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不思議な女の子(6)

「まあ、アイツが連れて行くと言い出したときはびっくりしたけど。まあ思っていたよりも丁寧な様子で驚いたよ」

「…………稜希さん。招き入れてくれてありがとうございます」

「いや。歓迎しているわけじゃないから。どちらかというと招かれざる客だから。そこは勘違いしないでほしい」

「…………まあ、そうですよね」

「なにか少しでも思い出せることはないの? 自分の親とか、家族とか、友人とか」

「…………覚えていることと言ったらおかしいかもしれませんが…………」

「うん?」

「…………夢を見ました。それが本当のことなのがどうか、わかりませんが」

「へえ。どんな夢を見たの?」

「…………長い夢なので、順番にお話していきますね」

「おう。それでなにかわかるかもしれない」

「…………ボクの姿は、どこか深い森の中にいました。辺りにはなにもなく、うっそうと茂った木々がボクの周りを覆っていました。

 ボクは、そこから歩き出しました。行くあてもないまま、森から抜けられそうと思う方向へ足を進めました。

 何時間歩いたかわかりませんが、うっそうと茂る森がだんだんと開けてきました。周囲にはなにもないものの、陽の光が木々の隙間から差し込むようになってきました。

 ふと気がつくと、足元に人が通ったあとのように雑草が茂っていない部分がありました。ボクはそれを誰かが何度も通っているものだと信じ、その道をたどることにしました。

 人の気配や集落はまだありませんが、次第に木々の間隔も広くなり、まるで誰かが管理している間伐林のようになってきました」

「森の中を歩いていただけ?」

「…………それだけではありません。間伐林を抜けた先には、ついに、ついに人工の建造物が見えました。

 四角いコンクリートでできた建物は、まるでなにかの研究所のように見えました。

 やっとの思いで見つけた建物なので、そこに助けを求めることにしました。

 建物の見た目とは別に、入り口の鍵はかかっていませんでした。入るのは悪いなあと思いつつ、背に腹は代えられないと思い入ることにしました。

 中に入っても人の気配はなく、そこがなにに使われている建物なのかわかりません。ここ以外に建物もなく、ここに誰もいなかったらまた何時間も歩くことになります。

 ボクは、誰かひとりでもいないか、その建物の中を隅々まで探すことにしました。

 建物の見た目からでもわかっていたことですが…………その建物はすごく広く、何部屋にも渡って同じような内装が続いています。

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