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宇宙の神秘を詰め込まれてオカルト探偵になった  作者: 初雪空
第一章 魔術師、来たる
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「僕なら、綾ノ瀬さんを君の彼女にできる!」

室矢重遠は、ゼロから天までの道のりを歩む!

https://hatuyuki-ku.com/?p=707

 放課後の本川(ほんがわ)高校で、窓からの眺めがいい生徒会室。


 そこにいた生徒会長、古波津(こはつ)百合(ゆり)は、俺と綾ノ瀬(あやのせ)奈々美(ななみ)を招いた。


 出入口の引き戸を閉めて、紙コップで紅茶やコーヒーを用意してくれた。

 個別包装のお菓子も、常備しているようだ。


(ずいぶんと、気さくだな?)


 いくら女子とはいえ、俺たちは1年だ。

 3年で生徒会長となれば、もう少し威厳を見せてもいいだろう。


(初めての場所なのに、後輩だから自分でやれというのも変か……)


 ともあれ、面倒見がいい性格らしい。


 お礼を言いつつ、窓をバックにしている上座で腰を下ろした百合を見た。


「1年の水鏡(すいきょう)です! 妹のアレーテがお世話になったようで……」


 何かに気づいた雰囲気の百合は、口が半開き。


 俺をガン見している。


「え、えっと……。アレーテさんとは兄妹、なのよね?」

「義妹です」


 それを聞いた百合は、ホッとした。


「……仲がいいのね? フフフ」


 意味深に笑った百合は、真面目な顔に。


「妹さんは、私たちに距離を置いたけど……。あなたは、どうなの? うちの連続失踪を調べに来たことは、もう知っているわ」


「俺たちの目的は、生徒会長と違いますから……。情報交換ぐらいで」


 肩を落とした百合が、俺の隣に座っている奈々美にすがるような視線。


「綾ノ瀬さんは? これまで通り、協力してくれる?」

「……申し訳ありません。私の兄も、これ以上の調査に否定的で」


 バッサリと切り捨てられ、百合は俯いた。


「そっか……。やっぱり、私たちだけで何とかしなきゃダメか」


 けれど、ノック音と男子の声。


炭八馬(すみやま)です!』


「ちょうど良かった!」


 笑顔で立ち上がった百合は、小走りで引き戸へ駆け寄った。


「入って!」

「う、うん……。失礼します」


 気が弱そうな男子は、俺と奈々美を見て、オドオドした。


 百合の紹介で、3年の炭八馬佳守(かず)と判明。


 彼氏と言われたものの――


((これ、絶対に釣り合っていない……))


 同じ感想を抱き、俺たちは顔を見合わせた。


 すると、佳守が尋ねてくる。


「君たち、付き合っているの?」


 俺が視線を送ったら、奈々美は佳守に向き直る。


「いえ、違います……。同じクラスで、生徒会室までの案内を」


「あっ! そ、そうなんだ……。ごめん」


 意味なく、謝る。


(典型的な陰キャだ……)


 そう思っていたら、百合はクスクスと笑った。


「なーに? 綾ノ瀬さんを狙っているの?」


「ちっ……違うよ! 気になっただけで……」


 雰囲気が良くなったから、その機会を逃さずに席を立った。


「妹にも、協力するよう言っておきます」


「うん! お願いね? ああ、うちの連続失踪のことよ!」


 心配そうに見ている佳守に、百合は説明した。


 けれど、何かを思いついたようで、ひそひそ話。


 佳守は、俺のほうを見る。


「えっと……。水鏡くん、だっけ? 一緒に帰らないか?」


「今は連続失踪がありますし、4人にしません? 途中のファーストフードで男女別のテーブルにすれば、話もできますし」


 その返しで、黙っていた百合が吹き出す。


「ハハハハ! ダメね、佳守くん! いいわ、そうしましょう!」



 ――駅前にあるファーストフード店


 色々な制服に、仕事帰りか抜け出してきたと思しきスーツ姿のサラリーマン。


 ごった返す店内で、カウンターに並んで座った俺と炭八馬佳守。


 制服を着た男子2人とあって、誰も注目しない。


 うるさい店内では、逆に盗み聞くことが難しいだろう。


「何ですか、先輩?」


「……君は、綾ノ瀬さんと付き合いたい?」


 佳守の言い方に、違和感を覚えた。


「あれだけの美人なら、そりゃ……。急に、何ですか?」


「百合だけじゃ、不安なんだ……。うちの生徒を含め、11人もいなくなって」


 ここで、佳守はハンバーガーを口に運ぶ作業を中断した。


「僕は……百合にふさわしくないよね?」


 いきなりの自虐。


 相手は2年上の先輩とあって、返事に困る。


「あー、いやまあ……」


「いいよ、気を遣わなくて……。自分が一番、それを分かっている! でもね? だからこそ、綾ノ瀬さんを君の彼女にできる」


 ほーう?


 キナ臭くなったことで、俺は眉を上げた。


 佳守は、それを食いついた、と解釈したようだ。


「百合が犠牲になることは、絶対に避けたい! 君たち兄妹がいれば、彼女を失うことはないだろう」


「そのために、俺たちが危険になれと……」


 非難したが、佳守は首を縦に振る。


「ハッキリ言えば、そういうこと……。あの綾ノ瀬の娘、それもテレビに出そうな美少女は欲しいだろ? 返事をしなくていいよ! 調査に協力するという行動で示してくれ。肝心の口説き方は、成功報酬だ」


 妙に自信たっぷりの佳守は、両手で自分のトレイを持ち、立ち上がった。


「じゃ、お先に!」


「お疲れ様でした……」


 見ていたら、女子2人で話していた席に行き、生徒会長の百合を連れて行った。


 綾ノ瀬奈々美と並んで帰れば、呆れたような声。


「生徒会長から、ずっと口説かれました……。もう、協力する気はないのに」


 視線で、今からどうする? と聞かれた。


「クラスメイトって、触れ込みだからな……。いったん、自宅へ帰ってくれ! こちらは周りにバレないよう、アレーテと訪問する。俺たちが親しくなりすぎると、雰囲気や仕草だけで知られるから……。今は、調査を優先するぞ?」


 息を吐いた奈々美は、しぶしぶ頷いた。


「分かりました……。今日ですよね? お食事は、どうしますか?」

過去作は、こちらです!

https://hatuyuki-ku.com/?page_id=31

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