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〜もう公爵家の人間ではございませんしわたくしはあなたから何もお受けしておりませんから〜追放された令嬢はエルフに拾われ真の実力を引き出されて薬草の知識と回復魔法を使い人助けをしていく

作者: リーシャ

ルネリア公爵家。


その名は、古くから王国の歴史に深く根差し、代々優秀な人材を輩出してきた名門中の名門。


しかし、その輝かしい名声の陰で、一人の少女が冷遇されていた。


名は、リゼット・ルネリア。


「はぁ、早くなんとかしないと」


公爵家の長女でありながら、常に日陰の存在。


母は、公爵の正妻ではない。


公爵が旅先で出会ったという、身分も知れぬ女性との間に生まれたのだ。


その出自ゆえに、幼い頃から継母とその娘である異母妹たちから虐げられてきた。


食事は残飯、着るものはボロ布、教育もまともに受けさせてもらえず、使用人以下の扱い。


唯一の慰めは、公爵家の書庫に忍び込み、独学で知識を吸収すること。


書物は、外の世界の広さと、まだ見ぬ可能性を教えてくれたが、そんなささやかな安寧も、ある日突然、打ち砕かれる。


異母妹であるヒシリアナが、隣国の若き国王、ベズベイモ王子との婚約を勝ち取ったのだという。


ヒシリアナは美しく、社交性も高く、公爵家の娘として完璧に育てられた。


誰もが彼女こそが王妃にふさわしいと称賛する婚約発表の夜。


公爵家の広間で行われた祝宴の席で、壇上から呼び出された。


まさか、何か良いことが。


という淡い期待は、公爵の一言で打ち砕かれた。


「リゼットよ。お前には、ルネリア公爵家の名に泥を塗るばかり。このたび、ヒシリアナがベズベイモ王子と婚約した。これは我が家の誉れ。お前のような瑕疵ある存在は、もはや必要ない。今から、お前をルネリア公爵家から追放する」


