彼女の違和感(12)
車のエンジンを切った瞬間にもわっとした空気が漂ってくるのはなんとも言えない不快感だった。夏だから仕方ないのだけども。
「ねえかなあ…………」
とんでもない光だったんだ。目撃されていたっておかしくはないのだが。
「…………うん?」
ふと、動画を添付したツミートが目についた。
《流れ星wwww なんだあれwwww やべえwwww》
空からまばゆい光を放ちながら降ってくる様子を映した動画が添付されていた。暗くて場所がよくわからないが…………この光り方はあのときと同じように見える。
そしてなにより、投稿時間が鼈宮谷さんが空から降ってきた日の同じ時間だ。これは同じものと見て間違いないだろう。
「目撃している人はいたんだな…………」
そのツミートはまったくバズっておらず、マスコミやテレビ局が取材を申し込んでいることもなかった。
それ以外に該当するツミートは見つからず、ニュースにもなっていない。一瞬の出来事ゆえに気付く人が少なかったんだろうか?
「目撃している人はこれだけ…………か」
目撃した人のツミートをたどってみるも、それ以降は特に気にすることもなく日常のツミートを投稿していた。この人にとっては騒ぎ立てるほどの出来事ではなかったのだろう。
その人はオレたちと同じ学生なのか、学校や試験のことなどをツミートしていた。
「とにもかくにも、オレたち以外にあの流れ星を目撃した人がいたと。一歩前進だな」
なんの手がかりもない状態から、ようやく取っ掛かりを見つけ出したような気がする。なんの役にも立たない取っ掛かりかもしれないけど。
ピポッ!
スマホの通知音が鳴り響いた。Tmitterか? 今日はツミートしてないんだけどな。いや、この通知音はRescordか。
《こんばんは。起きてる?》
ユーザー名に表示されていたのはミトちゃんさん…………水卜陽莉さんだった。連絡先は交換していたけど、連絡してきたのは初めてだな。
《おう、起きてるぞ》
《別に急ぎの用事じゃないし、起きてたらいいなって感じに連絡したんだけど。今大丈夫?》
《大丈夫だ》
《ちょっと、気になってたことがあったんだよね。少し話を聞いてほしいんだけど、いいかな?》
《おう、いいぞ。メッセージで話すのか?》
《メッセージだとちょっと話が長くなっちゃうから…………明日ひま? ちょっと会って話がしたいんだけど》
《暇だが》
《そっか。じゃあ結月と澪さんを除いて稜希くんだけ来てくれる?》




