26
夕食はとても楽しかった。
リリーのこの笑顔を守るため、3週間頑張ってきたのだ。
この幸せな日常を守るために頑張ったのだと思えた。
夕食も終わり、それぞれの部屋に戻る時間だ。
いつもであれば、リリーからおやすみなさいと夜の挨拶を告げてくる。
しかし、今日はなかなか言わない。
どうしたのだろうと、リリーの方をうかがうと、潤んだ瞳でこちらを見つめてきた。
そこで俺は気づいた!
も、も、もしや……そういうことなのか!
今日、帰りたくないと言うやつなのか!?
だ、だ、だが、俺たちはまだ婚約者同士で……。
いや、婚約者同士だからいいのか!?
いや、でも、そういうことは結婚してから……。
……というか、もっとロマンティックな場所を用意するつもりで……。
でも、リリーがそれを望んでいるのであれば、断るのはリリーを辱めてしまう。
それに正直言うと、う……嬉しい。
今すぐにでもリリーを抱きたい。
よし、俺は覚悟を決めて……。
「リュカ様、2人きりで少しお酒を飲みませんか?」
潤んだ瞳でリリーがそう言った。
お、お酒?
……なるほど!お酒を飲んで少しはずみをつけて……と言うことか。
2人きりだしな!そうだな!
もちろん、俺に問題はない。
俺を見つめるリリーの赤く潤んだ瞳が俺の理性を崩壊させていた。
「ああ、飲もう。2階のテラスに葡萄酒を用意させよう。セバス、頼んだ」
そういうことで頭がいっぱいになっていた俺は世界一の大馬鹿ものだった。
リリーが何をしようとしているのかも知らずに幸せに酔いしれていたんだ。




