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二人のフィーナ  作者: ねこまんまときみどりのことり


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8/12

再生

 フィーナ、マリア、ダドリー、ロンダの魂は、暖かい場所で微睡んでいるかのように安らかだった。


 そして視覚ではない感覚で、一人の人生が映像のように再生されていく。



 ある人物とはキンバリー。

 フィーナの母である。

 キンバリー・アディル伯爵令嬢は、アディル家の先代伯爵の愛人の子だった。

 先代夫人の侍女であったキンバリーの母ユリカは、キンバリーを身籠って職を辞し囲われていたが、夫人はそれを許さなかった。


 愛人になったことは本意ではなかった。

 だが没落貴族の子爵令嬢に拒否権はなく、後ろめたく生きていた彼女は出産後に夫人に依頼された者に殺された。

 夫人は力のある侯爵家の娘で、先代伯爵が逆らうことは出来なかった。



 産まれた子をどうするか迷ったが、夫人へ無邪気に微笑むキンバリーを殺めることは出来なかった。

 腕に抱くその重みと暖かさに情けをかけた夫人は、その子を息子夫婦の子として届けを出した。


 異母妹を自分の子として育てる伯爵とその妻。

 幸いなことに魔力も多い彼女は、すくすくと育った。

 それなりに愛も受けていたが、伯爵夫妻の本当の娘が生まれると事態は変化した。


 どうしたって自分の子の方へ愛情は向かう。

 父である先代伯爵も夫人の目があり、キンバリーに優しく振る舞えない。

 夫人はキンバリーに怒りを向けないように、関わりを最小限にした。


 そんなやり取りを見た使用人達も、態度を合わせることになる。


 その後男児が生まれなかったことで、親戚から養子に来た義兄も、分別がつく毎に大人しく悪く言えば暗いキンバリーよりも天真爛漫な妹を可愛がった。

 それが更に、キンバリーの寂しさを深めることになる。


「お兄様が出来れば愛して貰えるかもしれない」と、勝手に想像し勝手に落ち込んだ為だ。


 何もかも過不足はないが、愛だけを感じられず育ったキンバリー。

 いつか褒めて貰えるように愛して貰えるように勉強等を頑張ったが、愛される結果には到らなかった。



 ある時ブラルケット公爵家から婚約の打診が来た。

 アディル伯爵夫妻は、打診相手のティアジルがランテと偽装離婚をしていたことを知っていた。

 隠していても少し調べれば分かることだった。


 彼らがアディル伯爵家を打診相手に決めた理由は、権力も財力も程ほどでブラルケット公爵家に逆らう力がなかったことだ。

 意味の通り、従順な妻を求めているのだ。

 そして上位貴族からの求婚は断れない。

 もし断れば、どんな圧力がかけられるか想像もつく。



 伯爵夫妻は、公爵怪を敵にまわす恐ろしさを知っていた。

 でももし愛娘が嫌がるなら、迫害も受け入れ断ったかもしれない。

 でも…………。

 彼らはキンバリーに、そこまでの思いを抱けなかった。

 伯爵家を守ることにまわったのだ。



