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バーキング公爵一家の夏休み  作者: 耳折れ猫
2/5

命令を聞く虫

アドレイ公爵領に来て2日目のお話です。

3兄妹は、地元の子供達と仲良くなれるでしょうか?

 川からパサドンナ公園までは走って行くと言う。

 しかし3才のラグナスは、とても走って行けないだろう。

 僕は、ラグナスに「背中につかまれ」と言うとおんぶして走った。


 パサドンナ公園に着いたら、アンダルシアが1着だったようだ。


「おまえ足速いな〜!」と皆に言われていた。


アンダルシアは、女性騎士になりたくて、毎日欠かさず走る訓練をしているのだ。

 効果がこんな所で現れて嬉しそうだった。


 僕はラグナスをおぶったのは初めてだったが、

「お兄ちゃまありがとう」と喜ぶラグナスを見て

嬉しくなった。


 子供達は公園の外周に植わっている木で木登り競争をしているようだった。

 その中でも〈名誉の木〉と呼ばれる木があって、

その木の一番高い枝に登ると、無条件で尊敬されるらしい。

 しかし一番高い枝に登るには、手の力だけで逆上がりをしなければ登れないらしいのだ。

 10メートルくらいの高さで逆上がり…。

 今までで、その名誉を得たのは一人だけ。

 その成功者の名前を取って〈アンナの枝〉と呼ばれていた。


 「ん?アンナ?まさかね?」


 その名誉の木に行ってみると、10人くらいの子供達が、誰かと言い争っていた。


 「この名誉の木は、この公園の持ち主である領主の孫の僕達のものなのだ。

 お前達、平民が登って良いものでは無い!」


「領主の孫?」


 僕とアンダルシアは、二人で「どういう事?」

と当惑した。

 近くにいたサードが教えてくれた。


 「あの二人は、なんとか子爵の息子で領主の孫なんだって!この公園はご領主様の物だから、ここにある木は全部自分達の木だって言って、登らせてくれないんだよ」


 「そういえば、僕達の歓迎会で親戚の子供が来るって言ってたな」


 僕達は、別にその木じゃなくても良いやと、別の木に登ろうとしたら、子爵の息子達は文句を言い始めた。


 「この公園にある木は全部僕達の物だと言っただろう!登りたかったら、ダリー様とデリー様

木に登らせて下さい!お願いしますと言え!」

と言ってきた。


 先に来ていたグループは、それで嫌になったようだ。文句を言いながら帰って行った。


 僕達も帰ろうとしたら、弟のラグナスが紫色の薔薇の花壇の前で何かしている。

「ラグナス何してるんだ?」と近寄ってみると、

ラグナスの周りには金の蝿がブンブンと飛び回っていた。

 

 こんなに金の蝿がいたのかと驚いていると


 「あいつら嫌い!

  虫さん達に追い払ってもらう!」と言う。


「虫で追い払う?」


 僕が疑問に思っていると、ラグナスは「うん」

と笑うと「行って!」と言った。

 すると金の蝿達は、ラグナスの命令に従うように

子爵の息子達にまとわりついて飛び回った。


「うわー、なんだこの金色の蝿!気持ち悪っ!」


 子爵の息子達は走って逃げて行った。


 「わーい、蝿に追われてあいつら逃げて行ったぞ!」


 子供達は大喜びである。

 邪魔者がいなくなったので、子供達は木登りを始めた。


 僕は、ラグナスになぜ金色の蝿がラグナスの命令を聞いたのか聞いてみた。


 「えーとね、虫さん達が僕の友達になってくれるんだって〜!」


 なんだかよくわからないけど、あいつらを追い払えて良かった。

 この事は後で父上に相談してみようと思った。


 ふと紫色の薔薇の花壇を見ると、中の一株だけ金色の薔薇が咲いている。


「ラグナス、この金色の薔薇は?

もしかして、ラグナスの肥料やった?」と聞くと「うん」と言ってあくびをしている。

あっ、これは魔力を使い過ぎて眠くなってるなと思った僕は、ベンに弟が寝そうだから、また明日遊ぼうと言ってアンダルシアと人目につかない所に行くと、瞬間移動で屋敷に帰った。


 今にも寝そうなラグナスを侍女に預け、僕とアンダルシアは遅い昼食を取った。

 父上が外出先から戻られたので、ラグナスと蝿の話をすると、家令に公爵家のスキル計を持って来てもらうよう頼んだ。


 昼寝から起きたラグナスにスキル計に魔力を通させると、〈緑の宝〉〈虫の友人〉と文字が浮かび上がって来た。


 「虫の友人とは初めて聞くスキルだな」

父上も初めて聞くスキルだったようだ。

 新しいスキルが生えてきた理由はわからないが、

あの時ラグナスは、兄妹を助けたいと強く思ったのではないかな?と父は言った。


 僕は、兄妹を助けたいと思ったからスキルが生えたと聞いて、ラグナスが心底愛おしくなった。



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