空から流れ星が!(4)
「まあ叶ったら嬉しいよね。願うだけだったらタダだしやってみたら?」
「次に流れたらな」
「なーがーれーぼーしーっ。流れろっ!!」
そう言った瞬間、星空の中にひときわ明るい星が現れた。
「え…………なに、あれ…………」
先ほどまではなかった星。それが突然現れたというのは、驚くには十分すぎる要素だ。
「え、え…………降ってくるよ! あれ!」
自分から見て右側の方角……海の上にあったその星は、少しずつ移動しながら大きくなってくる。
「もしかして…………あたしたち映像◯世紀に取り上げられるような瞬間を目撃しているのかな……!」
「それを言うなら地球◯進化だろ。って、そんなことを言っている場合じゃないだろ! 願いごと!」
「金持ち! 金持ち! 金持ち! 彼氏! 彼氏! 彼氏! 美人! 美人! 美人!」
「金! 金! 金!」
煩悩まみれな願いごとが余裕で言い切れるほど、その流れ星は長かった。
「え…………なんだかこっちに向かってきてない!?」
右方からやってきた流れ星は、だんだんと速度を上げ、大きく…………こちらに向かってきていた。
「おい結月! これは逃げないとやばいかもしれねえぞ!」
「い、今すぐ逃げなきゃ…………!」
「流れ星は言い換えれば地球に降ってくる隕石だっっ!! このまま地上に衝突したら…………オレたちは消し飛んじまうぞ!」
「ええっ!? それはやだよ! 逃げよう!!」
「逃げたところで、隕石の衝撃波で車もろとも吹き飛んじまうだろうが…………」
車を止めたところから、現在地まで軽く数百メートルはある。今から走って戻っても…………到底間に合わないだろう。
「ここが、あたしたちの最後なの…………!? ここで、流れ星と一緒に粉々になって消え去るのが運命なの…………っ!?」
「そんなことはオレだって避けたい。でも…………どうやっても逃げられない!!」
そうしている間にも、隕石はオレたちの近くへ接近している。あと少しで、地上へ衝突してしまいそうだ。
「もう、ダメだ…………ッッ!!」
目も開けていられないようなものすごい光に包まれ、つい左手で両目を覆う。
「もうダメ、衝突する――――!!」
ものすごい光で、辺りがなにも見えなくなった。
「…………………………………………」
「…………………………………………」
静かだった。
「…………稜希、大丈夫?」
「ああ…………オレはなんともないが」
隕石が衝突したと思われるのに、それらしき衝突音や衝撃波がなにもなかった。