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異世界漂流  作者: 英雄騎士
旅をする
8/23

ギルド登録

 それはとても大きな町だった、山と森の自然に囲まれた中に突如現れた大きな町、夜だというのにあちこちで明かりが点き酒を飲み騒いでいた。


「賑やかな町だな」

「ミームビエル国、いつ来ても変わらない賑やかな国だ。ここでは亜人も人間も悪人でない限りは基本誰でも受け入れている国だ」

「へぇ、山とあの王国以外行ったことなかったけどこうなってるんだ」

「宿をとろうか、どこかでゆっくり寝たいだろ」

「どこでもいい」

「ごつごつした岩の方が落ち着く」

「良いから黙って宿に泊まれ」


 エリーヌに連れられて私たちは宿に入る、私とミルにはベットではなく藁を敷いた部屋が用意されたが嫌がらせでは無いだろう、私たちの体でベットに寝転がれば間違いなく甲殻の棘が刺さって大変な事になるからだ。

 寝転がり目を閉じるとすぐに意識は途切れた。



 次の日、私たちの部屋に食事を持ったエリーヌが入ってきた、見た感じパンと牛乳だろうか?毒物反応は無いので口に運ぶ、大して栄養は無いが朝食にはぴったりだろう、噛むたびに香ばしい香りが口の中に広がった。


「さて、私たちは旅をしているわけだが」


 牛乳……正確には何かの乳を飲んでいるとエリーヌが地図を取り出してそう切り出した。


「旅というか人探しだな」

「私はヒカリについていくだけだよ」

「まあ私も人探しだがな……まあそんな事はどうでもいい、これから旅を続けていくためにも情報集めがメインとなる、だからそれを便利にするためにギルドに入るのをヒカリ殿に提案したい」

「ギルド……名前は聞いた事があるが何かできるのか?」

「この国のように大きな国にはほぼ必ずギルドが存在している、簡単に言えばそこには魔物を倒すことから物探し、もちろん人探しの依頼もある、そんな依頼をこなす冒険者の集まりだ」

「ならばそこに依頼をすればいいのか……いや、依頼ということは」

「もちろん報酬を用意しなくてはいけない」


 そうだろうな、タダで依頼をするなど言語道断だ、成果には必ず対価は必要だ。


「ヒカリ殿の実力ならすぐにお金を集められるだろう、それどころか有名になってから依頼すればその分人でも増える、ギルド同士も繋がっているからな。細かいことはギルドで聞けるがどうする?」

「行く」

「よし決まりだ、この町のギルドに向かうぞ」



 外に出るとエリーヌは何か奇妙な金属を耳に着け折りたたんだ、尖がって髪から突き出していた耳が髪の中に隠れた。


「これか?感覚が集中していてな、触られると弱いんだ。それに、エルフを狙う人攫いもいるしな」


 要は耳の鎧だろう、弱点なんだ。


「しかしミル、お前は別にギルドに入る必要はないと思うが?」

「えー、私だけ仲間外れなんてやだよ」

「そうか……ん、私の番だな」


「ギルドに所属していたのだが私の名はまだ残っているか?」

「エリーヌ・ウェリンダさんですねえっと……死亡したことになってますね、一からやり直しです」

「そうか……」

「それでは鑑定玉に手を」


 ギルドの中、六つほどの受付があり私たちはそこに並んでいた、エリーヌは受付に行くと一枚の羊皮紙を受付の女性に見せるが首を振られ肩を落としていた。

 それをスルーして受付の女性はエリーヌの前にこぶし程の大きさの水晶玉を真新しい羊皮紙の上に置いた、エリーヌがそれに手を触れる。

 話によればこれは加入希望者の犯罪歴や種族、能力をF~Sで分析できるらしい、能力値によってはそのままギルドに入れるが低ければそれに合わせた試験を行うらしい、それに合格できれば晴れてギルド入りである。

 しばらくすると羊皮紙に文字が浮かび上がってきた。


【エリーヌ・ウェリンダ】

 種族……エルフ

 犯罪歴無し

・筋力……B

・知力……S

・魔力……A

 ギルド認証



「特に問題はありませんね、ありがとうございました」


 エリーヌは羊皮紙を受け取ると列の隣に移動した、待っているということらしい。


「次私だね!」


 ミルが鑑定玉に手をかざした。


【ミル】

 種族……竜人

 犯罪歴無し

・筋力……S

・知力……C

・魔力……B

 ギルド認証


「はい、問題ありません」


 次に私が受付の前に立ち鑑定玉に左手を乗せた。


【ヒカリ】

 種族……


 ん?止まった?


