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彼女の違和感(9)

「……………………」

「別に澪ちゃんが悪事を企んでいるとは思ってないし、少なくともあたしたちにとって有害な人物になるとも思ってない。

 ただ…………なんとなく、知っていることがありそうな雰囲気を醸し出しているような気がする。勘違いだったら、申し訳ないんだけど」

「……………………」

「もし澪ちゃんに知っていることがあれば、あたしたちが力になりたいの。澪ちゃんが抱えている問題を、一緒に解決したい。どうしてそう思ったのか、わからないけど。

 いろいろな交友関係を持ってきたけど、澪ちゃんに関しては心の底から助けたいと思ってる。だから、あたしたちにできることはない?」

「…………稜希さん。稜希さんは、ボクのことをどう思っていますか?」

「オレか? オレは、少なくとも悪い人だとは思ってない。ただ…………なんだか複雑な事情を抱えていそうだなという印象だ。バカなオレでも、なんとなくわかる」

「…………ありがとうございます。結月さんは、どう思っていますか?」

「あたしは、澪ちゃんが本当のこと…………というより自分がどこからやってきたのか知っているように見える。

 でも、どんな理由かわからないけど、それを伏せておく必要がある…………そういう印象を受けるかな」

「……………………」

 また、目線が逸れた。

「…………今、言えることはなにもありません。おふたりがボクを大切に考えているのは、よく伝わっています」

 口は堅い、か。なにか真実を紡ぐトリガーが必要なのか…………。

「今、言えることがないってことは、なにか知っているのは間違いないんだね?!」

「…………それも言えません」

「そっか…………残念」

「…………確実に言えることは、現時点でおふたりと敵対関係になることはまずありません…………ボクはおふたりの味方です。味方という言い方は、おかしいかもしれませんが」

「真実を知りたければもっと調べろってことか、鼈宮谷さん」

「…………調べても、真実を知ることができるとは限りません」

「状況は絶望的ってワケか…………過去のことなんて一切忘れて、この日本で新しい鼈宮谷さんとして生きるのだって、問題はないんだろ? 今は身分を証明できるものもある。

 どういう経緯でここまでたどり着いたのかわからないし、鼈宮谷さんが過去を知ってようと知らなかろうと、快適な生活環境だけは保障してやるからさ」

「…………そうとは限りません」

「なにか、まずいことがあるのか?」


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