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くじびき勇者さま  作者: 清水文化
4盤札 誰が女神さまよ⁉
20/20

第4巻:第5章 奇跡なんて大嫌い

 クラウとパセラが(てい)()(もど)ってから、10日ほどの時が流れていた。

 この日は10月の終わり近く。帝都では例年より少し気の早い(かん)()(おそ)われていた。

 帝都の背後にそびえる(あお)(さん)(みゃく)。その高い場所がうっすらと(ゆき)()(しょう)している。帝都のふもとに見えるポルタウの街も、今は(あつ)(きり)(おお)われて見えなくなっていた。

 そんな寒空(さむぞら)の下で白い(いき)()きながら、クラウが(しゅう)(はい)()(せつ)のある建物(たてもの)に入ってきた。

「うわぁ〜。ここは中も寒いじゃないですか!」

「あ、クラウ。いきなり寒くなったから、(くう)調(ちょう)(じゅん)()が間に合わなかったそうなのよ」

 建物の中ではレジーナたちが、(あつ)()のコートを着たまま仕事をしていた。

 もっとも事務(じむ)仕事のため、(しょく)(いん)たちは寒いとはいえど()(ぶくろ)をするわけにはいかない。そのため指が()えて動かなくなる前に(あたた)めるためだろうか。ほとんどの職員の机には、大きなマグカップが置かれている。魔法による暖房(だんぼう)は失敗するとヤケドするが、下手(へた)な魔法でもお湯を温めるぐらいなら被害は少ない。そのための湯タンポみたいなものだ。どのマグカップも高めに温められてるため、そこから(のぼ)湯気(ゆげ)は寒さもあってなかなか消えずに(てん)(じょう)近くまで伸びている。まあ、中には中身を沸騰(ふっとう)させてしまい、カップに(さわ)れなくなってる職員もいるようであるが……。

「それで今、空調管理の(かかり)が、大急(おおいそ)ぎでガスの()(あい)を確かめているそうよ。だから(おそ)くても昼までには暖房(だんぼう)が使えるようになると思うわ」

 レジーナはコートに加えてマフラーもしていた。時々手をポケットに入れるのは、やはり指先(ゆびさき)を温めるためだろう。そして少し温まったところで手を出して、目の前に集められた郵便物(ゆうびんぶつ)を、行き先ごとにヒモで(たば)ねていく。

「そんなことより、レジーナちゃん。今日の朝刊は読みましたか?」

「今日の朝刊?」

 さっそくクラウの切り出してきた話に、レジーナが仕事する手を休めた。そのレジーナの前にあるカウンターに、クラウが持ってきた新聞をバサッと広げて置く。

「ソロリエンスの記事なんですけどね。『昨日(きのう)10月25日夜。メルキアの教会に突如(とつじょ)聖女(せいじょ)メイベルが(あらわ)れ、夕べの礼拝(れいはい)に集まっていた市民らがありがたいお言葉を(たま)わった』とあるのですが……」

「ああ、その記事ね」

 新聞をチラッと見たレジーナが、軽く目をつむってわざとらしく(ふか)()(いき)()く。

「その件なら朝から何件も問い合わせが来たから、メルキア教会に確認を取ったわ」

「それで、回答は?」

「『そんな事実はない』だってさ。もう、毎度毎度……。ソロリエンスのウソ記事にはうんざりだわ!」

 問い合わせた時の()(かい)さを思い出したのだろう。心の中が(いか)りで()えくり返ってるとわかるほど、レジーナの顔が真っ赤になった赤鬼(あかおに)(じょう)(たい)になっている。

 そんなレジーナの気持ちを(まぎ)らせようと思ったのか、

「ところで、この下にある西アルテースのデモ隊大(たいだい)(ぎゃく)(さつ)の記事はどうなのでしょう?」

 と、別の記事に注意を向けてきた。

「『ビーズマス(きょう)失政(しっせい)(うった)えるデモ隊に警官隊(けいかんたい)発砲(はっぽう)。デモに参加した市民に30万人の()(しょう)(しゃ)が出た()(よう)』となってますが……」

「それもソロリエンスのウソ記事でしょ。どうすれば人口が6万人しかいない小都市のデモで、30万人もの死傷者が出るって言うのよ。それに何より記事の書き方が、歴史で習ったサンクヮッドの時とまるで同じだわ。ったく、バカバカしくて相手にしてられないわ」

 そう不満を()らしたレジーナが、近くに置かれていたマグカップに手を伸ばした。指を温める意味もあるため、取っ手を持つのではなくカップを手で(つつ)むような持ち方だ。それで2口、3口と中のお茶をお(なか)に入れる。