その言葉に、広間は静まり返った。


誰もが驚きの目で見る。


「えっ」


視線の中に、同情の色はほとんどない上に、これで厄介者がいなくなった、と安堵する者もいるようだった。


ヒシリアナはにこやかに、手を取り、囁く。


「リゼット姉様、お疲れ様でしたわね。これからは、自由に生きなさいまし」


その声には、嘲笑が込められていた。


呆然と立ち尽くす。


追放。


この日から、ルネリア公爵家のリゼットではなくなる。


家も、家族も、居場所も、全てを失う。


夜のうちに、僅かな荷物と、公爵から投げ渡された小銭を握りしめ、屋敷を追い出された。


降りしきる雨の中、ただ茫然と歩く。


どこへ行けばいいのか、何をして生きればいいのか、何もわからなかった。


どれくらい歩いただろうか、意識が朦朧としてきた頃、見慣れない森の中を彷徨う。


「ぐ!」


その時、足元が滑り、深い谷底へと転落。


「かは!」


意識が遠のく中、脳裏には、冷酷な家族の顔が焼き付いていた。


次に目を覚ました時、見知らぬ天井を見上げる。


清潔で簡素な部屋だ。


横には、銀色の髪を持つ、美しい女性が微笑んでいる。


「目が覚めたのね。よかったわ。深い傷を負っていたけれど、回復魔法でどうにか命は取り留めたわ。」


彼女の名は、シルヴィアというらしい。


「あの」


森の奥深くに住む、エルフの賢者だというではないか。


転落した場所は、人里離れた場所にあり、偶然にも彼女が通りかかったおかげで助けられたのだと知った。


自分の身の上を正直に話す。


ルネリア公爵家での冷遇、そして追放されたことをシルヴィアは静かに話を聞き、最後に優しく微笑んだ。


「辛かったでしょう。でも、もう大丈夫よ。あなたは、今、新しい生を手に入れた。ルネリア公爵家のしがらみから解き放たれて、自由になったのよ。」


シルヴィアは、この森で暮らすことを提案してくれた。


エルフの里は、人間からは秘匿された場所。


そこならば、誰にも邪魔されることなく、静かに暮らせるだろうとの提案を二つ返事で受け入れた。


エルフの里での生活は、人生を大きく変えるようにシルヴィアは、様々なことを教えてくれた。


薬草の知識、魔術の基礎、そして何よりも、自分自身を信じることの大切さ。


幼い頃から知識欲が旺盛だったが、まともに教育を受けられなかったため、才能を開花させることができなかった。


シルヴィアは知的好奇心を尊重し、惜しみなく知識を与えてくれる。


書庫には、人間界では見られないような、古の魔法書や文献が所狭しと並び、夢中でそれらを読み漁り、魔法の練習に没頭。


特に、回復魔法と治癒魔法に天性の才能があることを知ると、シルヴィアも驚くほどのスピードで、複雑な呪文を習得し、病気や怪我を治せるようになった。


それは、心に新たな希望を灯す。


「リゼット、あなたには人を癒やす力がある。その力を、人々を助けるために使いなさい」


シルヴィアの言葉は、心を奮い立たせた。


もう、あの理不尽な家族に虐げられるだけの無力な存在ではない。


新しい自分として、この世界で生きていけると確信を得る。


エルフの里で数年が過ぎた。


リゼットはもはや、以前の面影をほとんど残していなかった。


痩せ細っていた体は健康的に引き締まり、知識と魔力は格段に向上し、この森に住む動物たちや、エルフたちの病気や怪我を治し、感謝されるたびに、生きる喜びを得ている。


エルフの里を離れ、人間界に戻ろうと決めた。


自分を追放した家族に復讐するためではなく、否定した彼らに、どれだけ成長したか、そして、どれほど愚かであったかを、示してやりたかったから。


シルヴィアは決意を尊重し、旅立ちの前に一つ忠告してくれる。


「リゼット、人間界は、あなたがいた頃と何も変わっていないわ。あなたを害する者もいるでしょう。揺るぎない強さがある。困難にぶつかった時は、この森で得た知識と経験を思い出すのよ」


