25
久しぶりに家に帰ってくることができた。
なんだか懐かしい……。
と思っていたら、リリーが出迎えてくれた。
3週間ぶりのリリーは頭の先から爪の先まで光り輝いていた。
赤いドレスが白く美しい肌に映えていた。
赤い瞳はうるうると潤んでいて、赤い唇は瑞々しく潤っていた。
薄い水色の髪がまるで美しい真珠のように彼女を飾っていた。
リリーは赤い薔薇の花のように美しく咲いていて、そして儚かった。
まるで捕まえていないと消えてしまうのではないかと思うほど、儚く感じた。
ここにいるのに、遠く離れて消えて行ってしまいそうでーー。
思わず、俺はリリーを引き寄せた。
リリーは俺の腕の中にいる。
どこにもいかない。いくはずがない。
そうしてぐっと抱きしめているとーーセバスがごほんと咳払いした。
俺はハッと意識を取り戻した。
自分の腕の中をそっと見る。
リリーはドレスに負けないくらい真っ赤になっていた。
「あ、あの……リュカ様……お、おかえりなさい」
ゆでだこのようになりながらリリーがしどろもどろにそう言った。
その様子を見て、思わず俺は笑ってしまった。
か、か、か、可愛すぎる!!!
今さっきまで消えてしまいそうな儚くみえていたのは、気のせいだったのだ。
ホッと安心して、俺は言った。
「ただいま、リリー。3週間、君に会えなくて寂しかった」
「……私も……寂しかったです……」
リリーも寂しく思っていてくれたと聞いて、嬉しかった。
自分だけではなかったのだ。
スキップしそうになる自分を押さえながら、真っ赤になっているリリーをエスコートする。
「これからは一緒にいられるからな。まずは夕食で、3週間で溜まった積もる話を聞かせてくれ」
「……はい」
同じ想いを抱えていたことで舞い上がっていた俺は、この時、リリーの表情に気づいていなかった。
 




