09.シナリオ作成
シナリオ作成にはこれといった決まりごとは使用するシステムの制約に準ずること以外に制約らしき制約はないと言える。強いて言うならばキャラクターたちがきちんとストーリーを紡ぎ、どのような結果にせよ結末を迎えることが出来るように作成するというくらいだろうか。
シナリオの作り方はゲームマスターによって様々であらゆる展開を想定して緻密に分岐を作り出す人がいるかと思えば基本的な設定だけ決めておいてキャラクターの行動にあわせてアドリブ的に展開できるだけの最低限な舞台装置を作るゲームマスターもいる。ちなみに私は後者だ。……どーせ緻密に作ったところであっさり斜め上に突破されるんだもん。おにちく的な発想の先輩たちに。くすん。
とはいえ初心者ゲームマスターに私のようなアドリブ型は間違ってもオススメはできない。ある程度の慣れと場数、一定水準のルール把握などが必要だし何よりもゲームマスター初心者さんには真っ当なやり方から覚えて欲しいからだ。備えあれば憂いなしって言うじゃない?準備不足からあたふたした挙げ句にルールの誤適用とかゲームマスターとして気まずいし。準備を簡略化するのは十分に慣れてゲームマスターをすることがプレイヤーをするよりも楽しいと感じる頃でいい。
シナリオを作る際に留意しておきたいのは、ゲームマスターが作るシナリオはあくまでも予想に過ぎないと言うことで、まず間違いなく実際のストーリーはどこかしらシナリオから外れて進行するということだ。けれどもだからといって自分が考えたシナリオに固執するあまりに強引な修正をかけるのは間違いであるし、それはお釈迦様の掌レベルにエゴでしかない。ゲームマスターの役目はシナリオの基本骨子から大きく外れない程度に管理しながらキャラクターたちの選択と成長を見守るくらいでちょうどいい。物語の主役はキャラクターたちでゲームマスターは舞台装置の一部に過ぎないのだ。
シナリオを作る際にストーリーをまったくの事前要素がない、一から構築できるゲームマスターはどのくらいいるのだろうか。大半の人は現実世界の時事ネタとか事件、過去の出来事や何らかの情報を元にしてそれらを実際に遊ぶ予定のシステム世界観に合うようにアレンジするのが一般的のような気がする。元ネタがあれば足りないものを付け足すにしてもそんなには難しい話ではないし、気分的にも楽である。もちろんオリジナルの世界観を考え出してそこから発展させた舞台装置からシナリオを作るのもゲームマスター的にはいつかはやってみたい夢だから否定なんてしないけれど、設定を凝りに凝りまくる結果になるのは明白だから時間はめちゃくちゃかかる。後悔はしないだろうが覚悟はしておくように。20年経っても世界が完成しないゲームマスターもいるし。…………それは誰かって?私だよ!(ややとおいめ
シナリオの基本骨子ができたら次は物語を導かせるための脇役たるNPCたちの設定を考えなくてはいけない。この時注意したいのはあくまでも物語が展開するにあたっての重要な役割を果たすNPCに絞って設定を作るという点だ。そこらを歩いているだけの町娘まで設定していたらどんなに時間があってもたりないし、キャラクターが興味を示さなければ無駄なだけに終わる。ゲームマスター個人の趣味で設定したいというなら止めはしないが自己満足は基本的にあまりいい結果にはならないことが多いので注意した方がいいかも。
この重要人物になりうるNPCたちは単なる重要情報提供者になるものもいるだろうけど、設定された役割や役職、立場によってはキャラクターたちの対応いかんでストーリー分岐に繋がるように考えておくとストーリーに幅ができるので適度な緊張感だったり感情移入がしやすくなったりと平坦な一本道ストーリーには味わえない豊かさを感じられるようになるのでオススメだ。そうして分岐を幾つか繰り返して最終的ないくつかの結末を用意できたらあとは小道具やダンジョンなどの準備に移るのだ。
ちなみにこの物語が単発シナリオであるなら最後の試練も用意することになるけれど、実はキャンペーンシナリオの一つであるという場合は次のシナリオに繋がるような結末パターンを想定してやらないといけない。特に比較的悪い結果に陥ったプレイヤーたちがギブアップ宣言をしない限りはどんなに悪い結果になっても次のシナリオに進むことができるように不自然にならない程度で調整してやる必要性が生じたりもする。どのように調整するかは腕の見せどころということで。
基本的にTRPGを遊ぶ場合はコンベンションのようなイベントを除けばプレイヤーの顔ぶれは顔見知りが多いだろうから気心も知れていてマスタリングもしやすいだろうけれど、それでも注意しておくべきことはある。それは内輪ネタには走りすぎないということと、過度にハラスメントになりかねないネタはプレイヤーがたとえ全員同意していても避けるということだ。
身内ネタは軽く扱うくらいならアクセントにはなるだろうけれど、度が過ぎればくどくなる。ハラスメントネタは、プレイヤー内に異性がいる場合は特に要注意だ。心中で嫌がっているかもしれないし、度を過ぎれば当然ひんしゅくを買う。シナリオ進行上において必要なアクセントだとしても全員が楽しくあれるように配慮は忘れないようにしたいね。
コンベンションのようなイベントにてゲームマスターをする場合はシナリオ作成するときに、イベントの時間内に終わらせることができるようにシナリオを作らないといけない点に気を付けなくちゃいけない。イベントに参加するプレイヤーはTRPGプレイ歴もさまざまだし、住んでいる地域もバラバラだから続きは次回、だなんてまず無理。会場も運営サイドが時間を区切って会場管理者から借りているから延長も無理。となれば長すぎず短すぎずで考えなくてはならない。 またキャラクターメイキングに時間がかかるというのは以前述べたわけだけど、こういったイベントの場合はあらかじめプレイヤーが使うキャラクターをゲームマスターが作っておくというのが一般的ではないだろうか。希に持ち込み可なんて猛者なゲームマスターもいるけどね。私には絶対無理だなぁ。