義妹を売ることで会員制クラブへ
室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!
https://hatuyuki-ku.com/?p=707
翌日の本川高校で、動きがあった。
放課後になり、机の中に入っていたメモにあった、待ち合わせの場所へ……。
けれど、人目につかない体育館の裏でゾロゾロと出てきたのは、いかにも不良の群れだ。
不摂生をしていそうなギャルが、俺を見て笑う。
「アハハハ! 単純だね、こいつ! じゃ、あたしは帰るよ?」
いかにも格闘技をやっていそうな男子が、それに答える。
「おう! あとは、俺らでやる……」
ニヤニヤしながら、男子の壁を抜けていくギャル。
彼女が通ったスペースを埋めた不良どもは、壁を背にした俺を半包囲してくる。
けれど、ギャルに対応した男子を除いて、圧はない。
いわゆる、マイルドヤンキーだ。
街ですれ違っても、1人であれば不良と思わないだろう。
(今の特攻服って、パイセンからの伝統で成人式に着るぐらいだっけ?)
俺は、ちょっと調べたのみ。
正面から近づいた男子が、イキる。
「おめー、綾ノ瀬の彼氏か?」
「違いますよ? 言われる心当たりは、転校初日で生徒会長に呼ばれて、クラスメイトの綾ノ瀬さんに案内してもらったぐらいっすけど」
すぐに説明したら、不良のリーダーはキョトンとした。
「本当かぁ? 嘘だったら、顔面が腫れ上がるまで殴るぞ?」
すると、取り巻きの1人が答える。
「こいつが生徒会室に行ったのは、本当だぜ? それ以降は、一緒に帰るわけでもねーし」
取り巻きのほうへ振り向いたリーダーが、応じる。
「そうか……」
向き直ったリーダーは、先ほどまでの圧を引っ込めた。
「綾ノ瀬は俺が狙っている女だから、覚えておけよ?」
「はい!」
体育会系らしく答えたら、リーダーは頷いた。
「用は、そんだけ! もう帰っていいぞ?」
「お疲れ様です!」
背中を向けながら片手を振ったリーダーは、のしのしと歩き去った。
けれど、取り巻きの1人が残っている。
「何ですか?」
「あー、いや……。おめーの妹って、水鏡アレーテだよな?」
「そうですけど?」
モジモジしていた男子は、思い切って告げる。
「俺に紹介してくれ! ほら? さっきもフォローしてやったろ?」
ああ、それで……。
「先輩! 俺も、いい女子と楽しみたいんですよ! 公園のトイレなんかじゃなくて……。ここら辺に、会員制のあるんでしょ?」
「お前、それどこで……。俺がアレーテちゃんと付き合えるまで、責任をもって助けるか?」
「会わせるのなら、いつでも」
迷っていた男子は、やがて息を吐いた。
「わーった! 本当はダメだけど、てめーも巻き込んだほうが間違いないか! スマホを出しな?」
「はい、お願いします」
自分のスマホを出した男子は、指で画面をさわりつつ、ニヤリとした。
「てめーは、運がいいよ! わりと面倒なうえ、招待されないと絶対にたどり着けないから」
なに、そのアニメみたいな設定?
心の中でツッコミを入れながら、自分のスマホを持っていたら――
男子は、スマホの画面を向けてきた。
そこには、複雑なマークがある。
「こいつをカメラで読みとれ」
「ハイ」
言う通りにしたら、スマホがどこかのサイトへアクセスした。
けれど、繋がらない。
「すみません、先輩! ダメみたいで……」
「このURLは自動的に変わっていくから、もう1回やるぞ?」
今度は、成功した。
飲食店のレビューサイトだ。
「今から言う通りに、操作しろ!」
「ハイ」
いくつかの操作をしたら、“あなたのアカウントに不正を確認しました” という警告画面に。
「そのまま、1時間! 途中で画面をいじったら、パーだぞ?」
「ハイ」
待っている間に、世間話。
「そういえば、うちの生徒会長もいい女では? 彼氏を締めなくて、いいんすか?」
意味ありげに笑った男子は、返事をする。
「炭八馬は、いいんだよ! ククク……。哀れすぎて、いじる気もねーし」
「はあ……」
俺の生返事に、男子が予言する。
「行けば、分かる! ここで言うのは、勘弁してくれ」
日が暮れた。
部活動の掛け声も終わり、片付けの音。
立ったままで話し続けていたら、俺のスマホが光った。
正面で向かい合う男子が、声を上げる。
「来たか! あとは、俺のほうで手続きをして……。あん? 調子が悪いのか?」
すると、俺のスマホに、いかにも自動生成のメッセージ。
「そこへ行きな! アレーテちゃんの件、忘れるんじゃねーぞ?」
「ありがとうございました!」
男子は、立ち去った。
スマホの画面で、スパムに触る。
この街にある雑居ビルの名前と、日付のボックス。
(予約か?)
明日になれば、綾ノ瀬奈々美が失踪する予定だ。
今夜しかない。
今日の日付を選ぶと、やがて表示が変わった。
“お越しいただいたら、詳しい説明をいたします”
スマホを仕舞った俺は、ゲートで自宅へ。
私服に着替えた後で、普通に雑居ビルへ向かった。
商業エリアにある、住居兼用の事務所が多い場所。
飾り気のない雑居ビルの入口で、インターホンで指定された番号を押した。
『はい……。本日の営業は終了しましたが?』
俺が予約の画面を向けたら、インターホンの向こうで態度が変わる。
『失礼いたしました! では、お入りください』
ガーッと、オートロックの扉が左右に開いた。
閉まらないうちに、中へ入る。
過去作は、こちらです!
https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31




