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異世界漂流  作者: 英雄騎士
魔王復活
20/23

終焉の始まり

 この世界が間違っていると感じたのは何時からだろう、俺は異世界に転生した男だ、もう自分の名前も思い出せないがこの世界に来た時、国同士が戦争を繰り返していたのは覚えている。

 異世界チート、小説などで見た事のある能力を持ってこの世界に生まれた俺は戦の天才として君臨し最後には英雄の騎士、そう呼ばれていた。

 エルフやドワーフなどの亜人がその時は居た、ドワーフは先頭の兵士か力仕事、武器の製造。エルフは魔法の開発に地図の製作などをしていた。そして国同士が戦争する、何度倒しても、同盟を結んでも、侵略しても、侵略されても、何も変わらない、何も変わらない、ただ戦いが続くだけだ。どれだけ圧倒的な力を見せても力を合わせてこちらに攻撃をしてくる、仲間になっても水面下では侵略の準備……


 チートの力でどれだけ老いても俺の力は変わらなかった、だが世界も変わらない、いくら平和を説いても生まれた時から戦いを繰り返すこの世界には通じない。

 そして俺は気付いた、このまま自分がどれだけ頑張っても世界は変わらない、強いだけの人間では世界は変えられない。それぞれの国に正義があり善があり幸せがあるのだ、それを望む一人の人間の言葉など他者に通じる筈が無いのだ。


 そんな時に俺は気付いたんだ、世界中の人々が正義を叫べる状況を、すべての人々が自分を善だと思える状況を。

 ()()()、世界に生きる人々全ての平和を脅かす存在がいればいい、そうすれば人々は力を合わせ自らの正義を叫べる、悪と戦うための正義になれるはずだ、と。


 だから私は魔王となった、不老の魔法を作り出し、精霊を操って魔物と呼ばれる生命を生み出した、あと自分好みの部下も、この者たちは後に人々の中に混ざり亜人となった。

 こうして俺は世界に向けて侵略を開始した、村を焼き、人々を虐殺し、国を滅ぼしていった、私の思惑通り国々は戦争を止めて俺に対抗してきた、それでいい、だが足りない、それだけでは駄目だ、戦争を覚えている世代がいては駄目なのだ。

 私は何百年にもわたって世界と戦い続けた、戦争を知る世代がいなくなるまで、戦争の原因を忘れるまで。

 その間にドワーフは滅びエルフはその数を大きく減らしたが、それを完遂した、後は私の恐怖を世界に残して私が死ねば終わりだ。私は何百年の間に研究を続けていた転移魔法の技術を人間に流した。


 そこから先は昔話になっている『闇の魔王、聖なる勇者によって倒され世界に平和がもたらされた』


 魔物を残し私はその姿を黒い動物に変えて待った、また闇が必要になる時を。




「それで黒い蛇か」

『前はカラスだった、その前は蜘蛛だ』


 闇が必要な時代がまた来た、私が乗っている魔王ミズキ、その隣に立つのはその親友ヒカリ、右腕は肘から先がレールガンになり弾丸箱を直接装備しているこれにより装填数は数千、玉切れになることは無いだろう。

 そして左足の足首から先には電熱ブレードを装備し顔には高精度なレーダーを装備したサングラスをつけている。

 電熱ブレードは使用時に強力なプラズマを発生させ対象を焼き切る武器だ、プラズマライフルを解体して改造したもちろん足の先から撃てる。


 二人は瓦礫と化した王国の中心に存在する城の屋根で立っていた。


 俺の考えた勇者一行を倒す作戦、魔王の力で俺を分離してミル、エリーヌにそれぞれサポートとしてついていく、そして勇者の仲間を俺の転移魔法を使って分断し勇者を一人にしておびき寄せてこの場所で倒す、この作戦は最初の奇襲で勇者一行を分断できるかが鍵になるだろう。


「向こうはうまくいっただろうか」

『勇者一行は魔王の魔力に引かれて必ず来る、バラバラに移動している可能性も高いし成功するさ』


 まあ、向こうの俺がうまくやっているだろう。



 ふむ、モンスター娘、特にドラゴン娘は好きだったが、これほどとは……


「どう魔王様?魔法使いの居る場所は分かる?」

『ん、そうだな、このまま直進だ。それよりもジズの力は大丈夫か?』


 近い近い!!まだ幼さの残る体、みずみずしい皮膚にテカテカと輝く鱗、吐息が顔にかかって……ありがとうございます。

 しかもかわいいだけではない、私の作った魔王軍第三軍の司令官、俺がかっこいいと思っていたドラゴンと鳥の魔物を率いていたジズの力を彼女に注ぎ込んだ、ジズ本人は残念な事に死んでしまったがそれを構成していた精霊がいなくなったわけでは無い、ジズの精霊を彼女に託した、すると鱗と甲殻の間から火を噴出し炎の翼が生えたのだ、しかも出力は自由自在、ヤバイ、かっこいい。


