空から流れ星が!(5)
それどころか、眩しく光ったという以外でオレたちへのダメージも特にない。さっきまでの出来事がウソだったかのような感覚だ。
「いったいどういうことなんだ…………?」
光が収まったのを確認し、ゆっくりと目から手を離す。
「流れ星…………落ちたんだよね?」
「そのはずだが…………」
「あたしたち、死んだの?」
「手を出してみろ」
「ん」
結月の手を取り、手首の脈を確認する。
「…………生きてる」
「いったいどういうことなの…………?」
「お、落ちたと思われる場所を確認してみようぜ」
もう、満天の星空などどうでも良くなっていた。この不可思議な現象に対する納得できる原因が知りたい。それだけ。
「な、なにか見えるよ。光ってる…………?」
後ろを振り返って、砂浜の端っこが淡く光っているのを確認できた。月明かりもない夜だからこそ、わずかな光でもよく見える。
「行ってみようぜ。そこになにかあるかもしれない」
「え、エイリアンとかだったらどうするの…………?」
「他の星から地球に来られてるという時点で、文明のレベルはそっちのほうが上だ。コミュニケーションぐらいできるだろう」
「本当にそうなのかな…………」
慌てず、でも足取りはしっかりと。怯えないようにその光のもとへ歩いていった。
「もう少しで見えるよ」
遠目で見たときは淡い光だったが、近くで見るとけっこう眩しい。暗闇に慣れた目にはきついものがある。
「稜希が先に行って」
「はいはい。こういうのは男の仕事だからな」
結月が背中にピタリとくっつき、怯えているように前を覗き込んでいる。
まあ、どんな得体の知れない生物がいるかも知れないと考えたら当然の反応かもしれないが。
「うーん…………?」
だんだんとまばゆい明るさにも慣れてきて、落ちたと思われる場所がはっきり見えてきた。
「……………………」
思考回路が固まった。目の前に広がっている状況が理解できていない。
「……………………そんな、バカな」
「稜希? なにがあったの? エイリアン?」
「いや…………未知のエイリアンのほうがまだマシだったかもしれない」
「…………え?」
彼女はまだオレの後ろで縮こまっている。なにがあるのかまだ見ていないだろう。
「…………結月も、これを見てみろ」
「見て大丈夫なもの…………?」
「ああ、見るだけなら問題ない。ただ、この状況が理解できないだけだ」
「う…………ん。じゃあ見てみる…………?」
オレの横からひょこっと顔を出すと、それっきりで動作が固まった。