 そのことをキンバリーは知らない。




◇◇◇

 嫁いで来たのは、優秀であるが陰のある美人。

 それがキンバリーの印象だった。

 彼女は優しいティアジルに心酔し、幸せになれると思っていた。

 子も出来て幸せだった。


 けれどキンバリーが生まれてから、ティアジルと閨を共にすることは少なくなり、仕事が忙しいと言って外泊も多くなった。

 その時既にティアジルは別邸に寝泊まりしていたが、キンバリーが気づくことはなかった。

 彼を信じていたからだ。


 そしてキンバリーが5才になり、ティアジルは本性を現してキンバリーとフィーナは別邸に移動することになった。

 信じられず愕然とするが、アディル伯爵家とも話はついていると言われ放心した。

 最初からこうなると分かっていて、自分は嫁がされたのだと。

 思えば若く地位も財産も、美しさもあるティアジルなら、再婚だろうと王女さえ娶れる立場だ。

 可愛がられている、キンバリーの妹が嫁ぐ方が不思議ではなかった。


「そうね、こんな幸福は過ぎたものだったのだわ。でも…………酷い、うっ、くっ」


 いくら頭で分かっていても、心が追い付かない。

 だってあんなに優しくて、いつも微笑んでくれたのに。

 …………全部仮初めの夢だったのだから。

 それにメイドの話から、フィーナは何れ側妃として嫁ぎ、子を生んで死ぬ運命だと言う。


「この子は私のせいで、私が無知だったせいで巻き込まれた。この家に生まれなければ、長生き出来たかもしれないのに」


 子を思う気持ちも、ティアジルを思う気持ちも、キンバリーの心を不安定にする。

 ティアジルを嫌いになれれば、この家から逃げ出すことも出来るのに。

 裏切られた今も、キンバリーはティアジルを愛していた。



◇◇◇

 ティアジルが愛するブルガリやランテから、『替え玉だ』と嘲笑われたあの日のことはトラウマになっていて、思い出すと死にたくなる程キンバリーを苦しめた。  

 普段はフィーナを守れるのは自分だけだと奮い立つも、辛くて負けそうになる。


 その日は夢に彼らが現れ、辛さに堪えきれず城から抜け出したキンバリーは、護衛騎士のエクライトと共にランテ達の雇った武装した集団に襲われた。

 庇ったエクライトは死に、キンバリーは貴族牢に心を壊されたまま監禁された。


 そこで母を人質に取られたフィーナの執事ケアンフトは、彼女達に命じられてキンバリーを妊娠させ、生まれた子供達はランテにより魔道具で魔力を吸収され死んでいった。

 その後にキンバリーも魔力が尽きて衰弱し、命を落とした。


 フィーナが葬儀で再会した母は、辛い人生を終えた後だった。

 最期(死ぬ)までキンバリー自身が知らない情報もここにはあった。


 キンバリーが全てを知ったのは、死んでからだった。



◇◇◇

 フィーナ、マリア、ダドリー、ロンダの魂は、その映像を見て、泣くことは出来ない状態だが、みんなが心の中で泣いていた。


 渦中にいた本人(キンバリー)は、その時々にガードをしたり聞き流して心を守ってきたのかもしれないが、直視した四名は直にその状況を受け入れ、自分のことのように苦しんだ。


