットからIDを取り出した。


 彼女の顔写真と共に、“水鏡(すいきょう)アレーテ” という名前。


 息を吐いたアレーテは、IDを仕舞う。


(さい)? わたくしに謝ったら……絶対に許しません」


 別人のように落ち着いたアレーテは、片耳にイヤホンを嵌めた。


 小さな端末のスイッチを入れる。


 ザッ

『C87地区の立て籠もり事件は、いまだに膠着しており――』


 警察無線だ。


 サイズと操作から、受令機らしい。


 ニヤッと笑ったアレーテは、ぼそっと呟く。


「ちょうどいい、獲物ですわ……」


 イヤホンを外した彼女は、立ったままの状態から信じられないほどのジャンプを行い、そのまま地面へ落ちていく。



 ◇



『犯人に告ぐ! 人質を解放して、出てこい! 今なら、罪は軽いぞ?』


 言っている本人ですら、信じてない。


 C87地区は、市民の退避を行いつつ、パトカーや装甲車が囲んでいた。


 警官の手には、サブマシンガンどころか、ショットガン、小銃まである。

 日本と思えない光景だ。


 その時に、離れた位置で停まった車から、1人の若い女が出てきた。


「刑事です! 通して!」

「お、お疲れ様です!」


 上下に開いた警察手帳を見せつつ、見張っている警官がどけたバリケードテープの下を潜る。


 息を切らして、スーツの上から防弾ベストを着た男たちがいる場所へ。


 頭を下げつつ、自己紹介。


「ほ、本日付けで特区警察に配属された、京本(きょうもと)香穂(かほ)です! 階級は巡査部長! よろしくお願いします!」


 1人の中年男が、片手を上げた。


「おう! 特警で刑事をしている背戸(せと)行人(ゆきと)だ! 階級は警部補……。とりあえず、これを着ろ! 銃は?」


 投げられた防弾ベストを受け取り、それを上から着る香穂。


「ありがとうございます! えっと……。申し訳ありません! 事件を知って、すぐこちらへ来てしまい……」


 再び頭を下げた香穂に、行人がパタパタと手を振る。


「いいから! 責めているわけじゃない……。じゃ、絶対に前へ出るなよ? 俺たちで対応するから。……お、来た来た!」


 面白そうに呟いた行人は、違う方向を見た。


 理解できない香穂も、それに(なら)う。


 土煙を上げる勢いで、車道を1人の少女が走ってきた。


 ギョッとした香穂が、思わず叫ぶ。


「ちょっ! ちょっと!? 危ないわよ! 戻りなさい!!」


 立て籠もっている建物の窓から、バババと連射音。


 車道のアスファルトに小さな穴が開き、破片が飛ぶ。


 けれど、その火線を避けるように左右へズレる少女は止まらない。


 美少女と呼べるだけのお顔が歪み、絶叫する。


「才との幸せ計画のマネーになってくださいましぃいいいっ!」


 少女は減速せず、そのまま建物へ突っ込んだ。


 凄まじい音と揺れが、周りに響き渡る。


 まったく動じない行人は、警察官の必須アイテム、腕時計を見た。


「かかって、15分……。犯人と人質の移送準備、それと現場検証の用意も――」


 色々な準備をしている間に、銃撃していた窓から人影が飛び降りた。


 ドスンッと、重い音と揺れ。


 続いて、獲物を狩ってきたネコのように、先ほどの少女が満面の笑み。


「確認を……」

 

 ピロン♪


 差し出されたIDを端末に読み込ませた行人は、役所のカウンターのように告げる。


「ほい、お疲れさん!」


 黒髪ツインテールをした少女は、首をかしげる。


「現場を見なくても?」


「スラ子なら、問題ない――」

「その呼び方は、止めてくださいまし!」


 片手をヒラヒラさせた行人は、受け流す。


「悪かったね、水鏡ちゃん! 聞きたいことがあったら、連絡する」


「では、失礼……」


 スタスタと歩き去る、白いセーラー服。


 その背中を見ながら、若い女の刑事はボソッと呟く。


「えっ? 何なの、これ……」


「特区の日常だよ! 早く慣れろ、新人」


 行人は、周りを見ながら、新しいパートナーに教えた。

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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