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かりそめの友人(13)

「…………ばか」

 ぽつりと、鼈宮谷さんがつぶやいた。

 自分が空から降ってきたことを気にしているのか? それとも、まさか鼈宮谷さんは宇宙人なのか? まさか…………。

 宇宙人が地球の言葉を喋って地球の人間とほぼ同じ生活スタイルに馴染むことができるのか? 知らないけど。仮にそうだとしたら、鼈宮谷さんはとんでもないタイプの人間だと言えよう。

 …………というよりも、そもそも人間なのか?

「…………」

 気付かれる前に、いったんこの場を離れよう。大回りしてからはじめて来たを装って声をかけよう。

 鼈宮谷さんに気付かれることなく、その場を離れた。

「鼈宮谷さん。どう? 面白い本はあったか?」

 自然に、いつもどおりに、悟られないように堂々と近付いていった。

「…………あっ。稜希さん。そうですね、面白い本をたくさん読んでいましたよ」

 不自然にならないように、そっと本をしまった。あまり触れられたくないのかもしれない。

「なんの本を読んでいたんだ?」

「…………ちょっと、オカルトに関しての本です。面白かったですよ。ところで、稜希さんはどうしたんですか?」

 露骨に話題を逸らされてしまった。これ以上踏み込むのは危険だろう。

「明後日が期限のレポートがあってな。結月がまだ書いていないんだ。先にオレがレポートを書いて、今は結月にパソコンを貸してる。手間のかかるやつだよホント」

「…………稜希さんは優しいですね。その優しさが、みんなに伝わればいいのですが」

「オレは優しいのか? あまりそういう自覚はないんだが」

「…………優しいと思いますよ。その優しさが、結月さんに信用されている証拠なのだと思います」

「そんなもんなのか」

「…………稜希さん。今お時間は大丈夫ですか?」

「ああ。大丈夫だぞ」

「…………稜希さんは、広い世界に行ってみたいと思いますか?」

「広い世界? まあ…………興味がないと言ったら嘘になるけど、食い気味に興味があるかと言われるとそれほどでもないな」

「…………この世界には、日本という国以外にもいろいろな国があると聞きました。世界の人たちがどんな暮らしを、どんな生き方をしているか、気になりますか…………?」

「うーん。そこまで興味は…………ないかな? まあ、現状の生活で特に不満がないというのも大きいかもしれないが」

「…………そうですか。この世界は、平和なんですね」

 目をつむって、ゆっくりと首を上げた。

「…………稜希さんの言うとおりであれば、ボクは空から降ってきました。空の上にあるのは広大な宇宙です。もしかしたらボクは、宇宙人なのではないかなと…………そう思いました」


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