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異世界漂流  作者: 英雄騎士
魔王復活
17/23

魔王復活(前編)

 私たちは今、レヴィアタンの頭に乗って元の大陸に向かっていた。

 キサラギの話ではすぐに魔王は復活するらしい、そして勇者もそこへ向かっている、それに呼応して魔物たちも行動を始めていた。


『キサラギは気持ち悪かっただろう?未来が見えるなど不気味で仕方が無い、あのメス豚』

「別にそうは思わない、というか口悪いな」

『アイツは初代勇者の仲間の賢者だ、不老の魔法を完成させ未来を見通す力を作り出した奴だ、アイツのせいで私が待ち伏せしている航路がばれた』

「そういうことか」


 ということは一応敵同士という関係は今も続いているのか、だが同時にこの世界を知る者同士であり同じような境遇で嫌いでは無いのだろう、先程からキサラギの話ばかりしているのがその証拠だ。


『そういえば先程魔王様復活の気配を感じた、ミームには先行してもらったから陸に移動手段を用意しているはずだ』

「それはありがたい」


 その時空に変化が起きた、突然黒い雲が広がり青い空が覆われ始めたのだ。


『始まった、全速を出すぞ、しっかり掴まっていろ』


 そう言ってレヴィアタンが加速する、全身が押しつぶされそうな加速だ、鱗にしっかりと掴まり吹き飛ばされないように力を入れた。


「しかしヒカリ殿、本当に魔王はヒカリ殿のご友人なのですか?」

「正直言って分からない、だから会って確かめる、もしもそうなら私は魔王の、ミーちゃんの仲間になる。無理についてこなくていいんだぞ」

「何をおっしゃいますか、私の目的は勇者を倒すこと、その後は……魔王にエルフを攻撃しないように交渉します」


 なかなか腹黒い、ミーちゃんならすぐに了承してしまうだろう、そうすれば魔王が存在する限りエルフの安全は守られる、意外と自分勝手なんだな。


「魔王が復活すれば私たちの食料問題は解決するわね、もうコソコソと生きる必要が無いもの」


「人間と戦うのね……面白そうじゃない」


 どうやら私の仲間に人殺しを躊躇う者はいないらしい、よくこんなろくでなし達と旅をしていたものだ、いや、類は友を呼ぶ、私もろくでなしの一人なのだろう。


「レヴィアタン、今大陸がどうなっているか分かるか」

『潜伏していた魔物たちが動き出した、手近な町や村を襲っている。と思う』

「分からないんだな」

『すまん、だがもし襲っているとしても所詮は残党、我らが手を貸さねばすぐに全滅するだろう。それまでに魔王様の所へ行き復活まで守ってほしい』

「了解した」


 なんだろうか気分が高揚してきた、目的を決め命令されて行動を起こす、これではまるで軍事行動だ。

 それが楽しくて仕方が無い、戦いはこうでなくては。



『あれは、ジズか。投げ飛ばすぞ、向こうに居るジズに飛び乗れ!』

「全員手を離せ!」


 大陸が見えてきた、そこに巨大な飛行する生物が見える、レヴィアタンがジズと呼んだということはそうなのだろう。

 レヴィアタンが首を持ち上げ思いきり振り下ろした、私たちはその勢いに任せて投げ飛ばされる。


『ここからは私が運ぼう、お前たち!私たちの邪魔をする者どもを食い千切り引き裂け!』


 私たちはジズの背中に着地する、ジズの周囲には小型のドラゴンが数百匹という量が飛んでおりジズの号令と共にそれがジズの正面に飛んで行く、それに続いて下の森から大量の鳥……いやあれも魔物だろう、小さいものは一メートル、大きいものは十メートル近い大小さまざまな鳥型の魔物が空を染めるような数飛び立った。


『ハハハ!さすがは私の部下たちだ、数だけなら魔王軍一だ。さて、魔王様のもとへ向かう、しっかり掴まっていろ』


 ジズが加速する、正面の下にはミームビエル国が見えた、国に大量の飛行型の魔物が侵入しそこらじゅうで魔法による炎や雷が発生しており空に向けては大量の矢が放たれていた。