「一人で苦しんできたのね。誰にも相談できずに、ずっと…………」


「奥様がまさか、先代様の…………。だからご両親からの関心が薄かったのでございますね。私で良ければ、相談して欲しかったです…………」


「俺は奥様が、旦那様が好きで嫁いで来たのだと思っていたよ。社交界ではランテ様の噂もあったから。

 知らなかったんだな。…………こんなのもう、騙し討ちじゃないか!」


「俺は奥様が幸せだと思ってたよ。俺はフィーナ様用にたまたま雇われた平民の馭者だから、詳しいことは知らなかったし。

 でも公爵家の馭者が平民なんて変だよな。

 俺は腕っぷしは強い方だけど、マナーなんてからっきしだし。

 フィーナ様も蔑ろにされてたのか。

 奥様のことだってそうだ。

 護衛がもっと多ければ、拐われたりもしなかっただろうに…………」



 口もない四人だが、意識だけで考えが共有されていく。

 キンバリーの人生が憐れ過ぎて、意識でなければうまく伝えることも出来なかっただろう。



 そしてキンバリーと共に、映像に映ったフィーナについても過酷な状況だったことが知られていく。


 生まれる前から贄になる運命だったことや、キンバリーに愛されていたがティアジルには関心を貰えなかったこと。

 キンバリーがティアジルを思い窶れていた時、本邸に嘆願に行くもランテとブルガリといるティアジルを見て落ち込んで帰ってきたこと。

 キンバリーが行方不明になってから山の家へ追い出され、一度もティアジルが会いに来たことがなかったこと。


 そして後半年の嫁入りを前に、突然王妃になることに変更され四人が襲われたこと。

 恐らく馬車の襲撃と、フィーナを狙ったランテとブルガリ達は別の者達だろう。


 公爵家当主ティアジルが護衛を増やしていれば、少なくともフィーナだけは守られたはずだった。

 どこまでも蔑ろにされていたことを改めて自覚する。


「せめて護衛がもう少しいれば、貴方達を巻き込むことはなかったのに。ごめんなさい、ごめんなさい、うっ、うっ、」

「泣かないで、フィーナ様」

「そうですよ、貴女はなにも悪くない」

「ケチ臭い公爵が悪いんすよ! 加害者を庇って、貴女が謝っちゃ駄目だ。それに俺はフィーナ様を守れなかったし。謝るなら俺の方だ」


「それなら、俺は護衛なのに守れなかった。俺が一番悪い」

「違うわよ。あんな人数、一人か二人じゃ無理よ。みんな悪くないわ!」

「そうですね。みんななら、フィーナ様も悪くないです」

「そうそう。公爵家からヘッポコ騎士が来ていても同じでしたよ。あいつらプロみたいだし」


「もうそのくらいで良いでしょ。フィーナ様もみんなも悪くない。良いですね」

「ああ、今さらだ。俺はフィーナ様の味方だ」

「俺だってそうさ。こんなに優しい貴族になんて会ったことなかった。すっかりフィーナ様ファンになったよ」

「ええっと。ありがとう、みんな。私は幸せだわ。お母様にも幼い時、こんな味方がいれば良かったのにね」


 フィーナは嘘のないみんなの気持ちに触れ、心から幸せだった。


 けれどそこに、亡くなったはずのキンバリーの声が聞こえた。



◇◇◇

「みんなに私の人生を見られて恥ずかしいわ。

でもこれを見せたのは理由があるの。

 今、貴方達は私の魔法の中にいます。

 本来の私のスキル能力は『治癒』。

 時間を逆行させて、傷ができる前に戻すものです。

 今この能力は、国王の魔力を吸収してきた魔道具の力で何百倍にも引き上げられています。


 簡単に言えば過去に戻れるほどに。


 でもこの力が魔道具に十分に満たされたのは、私の魔力と私が貴族牢で生んだ子供達と、私に魔力を託して亡くなったエクライトの魔力があってこそなのよ。


 だから私の甦りは出来ないの。


 この国にいれば、フィーナは側妃でも王妃でも生き残れない。

 だから、いくつかの逃げられる可能性を選び出し過去を改竄してみんなをそこに送り出すわ。


 ケアンフトは今、貴方達の存在を隠蔽し見つけられないように、領域空間(他者から隔離して隠せる空間魔法)を展開しているわ。


 彼のことを怒っているかもしれないけれど、許してあげてね。

 彼も事情があったことは見たでしょう。

 それに彼は、みんなの為に命を削りながら空間を維持しているわ。

