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創生の神

「これは大昔の、人類が初めて魔法を知った頃の話だ」


 遠いお空のもっと上には神様がたくさん住んでいました

 ある神様は人に恩恵を

 または知恵を

 そして裁きを

 そんな神々の中から今日は二つの神様のおはなしをしましょう


 創生の神 アステラは命と大地の息吹を人に与えていました


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「我が身を持って生を、我が身を持って大地の息吹を……」


創生の神アステラは膝をついて、天界を覆うように枝を広げている、神の木、『ベルフ・ゾ・ランド』に祈りを捧げる。


それから長い祈りを終わらせると、アステラはふうーと息を吐きそっと立ち上がる。


「今日の祈りはこれで終わりですね」


独りでに呟いたアステラは長い階段をゆっくりと降りる。


「それにしてもまさか人の子が魔法を使えるようになるとは……」


階段を下りながらブツブツと独り言を続ける。


「こんなこと言うのは知恵の神に失礼ですが、少し危ないのでは……」


悪いと思いつつも意見を言ってしまうのは自分の悪い癖だ、と思いつつもアステラはついつい口にしてしまう。


「そうだな、創生の神よ」


突然後ろから声をかけられたアステラは少し驚いた表情をして、大げさに後ろを向きその声の主の名前を口にする。


「ミ、ミシェイラ!」


独り言の話題になっていた知恵の神が突然現れてアステラは戸惑う。


「その……いつから……?」

「人間が魔法を使えるようになるところからかな……それよりも神々の真名をすぐ口にしてしまうとは……」


ミシェイラと呼ばれていた知恵の神は呆れた表情を見せる。


「すいません! 知恵の神!!」


アステラは必死に頭を下げてミシェイラに謝る。


「いいえ、大丈夫ですよ、怒っていませんから」

「本当ですか?」

「ああ、大丈夫だ」


アステラは胸にそっと手を当てて安堵の表情を浮かべる。


「それに、私も少し危ないと思っていてな……」

「そうだったんですか……ならばなぜ人の子に魔法を?」

「私は知恵の神だが直接教える、ということはしない」

「そうですか……ならば人の子は自らの知恵で魔導術を?」

「ああそうだ、だが魔法を使えると言っても火を起こすぐらいしかできないがな」

「でもその知恵は発展するから怖い……」


そんなの……悲しいじゃありませんか……。アステラは悲しい表情をし両手を胸に当てて下を向く。

命を与え人々に恩恵を与えながら、ずっと天界から見守ってきたアステラからして見てみれば自分の子供が互いに殺しあう。そういうように感じてしまうだろう。


「だが、自分たちの技術と知恵が自分たちを『破滅』に追いやっているのは破滅の神あってこそだか、その破滅の神はお前と同じように自身のすべき事をやっているだけなんだよ。なんとも複雑だな……」


そう言うと知恵の神ミシェイラは長い階段を降りて行った。


「破滅……創生とは交わってはいけない神……人を破滅に導く神……」

「どんな方なんでしょう……」


そう呟くと、アステラは長い階段を無言で降りて行った。


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 アステラの神殿に驚きと不安の混ざった声が響く。


「えっ!? 人の子の魔法が争いに!?」

「はい、人間は魔法を殺し合いに使っています、今の下界は戦場と化しています」


アステラは破滅の神を思い浮かべる。


「やめさせなくては……」

「ですが、下界には……」

「これは人の子を守る行為…創世の神として当たり前のことです! 破滅の神の元に私はやめさせるよう伝えて来ます!」


そう言い放つとアステラは翼を広げ破滅の神の元へ行くのであった。

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