「あ、そういえばパセラ。大丈夫なの?」

「……えっ!?」

 突然(とつぜん)、顔を上げたレジーナの()(せん)が、クラウの後ろに向かった。それで振り返ったクラウの目に、パセラの姿(すがた)が飛び込んでくる。パセラは(かべ)ぎわに置かれた長イスに座って、身体(からだ)を小さく丸めていたのだ。

「パセラちゃん。そこにずっといたのですか!? ちっとも気づきませんでした……」

「うぅ〜。クラウさん、寒いですぅ〜」

 ()(ごと)(こぼ)したパセラは、今もまだ青い正修道女の服を着ていた。服はもちろん冬服だが、パセラは寒いのにコートを羽織(はお)っていない。修道服だけの恰好(かっこう)(ふる)えているのだ。

「パセラちゃん。厚着をするのは文明人じゃないって思想の持ち主ですか?」

「違うわ。パセラ、コートを持ってないのよ」

 そう言ったレジーナが、郵便物(ゆうびんぶつ)(たば)ねる仕事に戻った。

「コートを持ってないって、きみたちのコートは()(きゅう)(ひん)でしょう?」

「そうよ。支給品には間違いないんだけどね」

 クラウにそう言葉を返したところで、レジーナが苦笑した顔でまた手を止める。

今朝(けさ)みたい急に冷え込むと、まだ支給を受けてない人たちが、()(しょう)(がかり)のところに殺到(さっとう)するのよ。でも、衣装係の方では時季(じき)的に早いと思ってたのか、まだ人数分が足りてなかったみたいなのよねぇ。で、(きゅう)(きょ)くじびき大会が始まって、この有り様というか……」

 軽く嘆息(たんそく)したレジーナが、パセラを見たあと、建物の(おく)にも目を向けた。

 コートを羽織(はお)ってない人はパセラだけではなかった。何人もの人たちがコートなしの姿で(ふる)えていたのだ。電信室の前で紙テープの山を仕分けている職員は、指が思うように動かなくて仕分けどころではなさそうだ。郵便物を仕分けているところでも、うまく郵便物を(つか)めなくて仕事がはかどらず、かなり(ぎょう)()()(しょう)が出ているらしい。

「パセラ。だから、早めにコートを用意した方が良いって言ったのよ。それなのに支給されるコートを見習い修道女(シスター)のもので受けるか、正修道女(レディ)のもので受けるかを(まよ)ってぐずぐずしてるから」

「はぅ〜……」

 レジーナの冷たい言葉に、パセラが涙目で(うな)った。

「迷ってるなら取り敢えず正修道女(レディ)用で受けといて、見習い修道女(シスター)用は降格(こうかく)が決まってから(あらた)めて受ければ良いって言ったのに……」

「はぅゎぅ〜……」

 追い()ちをかけるレジーナの言葉に、パセラは返す言葉がなく(うな)るしかないようだ。

 その時、部屋の奥から「ひょわわわわぁ〜!」と、変な()(めい)が聞こえてきた。そこではコートを着てない女性職員が、(あわ)てて立ち上がっている。

 それにいったい何があったのだろうかと、部屋にいた者たちがいっせいに目を向けた。

 その理由はすぐにわかった。空調の吹き出し口から、冷たい風が出てきたようだ。先ほどの女性職員は、その風をまともに()びたというわけだ。

 もっとも、これは暖房(だんぼう)が始まったことの(あい)()でもある。冷たい空気が押し出されれば、そのあとに出てくるのは(あたた)められた空気だ。

 もう少し辛抱(しんぼう)すれば、室内ではコートは()らなくなるだろう。もっとも、

「あぅ〜。寒いですぅ〜……」

 パセラのように、それまで()(まん)できそうもない人もいるようであるが……。



 さて、帝都が季節先取りの寒波に(おそ)われている頃、

「それにしても……。メルカトルの女将(おかみ)さんが、(だい)(しょう)(にん)のご(れい)(じょう)だったとは(おどろ)いたわ」

 大きなお風呂(ふろ)()かりながら、メイベルは割と近い年代の修道女たちに(かこ)まれていた。

「メルカトル家はメルキアでは有数の大商人ですのよ。聖女(せいじょ)さまがリディアお(じょう)さまのキャラバンとご一緒(いっしょ)(たび)をされたのは、きっと(てん)の用意された(めぐ)り合わせですわ」

 ここは南アルテースにある商業都市メルキア。そこの教会の(となり)にある大浴(だいよく)(じょう)だ。

 メイベルはメルカトル商会の馬車に乗って、1か月近く旅をしてきた。そして昨日(きのう)の午後、ついに東フォルティアース大陸南岸にある大都市に(とう)(ちゃく)したのである。

