不思議な女の子(7)
その建物の最上階、4階の廊下を歩いているときのことでした」
「うん? 人がいたのか?」
「…………はい。人の声が聞こえました。会話…………のようでした」
「会話ってことは、少なくともふたり以上がその場にいたということだよな。会話の内容は覚えているか?」
「…………よく聞き取れませんでした。が、ところどころ覚えていることもあります」
「どんな会話だったのか教えてくれ。なにかヒントになるかもしれない」
「…………ヒントと言っても、なんの参考にもならないと思いますが…………覚えている限りのことをお話します」
『私の考えはこうだ。――――の――と――――の――を、――を、――を、――を、――を、――を、――を、――を。あらゆる――をひとつずつ――――していく。
そうしたらどこから――――は――――になるのか。――――は――――になることができるのか。私は知りたいんだ。――の所在地を。――とはなんなのか。
――とはどこからなのか、――の謎が解き明かされた今なら、この問題にも挑戦できるはずだ。そこで私の――に協力してほしい。
――のありかを証明できれば、この世に革命を起こすことができる。すべての――を掌握することだって不可能ではないはずだ。
どうだ、悪い話ではないだろう?』
『…………』
『なんだ、革命を起こしたくないのか? すべての理を打ち破るチャンスを無下にするのか?』
『それは、人道に対する罪を犯しています』
『なんだ、そんなことを心配しているのか。問題はない。そもそも、間違っているのはあちらのほうだ。罪の意識を背負うことはない』
「…………ボクは、近づきながら聞いていたので最初のほうはあまり聞き取れませんでした。でも…………良くないことを話している、と直感で気が付いて、その場を去ろうとしました」
『おい、誰だ!』
「…………靴の音でボクの存在に気付かれてしまいました」
『おやおや、こんなところに珍しい来客が来たもんだなァ。ちょうどいい、コイツを世界に革命を起こす――の――――になってもらおうじゃないか』
「…………い、いや…………」
「…………そこから先は覚えていません」
「神…………?」
一通り夢の内容を聞き遂げたが、それが夢だとはとても思えなかった。まるで現実に起こっているような…………そんな気がする。
仮に今話していた夢が実際にあったことだとしたら、突然『鼈宮谷澪』という人間が現れたことにも関係があるのではないか。