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まぶしい世界(7)

 この世界の中ではオカルトだと思われていることも、《外》から見ればそうでないこともあるのかもしれない。だからこそ、先入観で物を語るのは危険だ。

「…………ボクは」

 ボクは、どうしてこんな運命になってしまったんだろう。どこを訂正すれば、このような運命を避けることができたのだろうか。

 助けてと言ってはいけない。ボクを助けてくれる人など、《あっち》には誰もいないのだから。

 結月さんにも稜希さんにも語っていない過去。その過去を語るには、まだまだ時間が必要だ。今の状態で、ボクの情報を明かすことはできない。

 ボクは、大衆の利益のために《死んであげた》。いいや、正確には死んでいるかどうかは明らかではない。ボクは、どうなってしまったのか、わからない。

 たくさんの人が喜ぶことを信じて。たくさんの人が、豊かになることを信じて。数奇な運命を迎え入れたんだ。

 今のボクに《あっち》に帰るすべはない。帰れたとしても、居場所がない。《あっち》から能動的に道を開かない限り、ボクにできることはなにもない。

 ただの実験体でしかない。なんの権限もない、人形(ドール)だ。あちらの人たちにとって、ボクが生きているかどうかに興味はないだろう。

「…………はあ」

 脱力するようなため息をついた。

「…………ちょっと疲れましたね」

 結月さんは寝ている。隣の稜希さんまでには聞こえない。完全な、独り言。

 ボクは、一生懸命役に立とうとした。その理由は、ボクの努力によってたくさんの人が幸せになれると本気で信じていたからだ。

 実際はどうだろう。今となっては《あっち》がどうなっているのかわからない。もしかしたら、秩序が崩壊しているのかもしれない。

 人の役に立つどころか、本来いるべき場所から完全に追い出されてしまった。新天地で友人ができたとは言え、ボクの心はまだ《あっち》にある。

 この世界の知識レベルでは《あっち》について明かしたとしてもとうてい信じてもらえるようなものではない。こちらの科学は、《あっち》の何周も遅れている。

 今思えば、遅れている程度が、ちょうどよかったのかもしれない。

 基本的な言語、風俗、生活様式などが共通していたのはよかった。そのおかげでそれほど浮くことがなくこちらの生活に馴染めている。

 この世界の地図を見たときはびっくりした。こんな…………こんなことがあるものなのかと、目を疑った。

 いいや、知識として知らなかったわけではない。あくまで基礎教育の中ではこういうこともあるのだと習った。しかし…………実際にあらぬ世界に到着し、そこでの生活を共にすることに驚いただけだ。


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