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39話 ゴールデンウィーク①

 今日からゴールデンウィーク。


 無事に休みを取れたお父さんとお母さんは、彩愛先輩のご両親と共に温泉旅行へ出かけた。


 以前なら駄々をこねてでも同行していたところだけど、今回は快く笑顔で見送った。


 臨時のお小遣いを貰ったし、お土産もたくさん買って来てくれるらしい。


 なにより重要なのは、最愛の恋人である彩愛先輩と数日間にもわたって二人きりということ。


 さっそくイチャイチャしようと思い、私は事前に連絡を入れないまま彩愛先輩の家を訪ねる。


 合鍵を使って玄関から堂々と入り、「お邪魔します」と一声かけてから家に上がらせてもらう。


 二階に上がると、彩愛先輩の部屋から話し声が聞こえてきた。通話中かな?


 邪魔しないよう、静かにドアノブを回す。



「――歌恋、あんたの処女はあたしの物よ!」



「ひゃえっ!?」



 扉を開けた瞬間、至って真剣な表情の彩愛先輩に大胆極まりないことを宣言されてしまい、驚きのあまり素っ頓狂な声が漏れる。



「ってうわぁあああぁあああああああああああああっっっ!! ほっ、本物っ!? なななっ、なんであんたがいるのよ! ビックリして心臓が止まるかと思ったじゃない!」



「わ、私の方こそビックリしましたよ!」



 先ほどの発言はもちろん、いまの絶叫にも驚かされた。


 元はと言えば、約束もせずに合鍵を使って勝手に上がり込んだ私が悪いんだけども。



「い、いまのは忘れなさい! ただの予行練習だから! 別に深い意味はないから!」



「無茶言わないでくださいよ! 衝撃が強すぎて忘れられません!」



 それに、ただ驚いただけじゃなく、心底嬉しかった。


 一生に一度しかない大切な初めてを、私にとって最も大切な存在である彩愛先輩が貰ってくれる。そう実感できたから。


 例え本人からの要望であろうと、絶対に忘れたくない。



「くっ! かくなる上は、記憶を失うまで徹底的に傷め付けるしかないわね!」



 動揺のあまり短絡的思考に陥った彩愛先輩が、勢い任せに拳を放つ。


 私は紙一重でそれをかわし、背後に回って羽交い絞めにする。


 彩愛先輩の足が床を離れ、私に持ち上げられた状態でジタバタともがく。



「離しなさいよこのバカ! 背中におっぱい押し付けてんじゃないわよ!」



「好きで押し付けてるわけじゃないですよ! まったく……とりあえず落ち着いてください」



 気が動転している状態で落ち着けと言われても、そう簡単にはいかない。


 羽交い絞めで宙に浮かせた彩愛先輩が冷静さを取り戻すまで、十分近くの時間を要した。

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