「あれ?おかしいですね、右手の方はどうですか?」


 受付嬢に言われ乗せる手を入れ替えるすると文字が出てきた。


【ヒカリ】

 種族……人間

 犯罪歴無し

・筋力……F

・知力……B

・魔力……無

 戦闘試験の必要あり


「人間?……あれ?どうなってるんでしょうか……ちょっと待っててください」


 受付嬢は羊皮紙を取ると奥に消えていった。


 そして十分後、先ほどとは別の受付嬢が羊皮紙を持って戻ってきた、先ほどの受付嬢に比べるとその動きや手際が違う、おそらくベテランの受付嬢だろう。


「すいません、どうやら鑑定玉の調子が悪いようで間違った種族が書かれてしまいました、種族は竜人ですよね。ではこれを持って奥の試験場に向かってください」


 そう言って種族の部分が竜人に書き直された羊皮紙を渡された。


「一応人間なんだが」


 羊皮紙を持って試験場に向かいながらそうぽつりと呟いた。

 試験はどうやら戦闘の試験をするらしい、時間になるまで控室で待つように言われ控室に入った、控室は武器庫とでもいうべき程武器や鎧が用意されていた、どうやら足りない筋力を技と知力で補えということだろう。

 正直言って防具より弱い鎧も拳に勝てない武器など必要は無い、特に何も持たずに私は闘技場に出た。


「ほう、武器なしとはいい度胸だな。試験の内容はただ一つ私を戦闘不能にすることだ、殺さなければどんな方法でもいいぞ」


 闘技場には鎧と剣で武装した如何にも教官、とでもいうような厳つい男が立っていた。

 殺してはいけないとなると方法はだいぶ限られるが難しくは無い。


「まあ筋力Fの拳などで私が倒せるわけが……」


 一気に加速しその勢いのまま右のストレートを胴に叩き込んだ、これほど隙だらけなら当てるのは簡単だ、男は壁に叩きつけられ壁が凹む、更に追撃で左足で頭部に飛び蹴りを叩き込む。

 男はそれにより動かなくなったが生体反応はちゃんとある、これで試験内容はクリアだろう。


「どうやら筋力Fも間違いだったようです、本当にすいませんでした」


 試験を合格し受付に戻ってくると羊皮紙の筋力をAに書き直された、一応これでギルドの一員にはなれたらしい。

 何度も頭を下げる受付嬢を後に私たちはギルドへの依頼が来ている酒場に移動した。


「ああ、また駆け出しからだ……ランクFからとは」

「これもランクか、随分と評価をつけたがるのだな」

「まあ分かりやすくていいじゃん」


 ギルドに所属するものは冒険者と言われる、この冒険者もランクで分けられており最下位のFからSまでが存在しており上位になれば国から直接依頼が来たりギルドから褒賞がもらえたりするらしい、そんな事はどうでもいいが。


「今は金貨を集めるか」

「銅や銀は無視だね」

「普通は銅や銀貨の簡単な依頼をこなすんだがな、まあ私たちなら金狙いの方が早いか」


 依頼にもランク分けがされているが特にどれを選んでもいいらしい、つまり駆け出しがいきなり高ランクの依頼を受けて死んでも関係ないということだ、つまり私たちにとってはとても都合がいい。


「これはどうだ?」


依頼『霧の村の調査』

ランクS

 霧に覆われた村の調査、ランクSの冒険者未帰還の危険地帯の調査


「情報少な!」

「ランクSの冒険者が行方不明になるということで報酬は多い」

「確かにこれは……しかし危険では?」


 とりあえず行ってみよう。

筋力Fは素の筋力が弱いからです

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