 この商業都市メルキアは、イストム()(きょう)という陸地のくびれた場所の南側にある。この地峡から東側は、長さが3000kmを超える大きなリダス半島だ。その半島によって大陸の東側にあるラトゥース大洋と南側にあるサナーレ南洋が(へだ)てられている。大陸のラトゥース大洋沿()いには大都市が発展(はってん)し、サナーレ南洋沿いには大きな都市は少ないものの南大陸や西大陸と交易(こうえき)するには大切な(ちゅう)(けい)()だ。そのためメルキアは古くから商業都市として大きく発展してきたのである。

 そのメルキアにある教会で、朝の礼拝(れいはい)が終わってから2時間ほどが()っていた。メイベルの入っている大浴場はその教会が運営するものの1つで、朝晩(あさばん)の礼拝が終わったあとの時間帯は、教会関係者の貸し切りである。

 とはいえ、多くの修道者たちは係の仕事や勉強があるため、()(ぶね)には()からずシャワーのみで済ませている。そのためメイベルと一緒にお湯に浸かっているのは、今日がたまたま休みの日に当たった修道女たちだ。

「それにしても聖女さま。ルビノさまのご病気を()(せき)の力で(なお)されるなんてすごいよ!」

「本当に素晴(すば)らしいと思いますわ。リディアお(じょう)さまの次女ルビノさまのご病気は、メルキアでは有名な話ですもの。さすが聖女さまに(えら)ばれるお方ですわ」

「あのぅ、いきなり奇跡と言われてもねぇ……」

 修道女たちの言葉に、メイベルがどう説明したものかと困った顔をする。

「わたしは奇跡を起こしたつもりはないし、それにルビノちゃんの病気が治ったかどうかも、昨日(きのう)、病院に(けん)()(にゅう)(いん)して、今、お医者さまに(くわ)しく()てもらってるところでしょ。まだ治ったと言い切るのは気が早いわ」

「え!? そうなのですか? あたしはもう治ったと聞いていたのですが……」

「治ったかどうかわからないけど、今のルビノちゃんは間違いなく元気よ。最初に会った時のぐったりした感じが、ウソだったみたいに思えるもの」

「あのぅ、聖女さま。それが奇跡だと思うんですけどぉ」

「うん。それが奇跡じゃなかったら、何が奇跡になるのか……」

 奇跡を否定するメイベルに、修道女たちが言いにくそうにツッコミを入れてくる。

「まあ、それはそうと、大商人のお(じょう)さまが、どうしてキャラバンを(ひき)いて旅をしてたんだろうね?」

「それは()(とく)()ぐための伝統(でんとう)ですわ」

 ふと()らしたメイベルの疑問に、ふんわりした印象のある修道女が答えてきた。

「家督を継ぐため?」

「はい。メルキア商人の伝統ですのよ。商人としての目を(やしな)うため、それと時代の変化を(はだ)で感じるための(しゅ)(ぎょう)の旅ですの。旅には何人かの(かん)()(こう)()を連れていくそうですわ」

「へぇ〜、修業の旅かぁ。なんかカッコイイわね」

 修道女の説明に、メイベルが(きょう)()を持ったように身を乗り出している。だが、修道女たちは家督や修業の話を続けるよりも、

「それよりも聖女さま、今朝(けさ)のお言葉には、大変に感銘(かんめい)を受けましたわ」

「ホント、考えさせられたわ。身体(からだ)と心に栄養(えいよう)をって……」

 と、朝の礼拝の時にメイベルが語ったお言葉についておしゃべりしたいようだ。

「最初の食べ物の話は、わかりやすかったよね。同じものばかり食べてたら、栄養が(かたよ)ってしまう。だから、たまには違うものを食べないとってさ」

(きら)いな食べ物は、耳に(いた)い話と同じ。どちらもあなたにとって()りないものですって、まさにその通りと思いましたわ」

「そうそう。そこから信仰(しんこう)のお話に持っていって、同じ話ばかり聞いてたら信仰が(かたよ)ってしまうって……。そのお言葉が出た時の()(きょう)さまのお顔ったら……。うふふ……」

「あはは、司教さまってさ、同じ話を数日おきに()り返すだけだもんね」

 朝の礼拝の時に語ったメイベルのお言葉は、修道女たちには大変に(こう)(ひょう)だったようだ。

「夕べのお言葉もすごかったよね。人間の文化とドラゴンの文化の話。あたし、夜は興奮(こうふん)して()られなかったよ」

 (みじか)(かみ)の修道女が、昨晩(さくばん)の話を思い出して(ひとみ)(かがや)かせている。今も興奮が()めていないようだ。

「ドラゴンというのは、本当に()(かい)な方たちでしたの? わたしは(こわ)いというイメージしか持っていないのですが……」

「もしも戦うことになったら、大きいしメチャクチャ強いから人間に勝ち目はないわ。その部分だけを見たら怖いと思うのは間違いないと思うの。でも……」

「ドラゴンは強いから心に()(ゆう)がある。だから、毎日を楽しめる……だよね」

 メイベルの答えを、髪の短い修道女が横取りしてきた。その修道女が、

「ドラゴンは()(かい)(りょく)という強さで心の余裕を持ったけど、強さは力だけじゃない。()(しき)経験(けいけん)信頼(しんらい)できる仲間の数、他人に負けない何かがあれば、それが心の余裕になる。夕べのこの()めの言葉が、もう思い出すたびに感動して涙が出てくるよ」

