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探れる沼(5)

「色々とワケがあってね、この学校に編入することになったんだ。明日が試験なんだけど、あたしたちは今日が登校日だから、せっかくだしちょっと授業を受けてみようって話になったの」

 結月も空から降ってきたとは言わないようだ。まあ、言ったところでそうかんたんに信用してもらえるような話でもないのだが。

「どっかで見たことのあるような顔をしていると思うんだけどねえ、澪さん」

「まあ、気のせいじゃない? 澪ちゃんはちょっと事情が特殊だから」

「まあ、気にしないでおく。それはそうと、先生が来たみたい」

 予定時間より数分早いが、先生がやってきた。もう授業が始まるようだ。

「さ、今日も気合い入れて受けようか」

《…………で、あるからして。信ぴょう性に欠ける点があるが、人間の魂の重さは21グラムであるとダンカン・マクドゥーガル医師が提唱した》

《現代医学および現代科学で一度死んだ生物を蘇らせることはできない。これは地球上に存在する生物に共通する原理であり、不変の事実だ》

「…………」

 オレが鼈宮谷さんにあげたノートに、先生の発言を要約して事細かに書いている。まるで専門家のような手さばきだ。こんな速筆、オレでも真似できない。

「ふあ〜あ…………」

 引き続き、こちらのアホは寝そうになっているが。

「…………」

 鼈宮谷さんほど熱中してはいないが、ミトちゃんさんもそれなりに真面目に聞いている。成績がいいとのことで、ちゃんと集中して授業を聞くことができる人なのか。すげえなあ。

 鼈宮谷さん、オレ、結月、ミトちゃんさんと4人で横並びになって座っている。鼈宮谷さんはともかく、ミトちゃんさんは陽キャでコミュニケーション力もあって、かつ勉強もできる…………オレがこんな人と関わっていていいのだろうか。

 結月も勉強ができないわけではないが、見ての通りアホと図々しさが占めている女の子だ。その環境に突然クソ真面目なふたりが入ってきて…………動揺を隠せない。

「ミトちゃんさん」

「ぶっ。なにミトちゃんさんって。おかしな呼び方で吹き出しちゃったじゃないの」

「結月以外の人を馴れ馴れしく呼ぶことに慣れてなくて…………しばらくはミトちゃんさんで通してほしい」

「別にいいよ。で、なに?」

「普段からこんな感じに授業を受けているのか?」

「そうね。だいたいこんな感じ。結月と受けているときはだいたい結月が居眠りしているわね」

「普段からすごい真面目なんだな、そんなに真剣に授業を受けられるのは尊敬するよ」


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