深く頭を下げ、シルヴィアに感謝の言葉を述べ、新たな旅立ちの準備を始める。


人間界に戻ると、まず、以前から興味のあった魔法薬の研究を本格的に始め、エルフの里で培った薬草の知識と回復魔法の技術を応用し、様々な効果を持つ魔法薬を生み出す。


作った魔法薬は、瞬く間に評判となり神秘の薬師として、人々の間で知られるようになった。


「薬をもらいたいのですが」


「はい。症状をお教えください」


現在は、とある国の王都で薬師として店を構えている。


そこへ、見慣れた紋章の馬車がやってきたことで、ルネリア公爵家の馬車だと、心がざわつくのを感じた。


馬車から降りてきたのは、ヒシリアナであり、彼女は以前にも増して華美な衣装を身につけ、護衛を連れている。


その顔には、以前の輝きはなかったし、やつれているように見える。


ヒシリアナは店に入ってくるなり、戸惑った様子で見た。


誰なのか、すぐに認識できないようだった。


無理もない。


以前とは全く違う容貌になっていたから。


「あ、あの。ここが、神秘の薬師の店でしょうか?」


ヒシリアナは震える声で尋ねた。平静を装い、頷いた。


「はい、そうでございます。どのようなご用件でしょうか?」


「実は、私、病に伏しているのです。王宮の医者も、神殿の聖女も、誰にも治せない。どうか、あなた様の力で、救ってください!」


ヒシリアナはそう言って、深く頭を下げた。


昔の傲慢な態度は見る影もないので、彼女の顔を注意深く観察すると確かに、顔色は悪く、目の下には深い隈がある。


病は、エルフの里で学んだ知識の中にある、ある特殊な呪いによるものだとすぐに看破。


「失礼ですが、あなた様は、ヒシリアナ様でいらっしゃいますか?」


問いに、ヒシリアナはハッとしたように顔を上げた。


「なぜ、名を?」


「以前、ほんの少しだけ、お会いしたことがございます。リゼットと申します」


静かに自分の素性を明かした。


ヒシリアナは驚きに目を見開き、そして、青ざめる。


「リ、リゼット!?まさか、あなたが、なぜ、こんなところに」


「様々なご縁がございまして。それよりも、あなた様の病ですが、これは通常の病ではございませんね。おそらく、呪いの一種でしょう」


言葉に、ヒシリアナはがくりと膝を折った。


「やはり、呪い……!私、誰にも話していなかったのに……なぜ、あなたがそれを……」


ヒシリアナは怯えた様子で見た。静かに語りかけた。


「ルネリア公爵家を追放されてから、エルフの賢者のもとで、様々な知識と技術を学びました。その中には、魔術や呪いに関するものも含まれます」


ヒシリアナは絶望に顔を歪めた。


「治せるのですか……?この呪い」


少し考え、答えた。


「治すことは可能です。しかし、これは複雑な呪いゆえ、それ相応の対価を頂戴いたします。また、治療には時間がかかります」


ヒシリアナは必死の形相で懇願した。


「どんな対価でも構いません!どうか、助けてください!このままではっ、このままではっ」


ヒシリアナの顔を見つめ、心の中で冷たい笑みを浮かべた。


かつてゴミのように扱った異母妹が、今、足元にひざまずいている。


この状況は、まさしく因果応報。


しかし、彼女を救うことに決めた。復讐のためではない。


もう、過去の恨みに囚われたリゼットではないのだ。


エルフの賢者の教えを受け、人々を救うことを選んだ「神秘の薬師」なのだから。


治療の条件として、ヒシリアナにいくつかの要求をした。


一つは、高額な治療費。


もう一つは、ルネリア公爵家が所有する、ある古文書の閲覧権限。


そして最後に、ルネリア公爵家を追放された際に、公爵家が所有していた母の形見の返還。


母の形見は、公爵家が出自を隠蔽するために没収したもの。


ヒシリアナは躊躇することなく、要求を全て受け入れた。


病の苦しみは、彼女の傲慢さを打ち砕いていたのだな。


ヒシリアナの治療は数ヶ月に及んだ。


その間、彼女に、呪いの本質。

なぜそれが、彼女にかけられたのかを説明。


呪いは、彼女と婚約していたベズベイモ王子が、王位継承のライバルであったヒシリアナを排除するためにと。


密かに魔術師に、依頼してかけたものだった。


ヒシリアナは、その事実に愕然となる。


彼女が信じ、愛した王子が、自分を陥れようとしていたと知り、深い絶望と怒りに打ち震えた。


「なんて愚かだったのでしょう……はぁ」


彼女は涙を流しながら、何度も謝罪した。


自分が踏みにじってきた全ての人々に。


ただ静かに、彼女の言葉を聞いた。


復讐の幕引きはここから。


ヒシリアナの呪いが完全に解け、彼女が回復した頃、彼女に告げた。


「あなた様は、ご自身の力でこの呪いを解くことができるようになりました。そして、ご自身が何をすべきか、もうお分かりのはずです」


ヒシリアナは力強く頷いた。


以前のような弱々しさではなく、強い意志の光が宿っている。


ヒシリアナは王宮に戻ると、自らの口から、ベズベイモ王子の陰謀を暴露。


彼が自分にかけた呪いの証拠を提示。


ベズベイモ王子は、即座に逮捕され、王位継承権を剥奪。


この事件は、王国中に衝撃を与え、ベズベイモ王子は、魔術師と結託して王位を狙った罪で処刑された。


ルネリア公爵家も、この件で大きく揺れる。


呪われた原因がベズベイモ王子の陰謀だったこと。


その呪いを解いたのが、かつて追放したはずのリゼットだったこと。


ヒシリアナが王宮で自分の身に起こった全てを公表したことで、ルネリア公爵家の評判は地に落ちた。


