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リリーの様子を夜通し見ていたせいか、リリーが目を覚ました瞬間、不覚にも俺は寝てしまっていたようだった。
俺が起きて、すぐにリリーに謝ると、リリーも謝ってきた。
リリーが謝ることではないと俺が言うと、リリーも俺が謝ることではないと言い……なんだかわけがわからなくなって2人して笑ってしまった。
リリーはその後すぐに医者に診てもらったが、問題ないとの診断を受けたので、公爵家に帰ることになった。
リリーは帰る前にルイに謝りたいと言っていたが、ルイはあの後すぐに隣国での公務があったようで、王城にはいなかった。
俺も少しだけあいつに謝りたかったが、いないので仕方ない。
今度、酒でも持っていこうと思う。
帰りの馬車の中で遠くを見つめるリリーを俺は見つめる。
口では元気だと言っていたけれど、まだかなり無理しているようだ。
しばらくはゆっくり休んでもらおう。
その間に俺はあの女を始末する算段をつける。
彼女に二度と危害を加えられないようにしてやるつもりだ。
そして全てが終わりリリーが落ち着いたら、デートに誘おう。
観劇に行ったことがないと言っていたから、観劇に連れて行こう。
観劇帰りには、リリーの好きな花で飾った船の上で最高のディナーを食べよう。
赤く美しい目をキラキラ輝かせながら、観劇の感想を言うリリーが想像できる。
船の上からきらめく街をうっとりと見つめ、美しい唇に笑みをうかべるのだろう。
早く君が元気になればいい。
君が世界のどこでも笑っていられるように俺は全力を尽くす。
そうすれば、きっと俺たちは幸せになれる。
はずだった。
幸せになれるはずだったんだ。




