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破滅の神

 破滅の神グリアス様は破滅と混沌を人に与えていました


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「人間は、魔法を使うようになったのか……」


破滅の神グリアスはそう言うと下を向き悲しそうにそう言い放つ。

また人間同士の殺し合いを見ないといけないのか……グリアスは眼下に広がる人界を見る。笑い合い、愛し合い、新しい命が生まれる、自然とともに生まれた命はやがて自然に帰って行く。この連鎖がグリアスの好きなものだった。


「何が破滅の神だ……せめてこういう感情も自分で消せたら楽なんだがな……」


そう力のない声でぼそぼそと独り言をつぶやくグリアス。


「次は人間の魔法で人を破滅に追いやる……醜くとも美しいこの世界を、俺はぶち壊すのか……」


そう言言いながら立ち上がったグリアスはまたも悲しそうな顔をする。


「こんな美しい世界を作る創世の神と、俺は交わってはいけないのか……」


グリアスは天界の中心にあり枝を広げている神の木、『ベルフ・ゾ・ランド』へ足を向ける。



 暗く光のない道をグリアスは歩く。


「俺は光とは交わってはいけない……だが、せめて話だけでもしたかった……」


グリアスは憧れていた。美しいあの連鎖を生み出している創世の神に。そしてグリアスは、ベルフ・ゾ・ランドの前で膝をつき祈りを捧げる。


「互いの破滅、それは新たな生を与えるだろう、我が身を持って破滅の道へ……」


グリアスはゆっくりと言葉を紡いでいく。そして長い祈りが終わり立ち上がる。


「これをやるごとに美しい世界は穢れ、壊され、破滅する……そんな事ならいっそ俺がいなくなればいいのに……」


グリアスはそう言い魔導術を展開させる。


「無への変換、暗黒のいざない……」


破滅の魔法『暗黒の誘い』を詠唱してると、後ろから声をかけられる。


「その魔法を今、取りやめてください!」


後ろから突然声をかけられて、グリアスは驚きながら後ろを向く。


「あんた……」


目の前には、純白の衣に包まれた女神が立っていた。


「我は創世の神アステラ、人の子の生を司り大地の息吹を産むもの」

「……」


グリアスは魔法を途中放棄、消滅させ、黙り込んで下を向いている。一方アステラは安堵の表情と心配の表情を浮かべグリアスに声をかける。


「どうかされたんですか?」


アステラは下を向いているグリアスを心配する。


「もう無理だ……すまない」

「なぜです…? ……もしや、もう事を済ませた……と?」


目の前に立っているアステラは徐々に暗い表情になっていく。


「そうだ……あんたが産み落としたあの美しい世界は……もう、無くっ……」


グリアスは頬を涙か伝うのを感じながら声を絞り出す。


「無くなって、俺のっ、憧れでもあるあの世界は、俺がっ! 破滅させた!」


グリアスはそう言うと『暗黒の誘い』を自分に掛けようと再び唱え始める……だが。


「もう大丈夫ですよ、あなたが美しいと思ってる世界は私が取り戻しに行きます。だから、泣かないでください」


アステラはそう言うとグリアスを子供をなだめるように抱きしめるのであった。


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