『そんなものでこの私を止めれると思うなよ人間』


 その矢の中をジズは突っ切る、ジズの翼から発生した強力な衝撃波に阻まれ矢は勢いを失って落ちてゆき当たった矢も強靭な鱗に阻まれ弾かれた。


『さて、これでもう敵は……落とすぞ!!』

「は!?」


 突然ジズが方向転換しその遠心力で私たちは宙に放り出される、その瞬間ジズの体に巨大な雷が直撃した。


「ジズ!」

『かまうな、行け!』


 十メートル程のサイズのドラゴンが私たちを拾う、背後を見るとジズに向かって大量の雷が降り注いでいた。



「あれは魔法だな、しかも最上級クラス、伝説の魔法使いレベルだ」

「勇者の仲間か」

「おそらくそうだろうな、勇者の周りにはいつも強い仲間がいると言われている」

「じゃあ追い抜いたのかしら」

「だったらいいのだが……」


「皆、前見て前!」

「どうした」


 振り向くとそこには、山がそびえたっているのだがその頂上に誰か立っていた。

 黄金の鎧に身の丈の倍はある大きな剣を持った少し幼さを感じる顔をした長身の女性だ。


「待っていたぞ魔王の眷属、お前たちに勇者様の邪魔はさせない!この戦士アーヴィングの剣の錆になれ!」


 そう言って女性は剣を振りかぶる、この距離で届くわけもないがあれも勇者の仲間だ、ろくなものではないだろう。

 振りかぶった剣、そこに描かれた文様が輝き剣が光を纏う、それがまるで新たな刃のように長く伸びた。

 山ごと斬るつもりか、面倒な事を。


「邪魔するな」


 私は電磁投射装置を構え引き金を引く、弾丸はまっすぐにアーヴィングの胴体に直撃した、だが……

 ギィン!!と金属音が鳴り響きアーヴィングが山の下に向かって転げ落ちていった、だが貫通した手ごたえが無い、弾かれたのだ、アーヴィングは直撃の衝撃で吹き飛んだだけ電磁投射装置の弾丸を弾いたのだ。


「なんだあの鎧は……」


 アーヴィングが落ちていった方を見るが木々に隠れてその後どうなったのかは分からなかった。



「あそこだ!」


 そしてそれからすぐに私たちは魔王が復活の地にたどり着いた、巨大な祭壇の上、そこに人間一人が入れるほどの不気味に発光するクリスタルが見えた、ドラゴンはその祭壇の上に着地する。


「ミーちゃん!」


 私はクリスタルに駆け寄る、その中で裸のミーちゃんが目を閉じて眠っていた。

 良かった、まだ生きている。

 その頭部から羊のような角を生やし体にも何か不思議な紋章が浮かんでいるが間違いなくミーちゃんだ。


「ヒカリ殿、感動の再会中失礼だが、どうやら勇者の到着のようだ」


 エリーヌが剣を抜く音が聞こえ私は振り向く、ちょうど勇者が祭壇に登ってきた時であった。

 正直言ってその外見はとても勇者には見えなかった、黒いコートに中は皮の装備、剣も平凡だ、あれが勇者?


「お前が勇者か、あの時の雪辱、今こそ果たす」


 エリーヌが踏み込む、目に見えないほどの速度に加速し勇者の目の前に移動し剣を振り下ろす、だが勇者の顔には余裕が見えた。


 miss


「馬鹿な!?」


 エリーヌの顔に驚きが浮かぶ、それもそのはずだ、確かに直撃したはずの攻撃がなぜか当たらなかったのだから。


「エリーヌ離れて!」


 そこへミルが炎を吐く、広範囲に対する火炎放射、確かにこれなら回避するのは不可能だ、だが


miss

miss

miss


「なんで!?」

「あいつ攻撃が当たらないのね」


 原因は分からないが私たちの攻撃が当たらない、勇者は余裕、というかうんざりしたような顔をしてこちらの方へ向かって歩き出した。


「来るな」


 私は無駄だと分かりながらも電磁投射装置の引き金を引く。

 その弾丸は完全に勇者の額に吸い込まれ()()した。


「え?」

「え!?」


 ばらばらに吹き飛んだり貫通したりすることもなかったが勇者の頭部に直撃した弾丸は勇者の体を祭壇の端まで吹き飛ばした。


「あ……痛えええぇぇぇぇ!!!!!なんじゃ今の!ふざけんな痛えええぇぇぇ!!!くそ、防御力カンストだぞこっちは、再生能力が無かったら今ので脳みそ破裂してたわ!」

「知るか」


 なんだこいつは、勇者の顔には先ほどの余裕は完全に無くなっている、むしろ恐怖を感じているような顔だ、負けた事のない子供が大人にコテンパンにされた時のような顔。

 まあいいだろう、攻撃が有効なら何とかなる。

 電磁投射装置を今度は心臓の位置めがけて引き金を引く、これも貫通はしないが勇者は悶えた、次は腹、腕、足、もう一度頭、連続して撃つがやはり痛がるだけで血の一滴も出ない、化け物か。

 物理ダメージが無理だとすれば、こちらか


「ふざけんなよ、ルール違反だろ……なんだよ防御力無視って」


 勇者が意味不明な事を言っているが構わず私はプラズマライフルに持ち替えフルオートで勇者の体に容赦なく撃ち込む。


「熱っ!?熱い熱い熱い!!!!」


 勇者は転げまわりこちらの射線から逃れようとするがたかが二メートル程の距離で私が外すわけが無い、動くのに合わせてこちらも動く。

 しかしやはり傷つかない、これ以上撃てばバッテリーがもたないので撃つのを止めた。


「ふざけんな!」


 勇者がこちらに殴りかかってくる、だがその動きは完全に素人の動きだ、私はそれをひょいと回避する、その瞬間勇者の拳の正面、そこにあった木々が衝撃波で吹き飛んだ、なんて力だ、常識ではありえない事だが当たらなければ関係ない、足を引っかけ勇者がバランスを崩したところに頭部に膝蹴りを当て更に髪を掴んで床に叩きつける、そこへ更に左足、電磁投射装置の銃身で頭部を踏みつけた。

 やはりダメージになっては居なそうだ、勇者が頭を上げたので私は勇者から一度離れた、戦闘員の中で唯一体術では誰にも勝てなかった私がこれ程圧倒できるということはこの勇者、かなり弱い。

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