 (こぶし)(にぎ)って(ひとみ)をうるませている。彼女にとってはその話が、よほど心の琴線(きんせん)()れていたようだ。

「聖女さまはお若くていらっしゃるのに、お話がお(じょう)()でいらっしゃるのですね。失礼ですが、今、おいくつですの?」

「16ですよ」

「げげっ!? あたしの1コ下だ……。負けてる……。あたし、人として負けてるよ……」

 メイベルの答えに、髪の短い修道女が一転して落ち込んだ。そのまま気持ちを(あらわ)すように、お湯の中へブクブクと(しず)んでいく。

「聖女さまは(きゅう)(せい)の旅に出られたり、帝都から追われたりと人生経験が(ほう)()ですものね。やはり経験の(ゆた)かさがお言葉の素晴(すば)らしさに(あらわ)れるのかしら?」

「あ、それはすごい買いかぶりですよ」

 ふんわりした印象のある修道女の言葉を、メイベルが手を横に振りながら否定する。

「実はね。お言葉には『聖典訓(せいてんくん)()(せん)(しゅう)』っていうアンチョコ集があるのよ。救世の旅で立ち寄った教会で、いつもお言葉を求められて困ってね。そんな時にアンチョコ本があると教えてもらったの。で、これは便利だから他にもないかと図書館で探してみたら、これがまた何十種類もあったの。こういう本がたくさん書かれてるってことは、それだけ朝晩(あさばん)礼拝(れいはい)で話すネタに困ってる司教さまが多いんだなぁ〜と……」

「うふふ。そういうものがございましたの」

 メイベルの話に修道女が口許(くちもと)を手で押さえながら笑う。そこに別の修道女が、

「でも、アンチョコを見ただけで、あんなに感動できるお言葉は話せないでしょ?」

 と会話に加わってきた。

「いや〜、あれはハッタリだから」

『ハッタリ?』

 メイベルの言葉を、修道女たちが一様に意外そうな表情を浮かべて聞き返してくる。

「みんなはわたしを聖女と思ってるでしょ。それで聖女なら、こういう話をするはずだって期待があるでしょ。そこで、わたしは最初に、その期待を裏切る話題で話し始めるの。そうすると、みなさん、何事だと思って話に耳を(かたむ)けてくれるのよ。で、そこにアンチョコにある聖典から引用した言葉を()()ぜると、けっこう興味を感じてくれるし、やはり聖女の言葉だと安心するみたいなの。そうなったら、あとは好き勝手に話しても大丈夫みたいでね。それで最後に強引(ごういん)にでも(きょう)(くん)めいたお言葉を引っ張り出せば、みなさん、勝手に感動してくれるというか……」