 かなりの魔力を費やしてね。


 急いでフィーナが外に出られそうなタイミングを探すわね。


 今から、襲われた時の時間軸から少しずつ過去に戻るわ。

 でも過去に戻れば、その時点より未来には戻れなくなるの。



 フィーナ達の肉体は、いわば瀕死。

 その空間の中でないと、死んでいる状態なの。

 いくら私でも、死者は生き返らせることはできない。


 この莫大な魔力があったとしてもね。


 でも………………。

 傷の治り方が状況によって違うように、過去の行動にも僅かなズレで大きく未来を変化する分岐があるの。


 分水領的な地点に。


 遡っている時間は、貴女が行動しようとした可能性の一つ。

 その無数の時間軸を無数に繋いで、その過去に戻っていくの。


 たぶんこれは、魔道具に込められた貴女の幸せを望む意思が作り出した空間だから、味方もしてくれるはず。


『だから諦めないで、最善を尽くして。選択せず、生まれる前に戻って、消滅をしないように』




 そしてみんなには、少しずつ戻っていく時間軸のフィーナを励ましてあげて欲しいの。

 私が抱きしめたり声をかけられなかった分を。


 その時間軸の後は、今までいたフィーナと過去に戻ったフィーナが入れ替わることになる。

 以前のフィーナの存在は、いなかったことになるのだから。

 その時間軸と貴方達を繋げた後の未来から。


 だから過去に傷つきながら生きていたフィーナを、完全に入れ替わって存在が消えてしまう前に癒してあげて。


 過去に存在したフィーナはたとえ消えても、貴女の生きる選択を応援してくれるはずよ。

 切れない絆は、きっと魂と共に残ると思うの。



 最後にフィーナ。

 愛していたわ、何よりも貴女を。

 動けなくなって、戻れなくなって、初めて一番大切なのがフィーナだって気づいたの。

 どんな風に生きても良いから、元気で頑張ってね。

 いつも見守っているからね。


 さよなら、私の誰よりも可愛い子。

 貴女の未来が良いものになりますように」



「…………ありがとう、お母様。お母様ももうご自分を許してあげて」


 亡くなってから貰った、一番欲しかった言葉をフィーナは噛み締めた。

 みんなもそんなフィーナを優しく見つめた。



◇◇◇

 どんどん過去に戻っていく。

 最後の買い物の時はランテ達に見張られ、逃亡は不可能だったろう。

 山の中の家の暮らしは、ケアンフトがいて抜け出せなかった。

 そして公爵家からここに来た時も、逃亡は無理だった。


 その時々に、フィーナの夢に意識を繋げ、四人で励ましていった。


「貴女は頑張ってるよ。偉いわ」と頭を撫で。

「泣きたかったら、私の胸でお泣きなさい」と抱き締め。

「大人になったらぶっとばしてやれ」と肩車をし。

「歌でも歌うよ」と音痴なのに歌って笑わせた。


 そして幼いフィーナが、キンバリーを探しに外に出た可能性があった過去に辿り着いた。


 フィーナは乳母のマリアと共にキンバリーを探して歩いたが、追いかけて来た邸にいた男の使用人に棒で打たれたマリアは倒れ、フィーナの叫び声で男は逃げて行った。


 明らかに、今のフィーナ達とは違う時間軸だ。

 でも今のフィーナなら、手当てすれば負傷したマリアも、すぐ回復すると思う。



 キンバリーは「ここしかないわ。みんなを送るからね、えいっ。元気でね、応援しているからね。

 生きて、フィーナ!」




◇◇◇

 フィーナの霊体は、幼いフィーナの体に入り同化した。そしてマリア、ダドリー、ロンダの魂はその時代の体に入り込んだ。

 マリアとダドリーは30代、ロンダは10代に変化していた。


 そして男に殴られて瀕死だったマリアの代わりに、ケアンフトが倒れていたのだ。

「ど、どうしてここに、ケアンフトが!!!」



 みんなが瀕死の彼に駆け寄ると、彼は謝罪した。

「今まで、すまなかった…………」


 そしてそれが、(ケアンフト)の望んだことだと分かった。

 瀕死のマリアに霊体の彼女が入れば、たぶんショックで死んでしまうから、自分が代わりに刺されるように、体を送ってくれと言ったのだ。


 フィーナは混乱し、泣きながら彼の手を握る。

