第3話:武術修士
「武術修士……『あらゆる武術を、無意識に使用する事ができ、自分の思い描くあらゆる動きを、そのまま体で再現する事が出来る。パワーやスピード、ディフェンスが上昇するに連れ、再現出来る動きの範囲が広まる』……つまり……どゆこと?」
亮太は、《武術修士》の解説文を読んでも、まだ分からないことだらけだった。そこで、スタート画面の1番下にある【その他】をタッチしてみた。
そこには、亮太の疑問を解決してくれるであろうものが記されていた。
「ガイド……これだ! 最低限の知識は頭に入れとかないとね。まずは、レベルについて!」
亮太は、そこに書かれている事を読み上げた。
「えっと……『レベルとは、成長度合いのことである。レベルが1つ上がる毎に、新たなスキルが付与される』か。要はゲームの世界みたいなものか。スキルについても確認したいけど、まずはレベルの上げ方が気になる……あった」
亮太は、それを読み、度肝を抜かれる事となった。
「『レベルを上げるには、経験値を蓄積させ、基準に満たすことで自動的に上がる。経験値とは、ポイントのことであり、経験値は、生命を絶たせる事で得ることが出来、経験値が一定数を超えるとレベルがアップします。対象のステータスが高いほど殺した際に得られる経験値が増える。レベルが上がるにつれ、必要な経験値の量も増えていくが、その分より強いスキルが得られるようになる』……だからさっき、花を踏んだ時にレベルが上がったのか! 花も生命だから!」
亮太は、納得したようだ。
「後は……これが一番気になってたんだ。『スキルについて。スキルとは、通常の人間には備わっていない、特殊な能力のことである。スキルには様々なものがあり、人間には出来ない、多種多様なことを可能とする』……イマイチよくわかんないな。他にも色々項目があるけど、今はいいや。面倒臭いし、時間が空いた時にでも読もっと」
「───でも、こんな事出来たところで、何の役にも経つんだろ。国家転覆なんてするつもりないし、世界征服なんて以ての外だし……」
亮太は、そんなことより、とてつもなく喉が渇いている事に気づき、川や湖を探した。しかし、いくら歩いても見つかることは無かった。
「そういえば、俺以外の、他の人間って居るのかな……?」
他の人間を探すべく、繁華街的な場所を目指すことにした。
「まず、高いところに登って、それらしき場所が何処にあるか知らなきゃ。木登り……小学校以来だな」
亮太は、繁華街がどの方向にあるか、高いところに登って確認する作戦を思いついた。
亮太は、周囲の中で、一番大きい木を見つけ、せこせこと登り始めた。その最中、昔よりすいすいと登れていることを実感していた。
「てっぺんだ!!」
てっぺんから辺り一体見渡すと、見渡す限りの草原と木々が広がっていた。だが、西の方角に、洞窟らしきものが見えた。
「あの洞窟を抜ければ、街に……って、やばッ!?」
亮太はバランスを崩し、木から落下してしまった。
「───痛ってて……あれ、あんまり痛くないぞ?」
芝生がダメージを抑えてくれた。にしては、あまりにも痛みが少なかった。
亮太は、着地の際、無意識に前回りをし、ダメージを極限まで減らしていたのだ。それに加え、レベルアップにより、身体能力の強化が施されていたことも相まっていた。