表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/272

不思議な女の子(12)

「なにをするつもりだ?」

「現れ方がどうであれ、少なくとも澪ちゃんは自分の名前しかわからない状態なわけでしょ。それじゃ記憶喪失の人間と変わりないわけじゃん」

「ほう」

「だから、区役所に言って事情を説明して、澪ちゃんの戸籍を発行してもらわないと。そうしないと学校にも通えないでしょ?」

「…………おまえ、意外とそういうこともできるんだな」

「意外とってなによ! これでも真剣に澪ちゃんのことを考えているんだから!」

「…………戸籍…………」

「戸籍ってわかる? 簡単に言えば澪ちゃんが澪ちゃんとして国に登録することなんだけど」

「…………ああはい、戸籍はわかります。ですけど、こんなボクでも大丈夫なのかな、って思ったんです」

「事情をちゃんと説明して、困っていることをアピールすれば動いてくれると思うよ。なんなら、まだ昼前だし相談だけでも行ってみる?」

「…………そうですね、わかりました。でも…………」

 チラチラと、自分の衣服を見回す。

「ああ、着替えがないのね。あたしの服じゃちょっとサイズが違うし。どうしようかな…………」

 結月は身長165センチあるのに対して、鼈宮谷さんは145センチくらいだろうか。そのまま結月の服を着たらダボダボになりそうだ。

「あっ、そっか。あたしの小さい頃の服をかせばいいのか。ちょっと待っててね」

 オレの家から出ていき、隣へ戻っていった。

「…………結月さんは、どうしてボクに親切にしてくれるんですか?」

「まあ、放っておけないんじゃなかろうか。まあ、良くも悪くもか弱そうだし。この言葉で気分を害したらごめんな」

「…………それは別にかまいません。自分でもひ弱そうだな、って、思いますから」

「鼈宮谷さんが現れたときなんてビビりまくってたぞ。オレの後ろにピッタリくっついて、なるべく現れた現場を見ないようにして。

 そこからこの扱いになったから、まあ気に入られているんだと思うぞ」

「…………そうですか。それなら、ボクも嬉しいです…………」

「鼈宮谷さん。本当になにも思い出せないのか? オレたちはアンタの出自がわからない以上、アンタの自己申告だけが頼りなんだ」

「…………今、話せそうなことはなにもないです」

「そうか…………残念だな」

「…………ボクみたいな人、他にいませんか?」

「いないな。少なくとも空から降ってきたやつなんて聞いたことがない。ただ…………」

「…………ただ?」

「前にインターネットのニュース記事で見た、記憶喪失になった人の話なら見たことがある。そいつは行方不明者ではなく、交通事故で記憶を失ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