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ノワの方舟  作者: EVO
旅立ち
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001.ノワの方舟1

なんちゃってSFです、ゆるく読んで下さい。

 M星系サジタリウスコロニー

 いちコロニー民としてママと2人で貧しくもなく、とても豊かでもない程度の中流家庭で私達は生活を送っていた。

 星系としても皇族や貴族の住まうA星系惑星のエル・アトランディア主星から数えて中程。

 重罪の航宙犯罪者を奴隷とし、開拓の最先端と言われるZ星域ほどの未開拓荒れた外星系でもない、本当に中の中と言われる平穏なコロニーだった。


 今日は私が15歳になる誕生日

 ママは休日、私はアルバイト先であるゼクセリオン・コーポレーションの勤務日。


「ノワ、15歳お誕生日おめでとう」

「ありがとうママ!」


 近所でも美人と評判のママは30を過ぎた今でも私と並んで姉妹と言われる若々しさを保っている。


(ていうか全然老けないよねママ・・・)


 年齢の事を言うと目を細めて静かに怒るから口にはしない。


「ノワ、先にお祝いを渡しておくわね」


 そう言ってママは私の首にネックレスを着けてくれた。

 プラチナのチェーンに細長い棒状の蒼い宝石、宝石の中では発光体がゆらゆらと輝いていてとても綺麗なものだ。


「ママ、これって!」

「ええ、艦のアクセスキーよ」

「わあー!ありがとうママ、でも良いの?」

「ええ、勿論」


 驚く私にママは笑顔で頷いた。

 ママは他の星系出身で私を身篭った時に小型の航宙艦に乗ってサジタリウスコロニーに引っ越してきた。

 コロニー内移動手段のビークルなら数百万マニで頑張れば手が届くけど、航宙艦は小型の民間機でも数億マニ、庶民の収入からすると超高額品だ。

 ママは詳しくは話してくれなかったけどパパとは一緒に居られなかったらしく、妊娠発覚と同時に家の航宙艦を拝借して飛び出したのだとか。

 自家用航宙艦とかお金持ち、だよね?

 パパはやる事だけやって責任取らない最低な人だ、いつの日か会った時には殴ってやろうと誓っている。


 元々航宙艦があるとは聞いていたけど

 停泊しているドックや艦の型式を聞いても大人になったらねと言って詳しくは教えてくれなかった。

 その艦のアクセスキーが15歳誕生日、つまりコロニスト成人とされる今日になってママから贈られた。


「今日は早く帰ってきなさい、そうしたら一緒に見に行きましょ」

「うん!」


 私はバックパックを背負うとアルバイト先へ向かう事にした。

 早く行ったからといって今日の仕事が早上がりになる訳ではないけど、既に頭の中は航宙艦の事でいっぱいになっていた。


「あ、待ちなさい」


 家から飛び出そうとした私をママは呼び止めた。


「何、ママ?」

「・・・」

「ママ?」

「愛しいノワール、大切な話もあるから寄り道しないでね」

「っ、うん、い、行ってきます!」

「行ってらっしゃい」


 言いづらそうに逡巡していたママは突然私のおでこにキスをした。

 少し前まで挨拶のキスをしていたけど、最近では気恥ずかしくなって避けていたのでなんとも言えない気持ちになる。

 それでも挨拶されたら返すのは当然なので、ママの頬にキスをして照れくささを誤魔化すように私は家を飛び出した。



 ***



 ゼクセリオン・コーポレーション

 航宙艦の開発をするこの星域内では一二を争う大企業だ。

 そこの開発部門、テスターとして私はアルバイト契約をしている。

 本来テスターとして雇われるのは経験と技術を蓄えたベテランが多い、例えばコロニー間の物資や人員輸送をしていたパイロット、帝国の退役軍人、宇宙海賊狩りの賞金稼ぎなどだ。

 私みたいな小娘は本来なら応募しても箸にも棒にもかからない。

 但し、ママが航宙艦を隠し持っていた事からしてウチは普通じゃなかった。


 ウチには昔からゲーム機が有った、航宙艦の大型筐体ゲームだ。

 シートに座って起動からシステムチェック、発艦、通信、生命維持装置から始まる艦内の設定、武器管制、コロニー間、星系間の光速ドライブ、ワームホール航法、戦闘から採掘、救助、航宙法、そして寄港着艦、とてもリアルなフライトシムだなぁと物心ついた時から毎日やっていたゲームがパイロット養成のシミュレーターだなんて誰が気付くというのか・・・

 覚えていて損は無いから、そう笑うママに唖然としたのは今でも憶えている。


 ゲームの大会と思っていた会場は実は航宙艦のライセンス試験会場で、シムに乗って指示された通りに動かしたり対戦したりと楽しかったのだけど周囲は大人ばかり、子供は私だけって時点でおかしいと気付くべきだった。

 ライセンスは成績順で合格者のシリアルナンバーが掲示される、そこで1番上に自分のナンバーを見付けた私は嬉しくなってはしゃいだ。


「見てママ!私優勝っ!?」


 受験者は大人ばかりの中で子供の私が大声で言うとどうなるか、目立つ、それはもう目立つ。

 これまた今思えば私はアレだったけど

 ゲーム大会に勝ったら帰りに本物の果物と本物の生クリームを使ったパフェを食べようと言われていたので仕方ない、甘いものは正義だ、普段の食事はペースト状の合成食や培養肉なんだから仕方ない、・・・仕方ないよね?


 因みにライセンス試験会場には各航宙艦系企業の人事採用担当者が詰めている。

 恒常的に人材不足なので発表と同時に合格者には声を掛ける為らしい。

 この時貰った名刺の中にゼクセリオン・コーポレーションもあり、その縁からアルバイトとして雇われる事となったのだ。

 まあ、私はパフェパフェとママの服を引っ張って話なんか聞いてなかったけど。


 本物のフルーツパフェは最高に美味しかったなあ(驚きの79800マニ)


 ※中流家庭平均月収28万マニ




リアルがつらくて気分転換で書いていきます、他作品更新はもう少しお待ちくだせぇ・・・

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