なんで俺がこんなめに!?
「・・・。」
カーテンを開け、外を眺める。
朝。いつもの朝。変わらない、つまらない、いつもの朝だ。
このいつもの朝をぼりぼり頭をかきながら迎えるのをもう16年間も繰り返しているのが、俺、杉城汐音«すぎしろしおん»だ。
つまらない日常。周りは彼女を作り、リア充だ~なんていいながら毎日騒いでいる。
俺?俺には彼女なんていない。いるわけがない。というか別に欲しくもないし(震え声)
ま、まぁつまりだ。ただの童貞でこれといって何かに秀でているわけでもないただの高校2年生。
(今自分で言いながらちょっと傷ついちゃったぞ。いや、ちょっとどころじゃねぇーな、結構きつかった。)
別にたいした目標もなければ夢もない。なんで俺生きてんだよ(笑)とか思いだすレベル。
あーあ、つまらないつまらない。こういう時にラノベやアニメの主人公は異世界に飛ばされたり、奇跡的な出会いをしたりするんだろうけど、俺には起こるわけないよな。うん。
とか言いながらちょっとばかり期待してたりもする。
おっとこんなことぼやいてる場合じゃねぇんだよ遅刻しちまう!
ハンガーにかけていたしわだらけの制服に身を包み、去年買ったはずなのにもうくったくたになっちゃってるチャリにまたがっていつもと同じ、
変わらない、つまらない通学路を進む。
「今日の宿題やった?」
「うん!頑張ったんだ~!」
「mjk!俺にm...」おっと間違った。
「マジか!俺にも見せてっ!」
とかいう同級生の会話を聞きつつ、『あ!俺もやってねぇ!』とか思いながらチャリをこぐ。
「キィィィィィィ!」
ここのコーナーをいかに綺麗に曲がるかが唯一の通学中の楽しみなわけだが、ここの曲がり角を曲がると近道になるのだ。
200m程進んで左折。次に右折。そして左折。これがこのコースの道なりだ。
「今日も200m進んで左折~っと。」
誰もいないからこその独り言をいいながら曲がる。そう、いつものように曲がるはずだった。
「っ!?」
突然感覚が鈍った。
いや、違う。感覚は正常だ。なら何が起こったんだ。急に謎の浮遊感が身を包む。ペダルをこぐ足に今まであったはずの重い感覚がない。空回りしている。こんなことありえない。だって、道が消えているなんてことは、それこそラノベやアニメの世界の話なのだから。だらだら16年間過ごしてきたからこそ言える決定論だ。
だが、起きてしまっている事はしょうがない。うん。冷静に分析しよう。
まず、第一に浮遊感に包まれて、道がなくなりー...
やっべぇ全くわからねぇ。しかもこんな状況下で冷静になれるほうが頭逝っちゃってるよ(笑)
この状況でできることといえば............とか考えることくらいだ。
俺は何も考えずになるがままにこの浮遊感に身を任せることにした。
それしか出来ることがなかったから。本当に何もなかった。
---この時の俺には、この状況下に置かれているせいもあってか、まさかあんなことが起きるなんて考えもしなかった---
とかもないんですマジで!!!