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かりそめの友人(14)

「自分が誰なのか、証明できないということか?」

「…………はい。ボクがボクであることを証明できるものがないんです。気が付いたらこの世界にいましたし、気がつく直前のことは覚えていません」

「…………」

「…………どういう経緯であれ、ボクは得体の知れない不審者です。稜希さんや結月さんをはじめとするみなさんに信用してもらうにはどうしたらいいのか…………日々悩むことばかりです」

「鼈宮谷さんは、自分がどんな人間だったのか、どんな生活をしていたのか、そもそもどこから来たのか、気になっているのか?」

「…………はい。ボクがボクであることを証明するには、自分自身と向き合い、真実を明らかにすることだと思っています」

 こういう話題を振るのは避けるべきだと思っていたが、本人から言及してきたのであれば問題はあるまい。

「…………新しい環境での生活にも慣れてきました。まだまだ知らないことはたくさんありますが…………なんとかバランスを取って歩けるようになってきたところです」

「仮に鼈宮谷さんが宇宙人だったとすると、オレたちと同じ人間なのか?」

「…………ボクの自己認識では人間であるつもりです。結月さんと何度かご一緒していますが…………身体的特徴も、生理的活動も、特に変わった差異はありませんでした」

「オレたちも鼈宮谷さんは人間だと信じているよ」

「…………そう言ってもらえるとうれしいです。でも、それを証明できるものがないのがつらいところですが…………」

「たしかに、ただ主張するだけならなんとでも言えるって点が問題だよな」

「…………少なくとも、空から降ってくる直前のことはわかりませんし、見知らぬ土地に放り出されたという点は事実です。この絶望的に情報がない状態から…………どうやって自分自身を取り戻すか、それが問題です」

「鼈宮谷さんもいろいろと悩んでいたんだな。あまり気遣いができなくて申し訳なかった」

「…………とんでもない。稜希さんには優しくしてもらって本当に感謝していますよ。この話、今のところは結月さんに内緒にしておいてくださいね」

「内緒にするのか?」

「…………こんなボクを1から100まで心配して気にかけてくれた人に、ご迷惑をおかけしたくないので…………」

「たしかにな。こんな話をしたら余計に心配するだろうし」

「…………なので、内緒でお願いします」

「わかった。まあアイツは今レポートで頭がいっぱいだし、細かいことは聞かれないと思うぞ」

「…………ふふ、楽しい日常の一コマですね」

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