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目を覚ました時、リュカが隣にいた。

夜会でシェリルと会った後から記憶がない。


ゆっくりと起き上がり周りを見回す。

リュカを見ると夜会の時と同じ格好のままだ。

髪は幾分か崩れている。

そして、部屋。この部屋に見覚えはない。

装飾の雰囲気からして王城の一室だろう。


シェリルに会った直後、おそらく私は気を失って倒れたのだろう。


と、なるとリュカは家に帰らず、ずっとそばで見守っていてくれた?

何だかとても嬉しい気持ちになる。


愛おしさがこみあげて、リュカの方にそっと手を伸ばすも……ぴたりとその手が止まる。

夜会で言われたことを思い出したのだ。


『あなたの罪……許されてないわよ』


シェリルの言葉だ。

つまり罪を償え……と言うことだ。

罪を償うということは、リュカを殺せということ。


この人を殺す……?

私が……?




嫌だ。




嫌だ。

嫌だ。

嫌だ。

嫌だ。

嫌だ。

嫌だ。



体に力がこもり布団がぎゅっと握られる。


この人を殺したくない。


この人とともに生きたい。


そう、一緒に生きていきたい。



誰か……。


……誰か……。




……誰か……助けて……。




この運命から抜け出したいの。





助けて!!!

助けて!!!!

助けて!!!!!!





誰か助けて!!!!!!!!!!





リリーは泣き叫びたかった。

そう叫びながら、誰かにすがりたかった。



しかし、それはリリーには叶わなかった。

何故ならリリーは知っていたから。


ーー自分を助けてくれる人など誰もいないことを。

生まれながらの罪人だから誰も助けてくれないことを。

いくら嫌だと言っても、逃げられない。

今までの人生ずっとそうだった。



自分が痛みに耐えるしかないことを。


自嘲気味にクスリと笑い、リュカを見た。



優しい人。

笑うと少し細まる目元。

考え込むときに少し眉間に皺がよる癖。

宝物に触れるように私を包む大きな手。

そんな彼が艶めく美しい黒髪を少し乱れさせながら安らかに眠っている。



「……愛してる」



ポロリと零れ落ちた。


だから殺そう。殺すの。

もう後戻りはできないから。

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