07.ダンジョン
一言、ダンジョンと告げられた時にみんなは何を思い浮かべるのかな?森の奥の洞穴?本格的な地下迷宮?廃墟もしくは古びたお屋敷?はたまた屋外の迷いの森?…………ちょっと思い出すだけでもたくさんでてくるよね。ダンジョン探索の目的も色々あるし。でもファンタジー系の冒険もので一番馴染みがありそうなのは駆け出し冒険者が送り込まれるゴブリン退治の洞窟探検かなぁ?多分。ゴブリン単独では楽勝かもしれないけれどゴブリンの巣穴の中で集団戦とか、油断して挟み撃ちとか、駆け出し冒険者の実力ではピンチもピンチ、大ピンチになっちゃうからそうならない為にもゲームマスターとしてはこれからの未来のためにと用意した、パーティーのキャラクターたちが自分がすべきことや出来ることを学んで実行して、目的を達成しそして無事に生還する。基礎中の基礎を覚えるチュートリアルなダンジョンとしてはうってつけなので一般的になるくらいには有名だよね。
基本的にダンジョンの難易度はパーティーの実力と同じくらいか若干高めで設定されることがほとんどで原則として全滅などを目的とはしないようにするのが普通なんじゃないかな。(ただし、デザイナー本人がキャラクター殲滅を推奨しているようなセブンフォートレスアドヴァンスドの類いは別)普通に行動すればクリア出来るようでないとシナリオ終わっちゃうし。でも愚かな行動にはペナルティがあってしかるべきとは思ってる。ホドホドにいぢめて差し上げるのがいいかな。状況次第でもあるけれど。
ダンジョンとなるとゲームマスター側はキャラクターたちの実力に応じてさまざまな仕掛けや罠、リドルとよく呼ばれる謎かけなどを考えて設置するわけなんだけど、ポピュラーなものに飽きたらず自身で考えたオリジナルのモノを作り出すことに段々夢中になっていくのがゲームマスターという生き物であるわけで。当然ながら私もその一人であることは否定しない。やり過ぎるのはダメだけどキャラクター(プレイヤー含む)たちの意表を突くことが出来たら思わずガッツポーズなのである。もちろん心のなかで。
そんなダンジョンにおいてもマッピングは欠かせない。小さなダンジョンであればゲームマスターの口頭による情報を聞きながらでもなんとかなるだろうけれど、階数を重ねたりフロアが広大だったり、場合によっては構造を把握することがクリアするための前提条件だったりだなんてこともある。であるからなるべくマッピングする癖は早いうちに付けておくのが無難なのである。ちなみによほど親切なゲームマスターでもないかぎりマッピングはキャラクター(プレイヤー)の自主性に任されるものなのでいつもゲームマスターがやってくれているからといって油断していると思わぬ見落としが発生するかもしれないから注意が必要かな。
さて、ダンジョンというものは前述したようにさまざまなフィールドタイプがある。大雑把に分けると室内型か室外型の2つに大別できる。どちらにも属さない特殊なタイプもあるけれど一般的ではないので割愛するよ。この2つのタイプで留意しておくべきことはキャラクターたちの所持スキルは攻略するために必要なスキルやアイテムを持っているかどうかということ。一見何を当たり前のことをと思うかもしれない。基本的にゲームマスターはクリアされることを前提にシナリオ作成するものだし、絶対にクリア出来ないようなダンジョンは作らないのが鉄則でもあるけれど、世の中にはプレイヤーのリアルラックが関係するアクシデントがあるから絶対にクリアできるとも言い切れないのだ。
いわゆる俗に言うファンブルだ。通常の失敗ならばリカバリーが効くかもしれないがおおよそ大体の場合においてファンブルがもたらす結果を覆すには多大な代償だったり犠牲だったりを伴うものだし、最悪は覆すこともできずに状況を受け入れるはめになるものだ。
さてここで問おう。スキルであったり魔法であったりアイテムであったりと形態はさまざまであるけれど、そのダンジョンをクリアするためにパーティー全体で必要と思われるものはいくつ用意できているだろうか。それは担当者だけが用意しておけばいいのだろうか。それとも担当者以外も無理のない範囲で用意しておくべきだろうか。
致命的な状況に陥る可能性を考えるならば言わずと知れたことではあるが実際にマスターを経験するとよほどのことでなければそこまでの危機感を持っているパーティーは極まれであると思う。けれどもよく考えて欲しい。遠足は帰るまでが遠足というように、冒険者は依頼主の前に戻って報告するまでが冒険なのだということを。ダイスの神様は案外無情な存在である。想像力と適度な危機意識は成功する為には大切な秘訣であり、それを如実に試されるのが実はダンジョンであると私は考えているのだ。
ダンジョンにはもう1つ大事な要素がある。それは攻略に至るための最後の試練というもので大半はラスボス登場!……というのが多いかな。強力な個体であったりリーダーを中心とした複数によるグループだったり。場合によっては謎解きを絡めた討伐とかもある。いずれにしても最後の試練は苦労するのが普通でよほどのミラクルオプションでも考え付かない限り(ゲームマスターが許可しない限り)シナリオのラストを飾るべく華々しくも激しいラストへ突入である。
ロールプレイを重視するゲームシステムでは戦闘に入る前にラスボスとキャラクターたちによる前口上なんてのもテンションをあげるのに役立つし、あがったテンションは戦闘シーンでのダイスの結果にゲームマスターを含めたみんなで一喜一憂して盛り上がっていく。まさにTRPGでの醍醐味の1つだ。
そんなラストシーンではあるが、登場するラスボスに関する強さの調整はキャラクターがキャンペーンシナリオを通じて成長するにつれて段々と難しくなっていく。不幸な事故による結果は別にして、キャラクターたちがある程度の苦難の果てに乗り越える強さというものはなかなかに難しいのだ。もちろんシステムのルールブックには基準となるような記述は載っているしモデルになるようなモンスターも巻末に載っていることが多い。問題はキャラクター作成ルールを用いたボスキャラクターを用意するときに大いに悩むのだ。
理由としてはいろいろあるのだろうけれど、私の経験においてはキャラクターシートを管理する立場にあるためパーティーの弱点を把握しやすいが為にどこまで“やらかしていいか”に悩んだものだ。もちろん弱点を放置する側が悪いのだけれど、容赦が無さすぎても問題がある。生かさず殺さず的にいぢめるのが理想的ではあるけれど、ボスキャラクターの背景立場的側面によっては不自然になってはならないからシナリオの途中に弱点解消につながる何かを用意したり……と毎回苦労した思い出が懐かしい。ある程度の経験値を積めば楽勝ではあるけどね。あとは野となれ山となれ、キャラクターの選択とダイスの神様の思し召しに従うだけである。
オープンダイス?……知らない子ですね。