『見えた!勇者もいる!』

「だったら最高速で魔法使いに突っ込むよ、魔法を用意して!」

『もう終わった』


 俺のその言葉を聞いた瞬間ミルの全身が炎に包まれ翼が大きくなり速度が一気に加速する、それはまるで流星のように魔法使いに直撃した。

 寸前で勇者が気付いて魔法使いに魔法の障壁を張ったがこの勢いを殺せるものではない、障壁に包まれた魔法使いを空に向かって持ち上げ転移魔法を発動した。



 赤い髪の巨乳エルフ、ふむ、エルフはあまり好みでは無いのだがこのキリっとした表情、鎧、剣、弓、まさしく戦士の姿のエルフはなかなか好きかもしれない、というかかっこよくて賢い女性は基本的に好きだ。

 しかも耳が弱点ということを周知してそこに防具をつけるとは……


「魔王殿、このまままっすぐ行けばいいのか?」

『大丈夫だ、ミルが魔法使いを連れ去った直後に戦士に体当たりをすればいい』

「分かった」


 その時森の終わりが見えた時、空に向かって流星が駆けた。


「いざ、参る!」

『おお、やっぱりサムライ風の言い方がよく似合う!』


 その直後、エルフは森から飛び出し戦士に飛びつき転移した。



 ああ、俺は今幸せを味わっている。


「ダーリン、これが初代の魔王様よ、もうすぐ魔物の時代が来る、私たちは隠れて住まなくてよくなるのよ」

『これは魔王様、アラーニャの夫、アラーネアと申します。魔王様と共に戦えることを光栄に思います』

『頭を下げるな、私はただの補助で司令はアラーニャだ』


 アラーニャの胸の間から顔を出して俺は周囲を見渡す、なんだこの感触、女性の胸に顔を埋めた事はあるが全身が胸に埋もれたのは初めてだ、ああ……もう死んでもいいかもしれない、アラクネだし俺が死んだら食ってくれるだろ、うん、本望だ。

 まあそれは戦いの後にするとして、なかなか壮観な光景だな。


 地面が蠢く蜘蛛や百足や蟻で埋め尽くされ空は黒くなるほどの量の蜂が飛んでいる、アラーニャはアラーネアの背に乗っておりその光景を見ている、背後には更に巨大なサソリ型の魔物に地面にはワームが蠢いているのだからなかなか気持ち悪い。


その時、小さな子グモがアラーニャの体を上ってゆき耳元で停止した。


「そう、斥候が軍隊に会ったのね。数は……なるほど、第五部隊は接敵した兵士へ攻撃を開始!多分それは囮だから本隊を探して、見つけ次第第二十三部隊と第十二部隊は攻撃に向かって頂戴、予備で第三十五部隊もついていってね」


 アラーニャに司令に選んだのは正解だった、彼女はこの虫の軍団を五十の部隊に分けその戦力を把握し指示を下せるほどの頭脳と記憶力を持っている、正直言ってこれなら私のアドバイスは必要なさそうだが不測の事態が起きた時の為にここに居よう、違うぞ、胸の中に居たいとかそんな理由じゃないからな。



 分身の気配が遠くに移動した、それぞれ海岸と樹海に移動できたようだな、これで魔王軍司令の二匹と一緒に勇者の仲間を倒してくれるだろう。


『勇者が来たぞ、最初から覚醒状態、私たちを倒して仲間を助けに行くつもりだろう』

「射程に入った」

『距離1500、当たるのか?』

「命中」


 バチッ!という音が鳴りレールガンが発射される、命中したかどうかはここからは見えないが当たったのだろう。


「何か来る!」


 ヒカリが左足を振り上げる、キィン!という音と共に真っ二つになった短剣が落ちた、どうやら勇者が投げた短剣を電熱ブレードで斬ったようだ、この子、化け物か。


『作戦は憶えているな?』

「ああ、勇者は攻撃が当たっても一秒で全回復してしまう」

「だからヒカリが攻撃を当てた時に私が全力の一撃を叩き込んで倒す。だよね」

『そうだ、ほぼ同時に当てなければいけないがお前たちなら大丈夫だろう。それと一応命がけの作戦だがだが何か言っておくことはあるか?』

「私は無い、ミーちゃんと一緒に居られればそれだけでいい」

「じゃあ私はヒカリと一緒にこの世界を見て回ろうかな、いいよね?」

「ん……良いよ」


 ああー良いですわぁ、軽い百合ってなんか幸せになる、重い百合も大好きだけどこれも良い。


「どうやら到着したようだ」


 下を見ると瓦礫の中に黄金に輝く勇者が立っていた。

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