第84話 系譜
☆ 第78話に、謎の答えをひとつ補完しました。
北神学園高校では、夏休み明けから文化祭の準備に取りかかった。
生徒会会長には《天女》様こと高天原紅が就任し、副会長2名と書紀3名は、どちらも1名は旧生徒会で経験を積んだ者を採用して新入りを育ててもらうことにした。
会計は、少しは継人のサポートに役立つ経験かもしれない、と思った直人と、直人と同じことをやりたがる結が引き受けた。
庶務を6名加え、計14名のメンバーで慌ただしく活動が始まった。
そして、文化祭では、生徒会長・高天原紅が発案した「愛を叫べ大会」が最終日に開催されることになった。
参加は男女問わず、大ホール壇上からマイクで思い人へ愛を叫ぶ、という企画だ。
既に両想いの者には1万円、片想いの告白の者には3万円の商品券が景品として保証され、振られた場合は更に1万円の慰謝料が追加される。
会場の投票による「愛を叫んだ大賞」は、1位は10万円、2位は5万円、3位は2万円の商品券が授与される。
景品が全く高校生らしくないが、生徒会予算が9桁なので一向に構わない。
生徒達も、振られてもいいバイト料だと思って自分を励ませるので、決死の覚悟で参加を希望する生徒は予想外に多く、片想いの告白優先で残りはくじ引きとなった。
そして、直人は紅にきらきらした期待の眼差しを向けられてしまったので、参加しないという選択肢は無い。
くじで外れればいいと思ったが、直人の運が良いのか悪いのか、トリを引いてしまった。
因みに、初めての生徒会総会・会長挨拶で、
「実は、私と直くんは異母兄妹じゃなくって、お父さん同士が異母兄弟で、父方も母方もお祖母ちゃんは別人の、案外血が薄い従兄妹でーす!」
と《天女》が眩しい笑顔で言ったので、男子生徒は嘆きと祝福を込めて《殺し屋の嫁》という異名を捧げた。
《殺し屋》は、居眠りする紅を起こそうとした英語教師に、直人がギリギリ外してシャープペンを投げてクラッシュした事件で「殺し屋みたいなコントロール」と言われた事に由来する。やめて欲しい。
愛を叫べ大会は、笑いと涙、祝福と野次、激励が飛び交うまさにお祭り状態だったのだが、チョー達でダンク様で殺し屋様の直人が壇上に立つと、校長の挨拶よりも会場がしんとした。
いっそ、ヒューヒュー野次を飛ばされる方が気が楽だった……と思いながら、マイクを握った直人は、特に叫ばなかった。
いつも通りの無表情と淡々とした口調で、
「べに、最速でお前が18歳になったら俺と結婚して欲しい。大学卒業後の22歳でもいい。俺は、花嫁衣装はよくわからないから、ドレスでも打掛でも、好きなのを着てくれ」
と言った瞬間、会場はその日一番の盛り上がりとなった。
紅は、壇上へと駆け上がると、全力で直人に飛び付いて、
「18歳がいい! ウエディングドレスもカラードレスも白無垢も色打掛も、全部着るよ!!」
と、愛を叫んだ。
参加景品と告白大賞の商品券は、生徒会予算の雑収入として会計簿に記録された。
――高天原家系譜――
高天原家当主・高天原直人と高天原紅の子
《壱》悠人
《弐》虹人
《参》心奈子
《肆》紫織
《伍》勲
高天原財閥総帥・高天原継人と早乙女桃子(旧姓)の子
《壱》初花
《弐》章人
《参》光俊
《肆》淑香
副総帥・高天原忍とグレイス・リリー・ウィナー(旧姓)の子
《壱》アレックス睦月(Alex Mutsuki)
《弐》ブレイク如月(Blake Kisaragi)
後継者・高天原結と日高見渚(旧姓)の子
《壱》朔人
《弐》風人
《参》清子
高天原本家は四家に分かれ、常に複数の家から当主・後継者・財閥総帥・影を輩出し、後世に続いていった。
了
――あとがき――
長いお話を、最後まで読んで頂きありがとうございました。
最後の「高天原家系譜」の名付けに、生き残ったキャラクターたちの愛を感じてもらえると嬉しいです。
面白かった方は、★ポイント★や感想、レビューを下さると「完結できて良かったー!」と泣いて喜びます。
あと、推しキャラがいたら教えて下さい!
今後、おまけ小話のような外伝を、いくつか書けたらいいなと思っておりますので、また読みに来て下さったら嬉しいです。




