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あの夜会から3週間。

長かった……。


まず最初に取り掛かったのは、ケスチェ家と関わりのある貴族を粛清した。

ケスチェにすり寄っていた貴族は、無能グリスのおかげで甘い蜜を吸えていた者ばかりだった。

不正の証拠が大量に出てきたため、それを処理するのにかなりの時間がかかってしまったのだ。

こうしてケスチェ家にかかわりのある糞貴族は全て粛清することができた。

この粛清によって、ケスチェ家は貴族の間で孤立することになった。

今後、ケスチェ家に与するものは現れないだろう。


次にケスチェ家の事業への締め付けを強化した。

これによって、ほぼケスチェ家に金が入らなくなったはずだ。

ここまでやってしまえば、ほぼケスチェ家の没落は決まったようなものだ。

これで終わりにしても良かったのだが、俺の怒りは……リリーに対して今までやったことはこんなものでは許されない。


最後にヘンティスト辺境伯に連絡をとった。

ヘンティスト辺境伯は有能だが、かなり特殊な性癖をもっており、愛人として多くの女性をメイドとして家に囲っているが、正式な妻問題に困っていた。

だから、ケスチェ家のあの女を紹介したのだ。

お金に困っているから、お金で妻を買うことができるかもしれないと言ってやった。


そうしたら、ヘンティスト辺境伯はすぐにケスチェ家に連絡をとり、あの女と結婚させてくれれば、ケスチェ家に多額の結納金を支払うと交渉したらしい。

そこで、支援ではなく、結納金として渡すあたりにヘンティスト辺境伯の有能さが見て取れる。

支援であれば、半永久的にお金を送らなければならないが、結納金としてであれば1回の支払いで最悪縁が切れる。

そんな交渉でもケスチェ家が選ぶのは結婚の一択だけだ。

無能グリスは二つ返事で答えたらしい。


ヘンティスト辺境伯にあの女が嫁げば、半永久的に王都から追い出すことができる。

よほどのことがない限り、リリーと顔を合わせることはないだろう。


ヘンティスト辺境伯の結納金が入れば、一時的にケスチェ家は復活するかもしれないが、そのタイミングで最大の不正を告発する予定だ。

不正を告発すれば、ヘンティスト辺境伯から入った結納金は全て徴収されてしまうだろう。

そうなれば、チェックメイトだ。


リリーにはなんの憂いもなく笑っていてほしい。

そのために俺は3週間頑張ったのだ。

本当は毎日毎日、リリーに会いたかった。

リリーの笑顔が恋しくて、何をしているのか気になって……。

セバスに報告を入れさせていた。

当り前だが、報告程度では全然足りない。

逆に心配になるばかりだ。


元気を装っているけれど、時々ぼーっと何かを考えている様子が見られたりしたらしい。

おそらく、あの夜会で会ったあの女が原因だろう。

更に公爵家で監視していたケスチェ家の侍女が抜け出し、リリーに会いに行ったようだった。

どうもリリーの髪の毛を掴んだ跡もあったらしい。

リリーは侍女をかばってか、嘘をついていたようだが……。

絶対に許せない。草の根をかき分けても捕まえろ!と言うと、その侍女は公爵家近くの森で亡くなっていたという。

怪しい。何かがリリーの周りで起きているようだ。

公爵家内に内通者がいるようなので、そこも洗い出すように指示を出した。

しかし、かなりやり手なようで、まだ見つかっていないようだ。

なので、リリーにかかわることは、セバスが信頼できるもののみで行うように指示を出した。

侍女が会いに行って以来、さらにリリーは思いつめているような表情をするようになったらしい。


大丈夫だ、リリー。

君が憂うもの、全て俺が取り除く。

俺の全てを使って幸せなものだけで君を満たしてみせるよ。

あと少しで君のもとに帰るから。


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