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「お父様!お父様!今日の王家主催の夜会に参加しないって聞いたのですが、本当ですか!?」


シェリルの甲高い声が響き渡る。


「可愛いシェリル。今回はどうしても都合がつかないんだよ。次の機会に一緒に行こう」


嘘だ。実はケスチェ公爵家で行っている事業がどれもこれも破産寸前に追い込まれているのだ。

夜会に参加するどころではない。

ケスチェ家の存亡がかかっているのだ。


「嫌よ嫌!今回の夜会は王太子殿下も参加されるって!私、ドレスまで新調していたのよ!まさか参加しないなんて思っていなくて……ねぇお父様、絶対に参加したいの、どうにかお願いしてくださらない?」


この危機的状況でドレスを買っていたとは……。

グリスの目の前がクラッと揺れる。


リリーがムーン公爵家に嫁に行ってから、不運が続いている。

婚約破棄の伝書が届かないところを見るとリリーは公爵邸に置いてもらうことに成功したらしい。

まあ、あの不気味で不出来なリリーのことだ。婚約者として迎え入れられているわけではなく、使用人や下働きとして置かれているだけだろう。

もしかしたら、リリーとともに送った侍女が気に入られているのかもしれない。

この家の侍女の中でも器量の良い者を送ったから、その可能性が高いな。

どちらにしてもリリーがムーン公爵邸に入り込んだのだから、もうそろそろリリーはあの憎たらしいリュカを暗殺するだろう。

生まれてからずっと罪の意識をリリーに植え付けたんだ。教育は一切施さず、罪の意識だけをずっと。

リリーがケスチェ家を裏切るはずがない。

リリーがリュカを殺せばすべてが上手くいくはずだ。


「父上、姉上はとても美しいですし、夜会に参加させてあげれば、姉上が王太子殿下に見初められるでしょう。父上が忙しいのであれば、私がエスコートしますよ」


弟のアレクがシェリルへの助け舟をだす。

ドレスも新調してしまっているのであれば、仕方がないか……。


「それではアレク。シェリルのエスコートを頼むぞ。シェリル。何があっても王太子殿下に気に入られるんだ!わかったな!必ずだぞ」

「お父様!ええもちろんよ!必ず見初められてみせるわ!」


自信満々な様子でシェリルが笑った。


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