「こらこらこら。あんたはそういう話術を使って、あたしらを錯覚(さっかく)させてたの?」

 湯船に沈んでいた短い髪の修道女が、メイベルの背後から顔を出してきた。

「錯覚じゃないわ。勝手な思い込みよ。心理学で言うところの後光(ハロー)効果ね。わたしはそれをありがたく利用して、気持ちよぉ〜く解説ができて楽しいわ♪」

 軽く後ろを向いたメイベルが、心から満足そうな顔で(ほほ)()む。その笑顔を、

「うっうっうっ……」

 と(うな)りながら、お湯に鼻まで沈んだ修道女が(にら)んでいた。だが、少ししてその修道女の表情が「やられたなぁ」というものに変わった。そして、

「このぉ〜、あのお言葉がハッタリとは何だ! あたしの感動を返せ!! あの眠れなくなるほどの心の高まりを返せぇ〜っ」

 と笑いながら、メイベルに後ろからじゃれついてきた。

「聖女さまと聞いて、どれほどの聖者さまかと想像してましたのに。わたしたちと同じ女の子なのですね」

「こういうのって親しみが()くというか。なんかうれしいよね」

「え〜いっ! やっちゃえ、やっちゃえ♡」

 周りにいた修道女たちも、ここぞとばかりに悪乗りに加わってきた。

「やめやめ! くすぐるのはやめてぇ〜!!」

 みんなにイタズラされるメイベルが、お湯の中で(あば)れながら悲鳴を上げる。その騒ぎに、浴場がたちまち大きな笑いに(つつ)まれていった。


 それと同じ頃、ルビノの方はというと、

「リディアさま。サンルミネの医師(いし)の見立て通りです」

 必要なすべての(けん)()が終わり、医師から結果説明を受けていた。

 ルビノはメルキアに戻ったその日のうちに検査入院して、担当医師たちによって(くわ)しく診察(しんさつ)されていたのだ。その結果は、

「ルビノさまのご病気の(ちょう)(こう)は、跡形(あとかた)もなく()(れい)に消えてます」

「消えてる……のですか?」

「はい。担当させていただいた医師の心情からは、信じられないほど完璧(かんぺき)に……」

 メルカトル夫人の確認に、医師が(ほお)を引き()らせながら答えてくる。

「それでは、ルビノは……?」

「今は間違いなく健康そのものです。失礼を(しょう)()(ほん)()を言わせてもらえば、『おかしい、健康すぎる』……と……」

 医師が大マジメな顔で放言(ほうげん)してきた。その医師と母親の顔を、ルビノがきょとんとした表情で見上げている。

「ルビノさまが健康になられたのは(よろこ)ばしいことなのですが、医者としては納得(なっとく)できる理由が欲しいのです。ルビノさまを不治(ふじ)(やまい)としたのは、医者として重大な()(しん)だったのか。それとも我々医者の知らない治し方があり、実は不治の病ではなかったのか……。同じような病気の患者(かんじゃ)はいるのですから、治せるのであれば治し方を知りたいのです」

「先生のお気持ちは(さっ)しますけど……」

 そう言って(ふか)()(いき)()いた夫人が、ふと笑みを浮かべてルビノの頭をなでる。

「一緒に旅をした聖女さまの起こした……、奇跡……かねぇ」

「奇跡ですか? 医者としましては、そういうものは認めたくないのですが……」

 メルカトル夫人の言葉に、複雑(ふくざつ)な表情を浮かべた医師が困ったように(こぼ)した。

 そんな医師の顔を見上げていたルビノが、にこっと明るく(ほほ)()んだ。その笑顔を見た医師もつられて(ほほ)()むと、

「奇跡……ねぇ……」

 と(つぶや)きながら、診察(しんさつ)()(ろく)に『聖女の奇跡』と書き込むのだった。


 その奇跡を起こしたとされた聖女メイベルは、

「聖女さま。ご()(げん)(うるわ)しゅうございます」

「聖女さま。こんにちは」

 大浴場を出たあと街中へ出ていた。メイベルは聖修道女の着る黄色い修道服をまとっている。そのため多くの人たちの目に()まり、そのうちの何人かが気軽にあいさつしてきたのだ。それに「あ、どうも。あ、こんにちは」と、メイベルもあいさつを返している。

「ん〜。手配書の件がすっごく心配だったけど、教会も街の人も、ホントに南方教会の人たちは中央の手配書なんか気にしないで、わたしたちを受け入れてくれるのね」

 明るく(あい)()を振りまきながら、メイベルは心の平穏(へいおん)満喫(まんきつ)していた。

 昨日(きのう)は教会の夕べの礼拝(れいはい)に顔を出したものの、やはり心配があるので教会には()まらず、メルカトル家に泊めてもらっていた。だが、その警戒(けいかい)()(ゆう)と感じるほど、街の人たちは温かくメイベルたちを(むか)えてくれている。

 そのメイベルが向かったのは、

「うわぁ〜。やっぱり大きいわ……」

 メルカトル商会の本店(ほんてん)である巨大(きょだい)(ひゃっ)()(てん)だった。建物があるのは教会前広場から伸びる中央通り沿い。建物は5階建てで、明かり取りのために窓が大きく作られている。

 その建物の2階から、

「あ、メイベルちゃん。いらっしゃ〜い!」

 と言って、カメリエラが手を振ってきた。建物は(おもて)から3階まで広い外階段で(のぼ)れるようになっている。カメリエラはその階段を通って、メイベルの前まで駆け降りてきた。

「カメリエラさん。ここはすっごく活気がありますね」

「もちろん街の中心地ですもの。お店には自然と人が集まってくるのですわ」

 そう言ったカメリエラが、お店を振り返った。お店ではカメリエラと似た衣装を着た売り子たちが、大勢の買い物客たちを相手にしている。それを見るカメリエラの(むね)には、『リデル()(しょう)販売(はんばい)()(ほん)()(ちょう)()(なら)い』と書かれた金バッジが(かがや)いていた。

 そのカメリエラが、

「ナバルくんに会いに来たのでしょう。事務所の方へ案内しますわ」

 と言って、メイベルを通りの奥へ向かう()(みち)へ案内した。

 小路に入ると、通りの雑踏(ざっとう)がウソのように静かになった。建物の裏へまわると、そこはメルキアの(ごう)(しょう)たちの暮らす(こう)級住(きゅうじゅう)宅街(たくがい)なのだ。

