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久しぶりに家に帰ってくることができた。

なんだか懐かしい……。

と思っていたら、リリーが出迎えてくれた。


3週間ぶりのリリーは頭の先から爪の先まで光り輝いていた。

赤いドレスが白く美しい肌に映えていた。

赤い瞳はうるうると潤んでいて、赤い唇は瑞々しく潤っていた。

薄い水色の髪がまるで美しい真珠のように彼女を飾っていた。

リリーは赤い薔薇の花のように美しく咲いていて、そして儚かった。

まるで捕まえていないと消えてしまうのではないかと思うほど、儚く感じた。


ここにいるのに、遠く離れて消えて行ってしまいそうでーー。

思わず、俺はリリーを引き寄せた。


リリーは俺の腕の中にいる。

どこにもいかない。いくはずがない。

そうしてぐっと抱きしめているとーーセバスがごほんと咳払いした。


俺はハッと意識を取り戻した。

自分の腕の中をそっと見る。

リリーはドレスに負けないくらい真っ赤になっていた。


「あ、あの……リュカ様……お、おかえりなさい」


ゆでだこのようになりながらリリーがしどろもどろにそう言った。

その様子を見て、思わず俺は笑ってしまった。

か、か、か、可愛すぎる!!!


今さっきまで消えてしまいそうな儚くみえていたのは、気のせいだったのだ。

ホッと安心して、俺は言った。


「ただいま、リリー。3週間、君に会えなくて寂しかった」

「……私も……寂しかったです……」


リリーも寂しく思っていてくれたと聞いて、嬉しかった。

自分だけではなかったのだ。

スキップしそうになる自分を押さえながら、真っ赤になっているリリーをエスコートする。


「これからは一緒にいられるからな。まずは夕食で、3週間で溜まった積もる話を聞かせてくれ」

「……はい」


同じ想いを抱えていたことで舞い上がっていた俺は、この時、リリーの表情に気づいていなかった。


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