8月だけの、片思い ⑤
ご覧いただきありがとうございます。
本作は、実話をもとに再構成した「叩き上げ公務員」の半生を描くサクセスストーリーです。
学歴もコネもなく、定時制高校からスタートした主人公。
決して順風満帆ではなかった彼が、どのような葛藤や壁を乗り越え、霞ヶ関の本省、そして幹部へと駆け上がっていったのか。
実際の官僚機構や他省庁でのリアルな泥臭さ、そして人生後半での新たな挑戦までを丁寧に描いていきます。
働くすべての人、そして逆境から這い上がりたい人に届く作品になれば幸いです。
ぜひ最後までお付き合いください!
吉田弘樹とのドライブを楽しんだ後、下宿先の叔母のところ戻った浩一は、叔母から言葉により、その余韻は打ち消された。
「浩ちゃん、お帰り。ちょっといい?」
「何?」
「お母さんから聞いてない?」
「何を?」
「浩ちゃんのお母さん、家計がたいへんみたいなんだよ。4月に浩ちゃんが、叔母さんちに来たでしょ。その時に、食事代や諸々を貰ったのだけど、それから、貰ってないの。で、聞いたらね、ちょっと待ってて言われて、4ヶ月待ってるのだけど…」
「えっ、そうなの?」
「浩ちゃんは、赤ちゃんの時から世話して、オムツも替えてあげたりして、自分の子のように思ってるの。でもねー、主人の手前もあってね…」
「叔母ちゃん、ごめんね。全然、知らなかった」
「本当は、知らなくていいのよ。でも、一緒にいて、助けてあげたほうがいいよ。だから2学期から家に戻ってあげて」
もう下宿出来ない?
夏休みが明けの「手紙」作戦は?
敦っちゃんは?
何で、何で、そうなるの?
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
吉田先輩との楽しいドライブの余韻も束の間、浩一を待ち受けていたのは「下宿を出なければならない」というあまりにも切ない家庭の現実でした。
せっかく見つけた新しい居場所、そして夏休み明けに控えていた「手紙作戦」の行方は一体どうなってしまうのか——?