「ああ、ケアンフトさん。ごめんなさい私の為に、命がけで…………、ぐすっ、……………………でも、ありがとう…………本当に、ありがとうございます。うっ、くっ、」


 マリアも声をあげた。

「…………私の代わりに、なんでそこまで……うっ、うっ」



「俺は、許されない、フィーナ様の、母親を汚し、助けも、しなかった………………だから、憎んだ、ままで、いい…………………………」




 命の恩人だとマリアは泣き、ダドリーは彼女を抱き締めた。

 フィーナとロンダも泣きながらケアンフトの体に縋りつく。



 それが彼の贖罪だった。

 彼は空間の維持で魔力が尽きて、もう向こうでも生きられなかっただろうと、キンバリーは慰めるように伝えてくれた。




◇◇◇

 この時間軸に来た時、最初に接触したのはある雨の街角で傷ついて地に横たわるフィーナだった。

 彼女の夢に入り込み、みんなで励ましていたのだ。


 ただこの時間軸のフィーナは、マリアが殺されたことで記憶が強く混乱し、その状態で未来から来たフィーナとの記憶が混じることで、『後僅かで側妃になる運命』と言う、暗示のような記憶に振り回されることになったのだ。

 それは一緒にいる3人にも同調したのだった。


 そんなフィーナの記憶を整え、心のバランスを整え(治癒させ)たのは、キンバリーの力だった。


 この状況を見た時。

 無意識のうちに、彼らもここならばと逃亡できると踏んでいたのを確認し、彼らを送り出した。


 ケアンフトが共に最初の夢の中にいたと思っていたのは気のせいで、彼は空間を維持する為にここにはいなかった。

 いつも一緒だから、いるものだと思ってしまっていたのだ。



 マリアが殺されて傷ついたフィーナの気持ちは、彼らが癒して昇華させた。

 たとえその未来が変わったとしても、傷ついたフィーナは実際にいたのだから。

 そのことをフィーナ達は忘れない。

 全て心に記憶しているのだ。



「フィーナの巾着にお金が入っているわ。この世界のマリアは最初から、フィーナを逃がそうとしていたのね。 

 どうやら、ダドリーと落ち合うつもりだったみたい」


 脳裏にある記憶を擦り合わせ、今後の行動を辿っていく。


「隣国に行く船がもうすぐ出るわ。ロンダの分を買って乗り込みましょう。

 でもロンダ、今の貴方はまだ10代よ。一緒に来るの?」

「何今さら、置いて行こうとしているの? 今の俺は親が死んで、村から働きに来たところだから大丈夫だよ」


「じゃあ、一緒ね」

「ああ、頼むよ。傍に置いてくれ」


 マリアとダドリーが微笑んでいる。

 私も嬉しくて笑うとロンダが照れていた。

 前の時間軸だと、まだロンダとは出会ってないのね。  

 何だか不思議。


 幸いマリアもダドリーもロンダも、この国に近しい人はいないそう。

 会いたい人も。

 私は元からいないし、お母様がいない今、何の未練もない。



 肉体に入ったせいか、もうお母様の声が聞こえなくなってしまった。

 ただ最後の会話で、ケアンフトのお母様の病気を治してくれたそうだ。

 彼はこの時間軸で死んでしまった。

 けれど彼のお母様は、きっと彼の分も生きてくれると信じている。



◇◇◇

 私達は無事に乗船しこの国を出た。

 入国する時は審査が厳しいが、出る時はあまり調べないそうだ。

 私達は平民の親子だと言って、船に乗り込んだ。

 以前の記憶もあるので、実年令よりしっかりして見えることだろう。


「マリアお母さん、ダドリーお父さん、ロンダお兄ちゃん。よろしくお願いしますね」


「可愛い娘の為なら喜んで」

「くっ、嬉しいな。ずっと娘が欲しかったんだ」

「俺が兄貴? 兄だと結婚出来ないじゃん」

「こちらこそ、すごく嬉しいです!」


 ロンダ以外は喜んでくれたみたい。

 なにかボソボソ言ってたけど、反抗期かしら?



 私達は魔法で支配されたこの国を出ていく。

 もう、戻らない。



「お母様、ありがとう。大好きよ!」

 私の呟きは北風に溶けて、飛んで言った。

 きっとお母様に届けてくれると信じているわ。



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