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探れる沼(8)

「…………なるほど」

「ま、よっぽどの地雷を踏み抜かなければ自分の好みのものでいいと思うぞ。今はパソコンを作っているところ以外にそこまでの差はないからな」

「…………ふんふん」

 じーっと、展示されているノートパソコンたちをひたすら見ていく。

「…………数字が大きいほど性能がいいってことですか?」

「ざっくばらんに言ってしまえばそうだな」

「…………ふんふん」

 お財布の中身と相談しながら、自分自身で買うものを決めているようだ。まあ、これに関してとやかく口を出すことではあるまい。

「…………」

 鼈宮谷さんはきっと頭がいいから、性能対価格を考えて選んでいるはずだ。パソコンについてわからなくても、展示のスペック表を見ればある程度は把握できるだろう。

「…………まあるいみどりのやまのてせん」

 考えすぎて壊れたのか、ついに店内BGMを歌いはじめた。止めたほうがいいんだろうか。

「…………決めました」

「うおっ、壊れてなかったんだな」

「…………壊れてないってなんですか?」

「ああいや、こっちの話だよ。で、どれにするの?」

「…………これです」

 記号のようなマークが付いたパソコン。どうやらこれで決着したようだ。値段は…………まあ性能相応ってところだな。その値段だけでオレの2ヶ月分の生活費に相当するけど。

「じゃあ、店員呼ぶぞ。すいませーん」

「いらっしゃいませ。どのようなご用件でしょうか」

「このパソコンを購入したいんですけど」

「かしこまりました。商品をご用意いたしますのでいましばらくお待ちください」

 店員がバックヤードに消え、オレは鼈宮谷さんが買うと言ったパソコンを観察していた。

「なかなかバランスのいい機種を買うんだな。詳しいのか?」

「…………いいえ、詳しいってわけでは…………」

 オレはそこまでパソコンに詳しいわけではないが、パソコンを買う上で気にする点がいくつかある。

 ひとつがキーボード。ひとつが画面解像度。ひとつがメモリとストレージの量。動作をする上で大切なことだと聞いたことがある。

 それに、まあ…………そういう動画を見るときにも画面がきれいな方がいいしな。

「…………稜希さんは、えっちな動画とかを見るんですか?」

「ぶーっ!」

 思っていたことをピタリと言い当てられてしまって吹き出してしまった。

「な、なにを言っているんだよ鼈宮谷さん。オレがそんなの見るわけがないじゃないか」

 大嘘である。

「…………そうなんですか。健全な男の子はむしろ見ていたほうが健康的だと…………」

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