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06.限界の無い自由は存在しない

今日はこれにて打ち止めですって。さすがに文字数いつもより少ないとはいっても四話はちょっとアレよね?

 テーブルトークRPGにおいてはキャラクターが取れ得る行動の選択肢がコンピューターゲームとは比べ物にならないくらいの自由さがあるという事について、それは確かに間違ってはいないのだけれど際限なく自由になんでもできるわけではなくて様々な形で限界は存在する。だいたいにおいてはゲームマスターの判断に委ねられることが多いのでどうしても実行したい場合はリアルで言いくるめスキルを成功させるしかないだろう。まず無理だけど。逆にすんなり通った場合は覚悟が必要かもしれない。ほとんどの場合は必ず良からぬ裏があっておかしくないからだ。……偏見じゃないよ?事実だし。

 また基本的には世界観的にそぐわない行為や犯罪行為などは多くのゲームマスターは拒否すると思われる。仮にスキル判定などに持ち込んでクリティカルみたいな出目による成功を得たとしても最後に待っているのはろくでもない結末がほとんどだと思う。よほどゲームマスターが悪乗りしていたりしなければ。

 なぜそうなるかというと基本的にゲームマスターは自分の考えてきたシナリオに従ってストーリーを進めようとする生き物だからだ。もちろんプレイヤーが取りそうな行為を考慮して分岐点を考えてきて、それでも予想外の行動をされる場合があるのは確かだけど、それでもシナリオ崩壊だけは防ごうと抵抗してくるのだ。というか私でもするよ。なんとかして軌道修正を試みるもの。

 一番最初はゲームマスターとしての忠告ないし警告。または明確な拒絶。それで引き下がるようならいいけれど、諦めていない感じが見受けられて、かつそれらに向けた行動らしき節がみられる場合は見える見えないにこだわらずに様々な結果としての警告をだし始める。例えばNPCからの評判がさがるとか、今まで利用できていたものに制限がかかるとか。大抵はこの辺りで諦めてくれる。それでもなお足掻くようなそぶりをみせたりあからさまに不平不満を伝えたりしてくるなどゲームマスターとしてあらかじめ設定してあるデッドラインを越えたと感じた場合、今度は破滅への引導を渡しに背中を淡々押し始めるんだと思うし、実際私もそのようにしたことは一度だけある。


 まぁこのような事態はそう滅多に起こることではないしとても極端な話ではあるので参考にはさせられないが、迂闊な行動からドミノ現象のように進んでやらかしてしまったり(もちろん都度都度で状況報告という警告は行っている)、重要なサインを不注意から見落として踏み越えてしまったり(状況を軽視して防げる事態を見過ごした)と強引な軌道修正が出来ない(正統な分岐点設定のため)事例などはセッション終了後の反省会などで今後に差し支えない範囲での裏側公開をしたりできれば学んでもらうことはできるだろう。


 因果応報、自業自得などという言葉が示す通り行為が認められていようがいまいが起こされた行動には相応の結果がもたらされるという不文律に変化はない。それは現実世界はもちろんゲームの世界でも変わらない事実であると思う。しかしながらマスタースクリーンの向こうにいて基本的には一部の結果を操ることもあるゲームマスターの存在を念頭に不信の目を向けるプレイヤーがいるのも確か。けれどもゲームマスターであってもシナリオの進行という限界の中で対応しているに過ぎないし、ルールシステムと自身のプライドという限界を破ってまで何かをやってしまうということは正常な思考能力を維持していればまずあり得ない。なぜならばゲームマスターとはプレイヤーやキャラクターを潰すのが目的なのではなく、明確な判断基準と許される範囲の対応能力を用いてキャラクターたちを中心に発生する事象について処理を重ねてシナリオを進行させるのが最大の存在理由であり、シナリオの進行過程において発生する事象が用意してある想定の予想外のものであってもそれが判断基準にて対応可能であれば私情や感情で排他したりせずにプライドをもって処理を行い結果を伝えてしかるべきだと思うし、逆に私情や感情で動いてしまう人にゲームマスターは向いていない。資質以前に人として問題だとも思うし。

 同じようなことはプレイヤーサイドにも言えるのではないだろうか。一見プレイヤーとキャラクターが主でゲームマスターが従であるかのように見えて、思わずやりたい放題にやれてしまえそうに見えるけれどもちょっと立ち止まって考えて見てほしい。その行為は、行為がもたらすと予想される結果はシナリオが開始された時に目指す方向性に必要なものであるのだろうかと。プレイヤーの義務とはキャラクターの意志を自分本位にねじ曲げないことであり、他のプレイヤーの邪魔をしたり進行の妨げになる行為をしないことが前提でもある。仮にプレイヤー全員が合意したとしてもキャラクターたちの意志に反した時点でそれは単なる進行妨害行為であるし、義務とプライドを投げ捨てた自由の意味を履き違えた無法者集団である。「みんな」には当然ゲームマスターも含まれるし、極論かもしれないがキャラクターたちも含まれると私は思っている。事件解決やクエストクリアのために奔走していたキャラクターたちは突然巻き込まれた思わぬ嵐を本当に喜んで楽しんでいると?


 私なりにテーブルトークRPGにおける「自由」について考察した結果は、自由というものはある一定の限界を備えているからこそ楽しみを産み出せるのであって、無制限に広がる自由には一過性の楽しみは見出だせてもいずれは消え失せるものでしかなく遺されるものは無惨な残骸だけになると。であればおのずと求めるべくは……。

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