 メルカトル家の住宅は、百貨店の後ろに広がっていた。そこはとても大都市の中とは思えないほど、大きな庭園(ていえん)のある邸宅(ていたく)になっている。その庭にはメイベルが乗ってきた馬車が()められ、今、数人の()車大(しゃだい)()たちによって()守点検(しゅてんけん)されているところだ。その馬車を()いてきた騾馬(らば)たちは、小さめの馬場(ばば)(はな)()いにされている。

「ナバルは、今、事務(じむ)(しょ)ですか?」

「ええ、(けい)()(しょ)()を手伝ってくださってますわ。経理仕事のできる人が少なかったので、経理部長さんが大変に喜んでますの。あ、こちらですわ」

 邸宅の一部は、事務所になっていた。メイベルは先に入っていくカメリエラのあとについて、事務所に入っていく。

「うわぁ〜、ホントにナバルが事務仕事してるわ。()脳労働(のうろうどう)するナバルの姿って、あまり想像できないんだけど……」

「メイベルちゃん。それはナバルくんに失礼ですわ」

 メイベルの言葉に、カメリエラが口許(くちもと)(かく)して笑った。

 その2人の見てる前で、ナバルがソロバンの(たま)をパチパチと(はじ)いている。それで1冊片づけたところで、ナバルがメイベルが来ていたことに気づいた。

 そのナバルに近づいていったメイベルが、

「ナバルが頭脳労働するなんて、まだ信じられないわ」

 と、ちょっと皮肉混じりに意外な一面を()めようとする。ところが、

「頭脳労働? (おれ)は頭なんか使ってるつもりはないぞ」

 と答えてきたナバルが、またパチパチとソロバンの珠を弾き始めた。

「頭を使ってるつもりはないって……。立派に計算してるじゃないの」

「ん!? 計算は頭を使うのか? 使わないだろ」

 メイベルの言葉を、ナバルがそう言って否定してきた。

「計算っていうのは、(けん)(じゅつ)でいうところの『型』だよな。とにかく反復(はんぷく)すれば身体(からだ)が自然と覚えるんだから、同じものだと思うんだ。頭なんか使わないだろ」

「えっと……。それはそうなの……かな?」

 ナバルの言葉に、メイベルが答えに困った。どうやらナバルの頭には『計算筋(けいさんきん)』があって、今はそれを(きた)えているところらしい。ナバルはつくづく(のう)ミソ筋肉な男であった。

