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二人のフィーナ

ある雨の街角に、傷ついて地に横たわる小さき者をみつけた。私は護衛と馭者、私を監視する者に言う。

「この者を私の邸へ運びなさい。否やは聞かないわ」

護衛のダドリーは小さき者を抱えたまま馬車に乗り込む。私はそのまま座るように命じた。運転は監視者と馭者がいれば十分だ。

馬車は再び酷い雨の中を走り出す。

私は確かに公爵家の娘だけれど、愛人と本邸に住まう父から嫌われて別の場所で暮らしている。本邸からかなり離れた森の中の家だ。

母はもうとっくに父に愛想を尽かし、離婚できないならと外国に渡っていた。愛する護衛騎士と一緒に、語学を学ぶ為だと言って。その彼との間に娘がいるらしいが公爵家では認知されていない。下手に騒げば全員いなくなることだけは理解しているらしい。

だから私のまわりには護衛1人と侍女1人、馭者1人、他に父が私に付けた執事と言う名の監視者が1人いる。

そして今日。
先ほど拾った小さき者を邸に入れた。
彼女の体は冷たく虫の息だ。
弱りきった痩せた体で雨に打たれていたのだ。
そうなるのも当然のこと。

護衛のダドリーは治療の心得があるから対応を任せた。
彼は妻である侍女マリアに濡れた体を拭かせ、着替えをさせた。小さき者は意識がなく脱力したままだったが、それをものともせず丁寧に身なりを整える。

ダドリーはその間に湯を沸かし、解熱剤と湯タンポを作っていた。薬草を潰した薬汁をガーゼで口に含ませる。飲み込めないから、舌で吸収させるだけだ。そして冷たい体を保温することに努めた。

あのままでは確実に命を落としていたはずの小さき者は、この日一命を取り留めたのだ。




今日のこの出会いが、2人の運命を変えていくのだった。


出会い
2024/12/01 11:13
2024/12/02 12:22
過去
2024/12/03 11:41
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2024/12/07 18:41
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2024/12/18 13:19
終幕のあと
2025/01/28 19:02
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