邪神の上位にいる眷属で囲めば、ようやく倒せるかどうか(前編)
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
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雑居ビルで運営されている、淫らな秘密クラブ。
新人JKとして潜入した水鏡アレーテは、こっそり入った部屋にある本を開いた。
それは辞書のように厚く、古書のようにハードカバー。
開いた紙面にも時代を感じるが……。
立ったままで開いたアレーテは、両手で持つ。
重要な情報が書かれているらしく、一心不乱に読み続ける。
ガチャッ
彼女の背後で、ドアが開いた。
薄暗い廊下から視線が送られるも、アレーテは背中を向けたままの棒立ち。
おそるおそる、入ってくる男たち。
どいつも若く、警棒どころか、拳銃を握っている奴まで……。
アレーテに銃口を向けていた若い男も、ホッとしたように下ろす。
「ふーっ! 効いたか……」
それを皮切りに、仮面で顔を隠している若衆が騒ぎ出す。
「こいつが、特区のスラッシャー」
「……見る分には、可愛いじゃねえか?」
けれど、アレーテは書店で立ち読みをしているように無関心だ。
「淫紋は……無効化された?」
「あと少しだった綾ノ瀬の淫紋を治したっぽいから」
アレーテの顔の前で手を振った奴が、無反応であることに笑い出す。
「マジかよ! 手間が省けたし、お楽しみが増えたぜ!」
「こんだけの上玉は、めったにヤレないからな……」
「しっかし、この禁書はヤベーな! 読んだらアウトかよ!」
「何をされても、ひたすらに読み続ける……。学校の参考書も、これぐらいだったらなあ」
真面目に勉強をするとは思えない連中が、そのジョークに笑った。
ここにいる兄貴や幹部がやってくる前にと、ズボンを脱ぎだす。
「撮影は、どーするよ?」
「やっとけ! 脅しに使える」
「本命の綾ノ瀬ちゃんを呼ぶにしても、この女にさせたほうがいいよな!」
邪魔に感じたのか、自分の仮面を外し、床へ投げ捨てた男も。
慎重な男は、あとで警察に逮捕されたり、世間に動画が出回ったりする事態を恐れて、つけたままだ。
両手で禁書を開いて立ち読み中のアレーテに触りまくっている、男たち。
廊下の様子を探りつつ、ドアを閉めた男が、内鍵をかける。
「うし! これで、しばらく邪魔は入らねーよ!」
「よくやった!」
三脚にビデオカメラを設置した男が、宣言する。
「撮影、いいぜ! 録画はスタートしておいた」
それがキッカケになり、一部が天を向いている男たちがアレーテに尋ねる。
「俺たち、触ってもいいかな? 挿れても、いいよねえ?」
「……どうぞ」
開いている禁書から目を離すことなく、ぼんやりとした声で応じた。
ニタァッと笑った男は、アレーテに手を伸ばし――
アレーテは相変わらずノールックだが、片手でその手首をつかみ、棒立ちにもかかわらず手の振りだけで投げ飛ばした。
「はあぁあっ!?」
宙を舞った男は、雑居ビルの重量鉄骨がある壁へぶつかった。
手羽先を食べる時によく聞く、骨が折れる音。
部屋の壁と抱き合ったことで、潰された虫のようにズルズルと落ちていく。
ドサッと床に落ちた時に、さっきまで元気だった一部が鍵のように折れ曲がり、潰れていることが分かる。
「いでえ……。いでええ……」
運悪く、即死できなかったようだ。
それを見た野郎どもが反応するよりも早く、片手で禁書を閉じたアレーテが、空いている片手を振り抜いた。
ヴアッという風切り音と、次の瞬間に上体が斜めにズレたり、首が飛ぶ男たち。
血が吹き出し、無機質な部屋の天井から床まで塗りたくる。
骨や神経がある切断面を見せたまま、鈍い音を立てて床に落ちる肉体の群れ。
阿鼻叫喚の地獄絵図で、アレーテは机の上に禁書を置き、火をつけた。
どんどん火に包まれる、禁書。
爆竹が破裂するような、乾いた音が続いた。
パンパンッと撃たれ、アレーテは倒れ伏す。
撃った男は、周りに指示する。
「火を消せ! その本を失ったら、俺らもぶっ殺されるぞ!?」
けれど、慌てた男たちが消そうとしても、物理的に無理。
ここで、女子の声。
「ムダですわ……。その火は、魔術によるもの! あなた方には過ぎた技術です。猿は、ウホウホ言いながら木の上のバナナを採っているのがお似合い」
何事もなかったように、アレーテは立ち上がった。
ギョッとする男たちは、彼女を見たままで後ずさる。
「何だ、こいつ……」
「無敵なのか!?」
舌打ちした男が、再び銃を構えた。
「仕方ねえ……。お前ら、こいつを蜂の巣にしろ!」
条件反射のように銃を手にした野郎が、あるだけの弾をばら撒く。
せまい室内でパニックになっての乱射だ。
「うごっ! お、おい! やめろ!!」
壁や天井で跳ね返った弾に当たった男は、ただ叫ぶ。
けれど、弾幕にさらされたアレーテも、ほおの肉をえぐられ、歯茎と白い歯を見せた。
服を貫通して、少女らしい肌から内臓まで突き進み、後ろの壁や家具に当たる。
別の意味で18禁になっていくアレーテは、人体標本のような姿へ。
あばら骨や内臓を見せたまま両膝が落ち、土下座するように頭を前にある床へ叩きつける。
ゴンッという音で、生き残った野郎どもは息を吐いた。
「ざ、ざまぁ見やがれ!」
「……もったいねえ」
「しょーがねーだろ!」
けれど、後片付けと消火で悩み出した空間に、アレーテの楽しそうな笑い声が響き渡る。
「キヒヒヒヒ! 挨拶は終わりで? それとも、このクラブでは銃撃プレイもするんですの? 女子を相手にやるには、少し過激だと思いますが」
過去作は、こちらです!
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