 そこに、

「今、帰ったよ」

 と言って、メルカトル夫人が事務所に顔を出してきた。その夫人が、

「あ、メイベルちゃん。ちょうど良かった」

 メイベルの姿を見つけて手を取ってくる。

女将(おかみ)さん。どうしたのですか?」

「ルビノの病気がね、すっかり(なお)ってたんだよ」

 メルカトル夫人がメイベルの手をしっかりと(にぎ)って、うれしそうな顔で言ってきた。

「それは、良かったですね」

「そうなんだよ。やっぱり、これは聖女さまの奇跡かねぇ」

「………………それは違います」

 夫人の思った理由を、メイベルが少し間をあけてキッパリと否定した。だが、

「お医者さまも理由がわからないらしくてねぇ。やっぱり奇跡じゃないのかい?」

「わたしは奇跡じゃないと思いますけど……」

 夫人の表情を見てると、メイベルは否定しづらくなってきた。そのメイベルに、

「お姉ちゃん。ただいまなの」

 と言って、ルビノが()きついて(あま)えてくる。

 そのルビノの頭を(やさ)しくなでた夫人が、

「ところでカメリエラ。キャラバンの出発の準備はできてるかい?」

 と、また次の旅をほのめかしてきた。

「今、馬車の点検(てんけん)をお(ねが)いしてますわ。何も問題(もんだい)がなければ明日(あす)にでも出られます」

「そうかい。それじゃあ問題がなかったら、明日(あす)にも出ようかねぇ」

 カメリエラの答えに、夫人が次の出発の日取りを即決(そっけつ)した。

女将(おかみ)さん。また旅に出るのですか?」

「ああ、今度はリダス半島の先の方まで行くのさ。次にここに戻ってくるのは、冬が終わって春になる頃かねぇ」

 そうメイベルに答えた夫人が、事務所の壁に掛かっている地図に目を向けた。

 リダス半島はメルキアから東へ長く伸びる半島だ。

「メイベルちゃんらは、どうする? 一緒に行くかい?」

「わたしたちですか?」

 一緒に旅をするかどうか尋ねられたメイベルが、視線をナバルに向けた。

「決定はメイベルに任せる。好きなようにしろ」

「ええ。また!?」

 またナバルに任されて、メイベルが困った顔をする。

「お姉ちゃん。一緒に来るの?」

 甘えているルビノが、そう言ってメイベルを見上げていた。しばらくそのルビノに視線を落としていたメイベルが、次にメルカトル夫人に視線を向ける。

女将(おかみ)さん。南方教会の中心は、何教会かご存じですか?」

「南方教会!? なるほど、メイベルちゃんらにとっては、あたしらと旅をするより、そっちを目指した方が良さそうだね」

 メイベルの質問に、夫人がここでの別れを理解する。

「南方教会の中心は、(せい)ラクス教会さ。あたしらが行く方向とは逆の、西へ行くんだよ」

 その言葉を聞いたルビノが、メイベルに強く()きついてきた。

「お姉ちゃん。また会えるの?」

 メイベルの身体(からだ)に顔をうずめて、ルビノがそんなことをきいてきた。

「もちろん旅をしてれば、いつか、また……」

「うん。わかったの」

 メイベルの言葉に、ルビノが(けな)()にそう返してきた。だが、ルビノはまだメイベルに顔をうずめたままだ。もう少し甘えていたいらしい。

 そのルビノの髪をそうっとなでて、

「ルビノちゃん。今日は思いっきり遊びましょうか」

 とメイベルが提案(ていあん)した。その言葉にがばっと顔を上げたルビノが、

「うん。遊ぶの!」

 と、明るい声で答えてきた。



 そして、翌日、

「これでまた半年、メルキアの街も()(おさ)めだねぇ」

 メルカトル商会の隊商が、東へ向かう街道を走っていた。

 先頭の馬車の荷台では子供たちが、

「ソプラノ姉ちゃん。通分(つうぶん)ってどうやるんだっけ?」

「ちょっと待って。この単語のつづりが思い出せなくて……」

 さっそく通信(つうしん)(きょう)(いく)()(だい)(はげ)んでいる。

 だが、まだ義務(ぎむ)教育の年齢(ねんれい)(とど)いていないルビノは、母親と一緒に馭台(ぎょだい)にいた。

「ルビノ。何読んでるんだい?」

「お姉ちゃんからもらった本なの」

 そう答えるルビノが広げているのは『栄養学大(えいようがくだい)()(てん)』だった。細かい文字の意味はわからなくても、ルビノにとってはカラーの絵が食べ物()(かん)のように楽しめるものだ。

「そういや、あんた。出掛けにメイベルちゃんから、何かもらってなかったかい?」

「もらったよ。ちょっとしたメモ書きだけどな」

 ふと投げかけられた夫人からの質問に、メルカトル氏が()(づな)(あやつ)りながら答える。

「何のメモだい?」

「料理の(こころ)()だ。と言っても、書かれてたのは2つだけ。毎日の料理には必ず()(もの)()(さい)を使うこと。それと、たまには魚料理やフルーツを出せとさ」

「葉物野菜に魚とフルーツ? 何か意味があるのかい?」

「これを守れば、ルビノがまた病気になることはないとか言ってたぞ」

「また病気に?」

 メルカトル氏の答えに、夫人が少し考えるような()(ぐさ)をした。そして、

「あの子、やっぱり病気について、何か理由に気づいてたんじゃないかねぇ」

 と(こぼ)して、大きく(かた)をすくめる。

「まあ、何にせよ、ルビノの病気が治ったんだ。これは聖女さまの奇跡だよな」

「聖女さまの奇跡……ねぇ」

 そう(つぶや)いた夫人が、静かに空を見上げた。

「あの子、これから、もっとすごい伝説(でんせつ)(つく)るような予感がするよ。聖女さまって(うつわ)じゃ(おさ)まらないねぇ。もっと大きな……、奇跡を起こす女神さまだったのかもしれないねぇ」

 メルカトル夫人が、綿雲(わたぐも)を見ながらそんなことを言い出した。それを聞いたルビノも、

「うん。お姉ちゃんは女神さまだったの」

 と言って、母親を真似(まね)て青空を見上げた。


 一方、ナバルとメイベルは、隊商とは反対の西へ向かって旅立っていた。

 その2人は今、メルキアを東西に分断(ぶんだん)するように流れるフレキ川の前にいた。西へ向かう道の先には、大きな2本の(とう)が印象的なメルキア(ばし)()かっている。その2つの塔の間には()り上げ橋があり、今、まさに大型船(おおがたせん)を通すために吊り上げられているところだ。

「すっご〜い。こんな(りっ)()な橋なんて、見たことないわ」

 吊り上げ橋が上がって通行止めになってる間、メイベルは橋の河口側に張り出した小さな展望公園(てんぼうこうえん)へ行って、橋を横から見る景観(けいかん)を楽しんでいた。その目の前で川の上流に作られた港を出た真っ白な()(きゃく)(せん)が、橋に近づいてきている。

