第4話 杖大捜索!
「ごみの回収は1時間後か…。」
とノブがつぶやくと大輔は
「…しまった…もう手遅れだ…。」
と言った。
「大丈夫だよ!探せばまだあるかもしれないだろ!回収し忘れたとかで!」
とノブが言うが大輔は
「無理だ…ここの回収は時間通りにきっちり行われる…。」
と言いながらうなだれている。
「そうか…。」
とノブが言うと雪菜が
「ところでさ…回収って1時間後なんだよね?」
と言った。
「そうだけど…。」
と大輔が言うと雪菜は
「だったらまだ回収されてないんじゃないの?」
と言った。
「えっでも業者は結構正確に回収していくから…。」
と大輔が言うと雪菜は
「だから…それだったら1時間以内に探せばまだあるんじゃないの?」
と聞いた。すると大輔は立ち上がり
「そーだった!」
と言った。
「どうしたんですか?急に大声出して!」
と言いながら女性が入ってくると大輔は
「いっいや特に変なことではない…。」
と言うと椅子に座った。
「とにかく手分けして探すか…。」
とノブが言うと大輔は
「そうするしかないな…。」
と言いながら立ち上がった。
そのあとの話し合いで大輔は倉庫、ノブは大輔の普段いるところの近く、雪菜は休憩室を探すことにした。
大輔
「まったく…あれがそんなに大事なものなんて夢にも思わなかったよ…確かあれは三つあったよな…。」
と言いながらあちらこちら探している。
「しっかしどうしたものかな…大事なものならこれは大事ですぐらい書いておけばいいのに…。」
と言いながら器具倉庫内も探す。するとちょうど雪菜が言っていたぐらいの長さの棒が落ちていた。
「これかな…。」
とつぶやくとそれを拾って応接室へ向かった。
ノブ
「まったく…大輔の奴大事な杖を捨てるなんて…相変わらずと言うかなんというか…。」
と言いながら廊下から大輔の机まで様々なところを探している。
「すいません…ここらへんに杖とか捨ててませんでした?」
とノブがたまたま通りかかった男性に聞くとその男性は
「それなら…廊下の突き当たりのとこじゃないですか?」
と言いながら廊下の向こうの方を指差した。
「ありがとうございます!」
とお礼を言ってノブが廊下の突き当たりのところに行くと
「杖はここに捨てました。 企画部 大輔」
と書かれた看板がごみ箱の横に立っていた。
「えー!なんだこれ!何でこんな看板が立ってるわけ?」
とノブが一人で勝手につっこんでいると眺めの棒を持った大輔が来て
「おーどうしたんだ?ノブ。」
と聞いた。
「どうしたんだ?じゃねーよ!何でこんなにでかく書いてあるんだよ!」
「あーこれはちょっとした癖でな…それよりも見つけたぞ!」
と言いながら大輔はただの棒をノブに見せた。
「それはただの棒だし!これじゃないよ!確実に!」
とノブが言うと大輔は
「違うの!」
とかなり驚いた表情を見せた。
「まったく…。」
と言いながらノブはごみ箱から杖を取り出し
「雪菜が他のを見つけてるかもしれないからいったん戻るか…。」
と言いながら応接室の方へ歩き出した。
雪菜
「カカラーンの杖は三種類だから…どれも一つずつだとして休憩室にあるかだよな…。」
と言いながら休憩室の中を探している。それからしばらく探したが一向に見つかる気配がない。
「疲れたな…。」
と言いながら休憩室の椅子に座った。すると休憩室の近くにある扉が雪菜の視界に入った。
「そうだ!」
と言うと雪菜は近くにあったエレベーターのボタンを押す。
「まったく…最初にこれを思い付けばよかった…。」
と言いながらエレベーターに乗り込んでとあるところへ向かった。
それからしばらくして杖を二つ見つけた雪菜は応接室へと戻って行った。
ノブと大輔が応接室に戻るとすでに雪菜が杖を二つ持って待っていた。
「さすが雪菜!」
とノブが言うと雪菜は
「まぁ…ここがHHRグループの会社だったからね…。」
と言った。
「HHRだから?まぁいいか…ともかく見つかってよかった!」
と大輔が言うと雪菜は
「まぁ今度から気を付けた方がいいわね。」
と言った。大輔が
「はい…。」
と元気なく答えると雪菜は
「ねー!せっかく二鳥まで来たんだしせっかくだから観光していかない?二鳥大社とか!」
と言いながらノブの手を引っ張る。
「わかったよ…でも電車の時間があるから少しだけな…。」
とノブが言うと雪菜は
「はーい!」
と元気よく答えて二人で部屋を出ていく。
「ちょっと待て!」
と大輔が呼び止めるとノブは
「どうしたんだ?」
と言いながら振り返る。
「これは俺からの依頼料として受け取ってくれ…南国駅までの特急夏風の特急券と古都新川町駅までの切符…もちろん雪菜ちゃんの分もあるから…もちろん残りの分の依頼料も入ってる…。」
と言いながら茶封筒を渡した。
「おーそうかそうか…それじゃぁ今度何かあったら俺のところ来いよ!」
と言いながら雪菜と共に帰って行った。
「はぁーまったく…一時はどうなる事かと思ったけど…終わりよければすべてよしってことでいいかかな…。」
とつぶやくと自分の上司のところへ向かった。
この後大輔が杖を捨ててしまったことがなぜか社員全員が知っており大輔は上司にこっぴどく叱られたそうな…。
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