まぶしい世界(10)
「うん、いつもにないぐらいぐっすり眠っちゃったよ。もういつ寝たのか覚えてないくらい」
「…………睡眠は重要な休息なので、ぐっすり眠れたのはいいことだと思いますよ」
「まあーそうだね。澪ちゃんも起きる? 今から朝ごはん作ろうと思ってるんだけど」
「…………ボクも、手伝います」
「わかった。じゃー着替えて準備しよっか」
澪ちゃんはお世辞にも料理が上手とは言えない。でも、不器用なりに一生懸命やっているのがひしひしと伝わってくるので、邪魔という感情はまったくない。
「…………あっ、目玉焼き割れちゃいました…………」
「そういうこともあるよ。割れたやつは稜希に出せばつべこべ言わずに食べてくれるから大丈夫だよ」
「…………稜希さん」
「稜希は美味しければ見た目はそこまで気にしないから。目玉焼きが割れちゃったぐらいでぐーたら言うようなヤツじゃないよ」
「…………それならいいんですが」
今日の献立は目玉焼き、ウインナー、ベーコン、米。至ってシンプルで栄養が偏っているメニューだ。
「今日は全部焼くだけだから焦がしさえしなければ大丈夫だよ。お米は昨日のうちに予約をセットしておいたから」
「…………結月さんは、手際がいいんですね」
「手際というか、ただの慣れだよ。お母さんが小さい頃から《女の子は料理ぐらいできないとダメ!》ってうるさくてさ。ほら、古い人だから」
「…………ほかの料理も作れるんですか?」
「一般的な料理だったら作れるし、お菓子とかも作れるし、あと作ろうと思えばケーキとかもいけるかな? あんまり作ったことはないけど」
「…………はえ〜。すごいですね」
「将来的に誰かと結婚したらこういうスキルは役に立つのかな〜とか思いながら覚えたけど。今考えるともっと練習すればお金取れるんじゃない? とも思ってるよ」
少し前まで、誰かと結婚なんて考えたことがなかった。稜希が隣にいるのが当たり前すぎて、通常の感覚を失ってしまっていた。
そう言えば、稜希とはもうかなり長い付き合いなんだなあ。そう思うと…………すこし心に引っかかるものがある。
「…………結月さんは、いつも幸せそうです。元気で、明るい…………」
「そうなの? あんまり自覚はないけど。それなら昨日会ったひまちゃんって人のほうがよっぽどすごいよ」
「…………そんなことありません、結月さんも、かなりの人です」
「そっかあ。明るい人と言われるのは悪い気分じゃないね」
なんだか今日はやけに褒めてくるなあ。なにかあったのかな。まあ、いいんだけど。