「この観光(かんこう)ガイドによると、このメルキア橋は全長320m。2つある塔の高さは50mで、塔の間の約70mが上下する巨大な吊り上げ橋なのね」

「観光ガイドって……。いつの間に手に入れたんだ?」

「出る時に教会でもらったの」

 メイベルの答えに、ナバルが(あき)れた顔で(だま)り込んだ。

 その2人の見ている前で、貨客船が橋の間に入ってきた。そして船首(せんしゅ)が橋にかかった時、大きな音でボーッと()(てき)が鳴らされる。

「そう言えば、メイベル。みんな、ルビノちゃんの病気が治ったことを、聖女さまの奇跡って言ってたな」

 船を見ていたナバルが、思い出したようにそんな話を切り出してきた。それにメイベルも船の動きを目で追いながら、

「奇跡ねぇ……。あれは奇跡じゃないわ。ちゃんとした理由のある科学よ」

 と、奇跡という言葉を否定してくる。

「理由って、病気のか?」

「そうよ。ルビノちゃんはね、ただの栄養(えいよう)()(そく)だったの。そうね、(はじ)めの頃の食べ物から考えて、葉物野菜の不足かしら。それで病気になってたのよ」

 そう語るメイベルの目は、船の立てる波に向かっていた。その波が横に広がり、(きし)()船遊(ふなあそ)びしてる人のボートを(はげ)しく()さぶっている。

「栄養不足? っていうか、栄養ってなんだ?」

「生きていくために必要なものよ。わたしたちはそれを食べ物から()てるんだけど、大ざっぱに言うとね、お肉を食べれば身体(からだ)ができて、パンやご(はん)、お(いも)を食べれば運動ができて、野菜を食べれば風邪(かぜ)をひいたり病気になったりを()らせるって感じかしら」

 と話しているうちに、船が橋を抜けた。そして、またボーッと汽笛を鳴らして、船が外洋へと旅立っていく。

「それじゃ、メイベルはルビノちゃんの症状(しょうじょう)()て、必要な料理を作ってたのか?」

「それがさ、そういうわけでもないのよ」

 船が通りすぎたので、ふたたび橋が動き始めた。カンカンと(かね)の音を鳴らしながら、吊り上げられていた橋がゆっくりと下がっていく。その光景をジッと見詰めながら、

「実は栄養の研究って、ほとんど進んでないのよね。だから、この前買った栄養学の本には『栄養はバランス良く()ることが大切』とは書かれてるけど、肝心(かんじん)のバランスには何も()れてないの。まあ、何もわかってないんだから、触れられるわけがないんだけどね」

 と言って、肩をすくめた。

「それで、よくルビノちゃんの病気を治せたな」

「まあ、そこはそれ。バランスがわからないのなら、料理の種類を増して毎日違うものを食べてれば、少しは栄養の(かたよ)りが小さくなるのかなぁ〜って……」

「それは、かなり乱暴(らんぼう)な考えだと思うが」

 そう苦笑したナバルが、橋に向かって歩き始めた。吊り上げられていた橋が下まで降り、通行止めが解除(かいじょ)されたからだ。

「それなら、他の子供たちだって同じ病気にならないか? 同じものを食べてただろ?」

「こういうことには個人差があるわ。でも……」

 そこまで言いかけて、メイベルがくすっと(ほほ)()む。

「他の子供たちは、街でよく買い食いしてたでしょ。それで本能的(ほんのうてき)()りない栄養を(おぎな)ってたのかもしれないわね」

「本能ねぇ……」

 ふたたび橋を渡り始めた人たちが橋の真ん中ですれ違った。その光景を見ながら、ナバルがもうこれ以上の質問はやめようと思った。だが、一度始まったメイベルの解説は、そうそう簡単には止まらない。

「そうそう。ルビノちゃんが入院しても治らなかった理由だけど、それって、病院で出された食事が原因じゃないかしら」

 と、聞いてもいないのに、次の話題に移っていた。

「病院は病気を治すところだけど、患者(かんじゃ)の食べ物にはあまり気を使わないものでしょう。それで入院しても栄養が足りないままだったから、いつまでも治らなかったと思うのよ」

 などと話してる間に、2人は橋を渡り始めていた。そこで塔を見上げながら、

「だからね、物事にはちゃんと理由があるのよ。それを奇跡なんて安っぽい言葉で片づけないで欲しいわ」

 と言ったところで、メイベルが立ち止まった。

 それに気づいたナバルが、少し先で止まってメイベルを振り返る。

「ということで……」

 ナバルににっこりと(ほほ)()んだメイベルが、川の下流を向いて手すりを(つか)む。そして、

「わたし、奇跡なんて言葉は大っキラぁ〜〜〜〜〜〜〜〜イっ!!」

 と、目の前に広がる海に向かって大声で(さけ)んだ。

「おいおい。それは聖女さまの言う言葉か?」

 (あき)れたナバルが、苦笑した顔で空を見上げる。

 そして2人は、(せい)ラクス教会を目指して旅を続けるのだった。

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