かりそめの友人(11)
「今回のレポートは2,000字だ。次の授業までは約2時間。オレが1時間で仕上げれば、お前だってなんとかなるだろ。オレのパソコンを使っていいから」
「うう、助かる、ありがとう…………」
「ただし、オレが時間内に間に合わなかったら素直に諦めてくれ。頑張って帰ってから書くんだな」
「そこはなんとか間に合わせるんでしょ。できるよね、稜希なら」
「貸してもらう側の言葉じゃねえなそれ…………」
「じゃあ、オレが先に書くから。お前はしばらく待っていてくれ。オレのレポートからコピペはするなよ」
「コピペはしないけど、参考にはさせてもらうよ。まっさらな状態から書くよりは楽だから」
「やれやれ…………」
世間の噂によると、一時期はスマートフォンばかりを使ってパソコンを使う、パソコンでレポートを書くと言ったことができない生徒が数多くいたそうだ。
だが世界的に流行した感染症により、学校へ物理的に登校するのが難しくなり、オンライン授業というインターネットを用いた新しい形式が採用されることになった。
オンライン授業を受けるためにはパソコンを使えるようになっておく必要があり、これまでの生徒に比べて否応なしに覚えなければいけなかったそうだ。
オレも結月も、デジタルネイティブ世代だ。パソコンやスマートフォンを使うことに問題はないが…………今となって思えばオンライン授業はやや虚しいものではなかろうか。
学校に通い、友人や知り合いと顔を合わせ、会話をし…………そういった勉強以外の側面が失われてしまったのは手痛い損害だろう。
今は対面授業が復活し、ほぼほぼ昔のような形式で授業が行えているが…………直接的に被害を受けた世代の損害はすさまじいだろう。
「…………ところで、真横でガン見されていても書きづらいんだが」
「だって別に読みたい本もないし、やれることもないし、それなら終わるのを待っていたほうがいいんだよ」
「わかったわかった、なるべく早く書き終えるから、もう少し待ってろ」
40分後。思っていたよりもはやく書き終わった。今回のレポートはただの感想文のようなものだから、いつもよりはだいぶマシな手応えだった。
いつもならもっとひねり出すような…………例えるなら鉱山をツルハシで掘り進めるような感覚があるのだが。
「ほら、終わったぞ。お前もさっさと終わらせろ」
「はいはーい、パソコン貸してくれてありがと。いつもごめんねっ」
「この恩の報酬としてなんかおごってくれよな」