公爵は、激怒した王から厳しく咎められ、全ての爵位を剥奪。


継母と異母妹たちは、それまで得ていた特権を全て失い、路頭に迷うことに。


その頃、ルネリア公爵家が没収していた母の形見。


約束されていた、古文書を受け取るために、公爵邸を訪れた。


追い出した公爵邸は、以前の輝きを失い、陰鬱な雰囲気に包まれている。


ふーん、と冷たく一瞥。


公爵は、見る影もなく憔悴しきっていた。


首を傾げ、先を見る。


顔を見るなり、彼は膝をつき、震える声で懇願した。


「リゼット……頼む……我が家を、爵位を……どうか、助けてくれ……」


静かに公爵を見下ろした。


ゴミのように扱い、見向きもしなかった男が、今、足元にひざまずいている。


この光景は、とって何よりも甘美な復讐。


「公爵様。わたくしは、もうルネリア公爵家の人間ではございません。あなた様から、何もお受けしておりません」


言葉に、公爵は絶望に顔を歪めた。


「しかし、ヒシリアナは……ヒシリアナは、お前が助けたのだろう……!それだったらっ」


「ヒシリアナ様は、自らの力で病を克服いたしました。わたくしは、対価として、正当な報酬を頂戴いたしました。それ以上のことはございません」


冷たく言い放つ。


彼を助ける気など、最初からなかった。


彼らは、追放したあの瞬間から、とって家族ではなかったのだろう。


母の形見と古文書を受け取ると、何も言わずに公爵邸を後にし、振り返ることはなかった。


その後、神秘の薬師として、王国中にその名を轟かせ、店には、病に苦しむ人々だけでなく、珍しい魔術や呪いを解き明かしたいと願う学者や魔術師たちが、連日押し寄せる。


エルフの里で得た知識と経験を活かし、彼らの期待に応え続けるある日、王宮から招待を受けた。


現在の国王が、功績を称え、王宮付きの薬師として迎え入れたいというのだ。


一も二もなく、申し出を喜んで受け入れた。


王宮の書庫には、まだ読んだことのない文献が山ほどあるだろうと、知識と技術が、より多くの者らを救うことができるだろうと確信したから。


王宮での生活は、以前とは想像もできないほど充実したものになる。


国王や貴族たちの信頼を得て、王国の発展に貢献、作った魔法薬は、戦場の負傷者を救い、疫病から人を守った。


勲章も授与され。


王国で最も優れた治癒魔術師として、名を後世に残すことになった。


(なにもかも、あの日から始まった)


ルネリア公爵家のことは、もはや心にはなかった。


彼らは、過去の遺物。


進むべき道は、未来へと続いている。


ある晴れた日に、王宮の庭園で、薬草の手入れをしていた時、一人の若い騎士が話しかけてきた。


王宮で最も優秀な騎士であり、何かと気にかけてくれる存在で、メイドや、下働きの人たちの噂にもよく登場するほど。


「リゼット様、今日も素晴らしいですね。あなたの手にかかれば、どんな枯れた植物も、生き返るかのようです」


優しく微笑んだので、微笑み返した。


「ありがとうございます。植物も、人も、適切な手入れと、諦めない心が大切なのですよ」


意見も合うし、言葉に真剣な光を宿している彼となら、新しい未来を築けるかもしれない、と漠然と思う。


人生が始まり、理不尽な世界で虐げられながらも、自分を信じ、努力し出会いによって、大きく成長させてもらえた。


王宮の庭園で、枯れた薬草の手入れをしていた。


隣には、いつもと変わらぬ笑顔で、王宮騎士団の若き精鋭、ハーバスが立っている。


彼とは、王宮付き薬師となってから、自然と親しくなっていったのだ。


彼の真摯な人柄と、時折見せる優しい眼差しに、気づかぬうちに心を許していた。


ちょっとちょろいかも?


その瞳に見つめられると、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じる。


知らなかった感情。


王宮での日々は、順調に過ぎていた。


しかし、ある日、平和な日常は突然の報せによって打ち破られた。


「リゼット!ハーバス!至急、謁見を求める!」


「陛下、何か緊急事態でしょうか?」


「そうだ!国境で、原因不明の奇病が流行している。感染すると全身が紫色に変色し、数日中に命を落とすという……」


「なんと……それは恐ろしい病ですね」


「リゼット、お前に命じる。この奇病の治療法を見つけ出せ!ハーバス、お前は騎士団を率い、国境の警備を強化せよ」


王命が下された。


「かしこまりました、陛下。全力を尽くします」


「必ずや、ご期待に沿います。」


二人は頭を下げた。


研究室の一室に籠ることになる。


「リゼット様、少し休んではいかがですか?顔色が悪いです」


「大丈夫です、ハーバス様。一人でも多くの命を救うため、休んでいる暇はありません」


「ですが、このままでは、リゼット様のお体が心配です」


気持ちは嬉しいが。


「……ご心配、ありがとうございます。でも、この病は、通常の病とは違う気がします。まるで、呪いのような……」


「呪い……ですか?」


「ええ。エルフの里で学んだ知識が、そう囁いているのです。」


そんなことを話している間にヒシリアナからの密書が届く。


「……この筆跡は、ヒシリアナ?」


密書を読み進める。


「やはり、ゾルディック……!生きていたのか……!」


急ぎ、彼へ伝える。


「ハーバス様、大変です!この奇病は、やはりゾルディックの黒魔術によるものです!」


「ゾルディック!?あの、ベズベイモ王子の……!」


「ええ。彼が、王国への復讐のために、この奇病を広めているようです。そして、リゼットへの憎悪も……」


「許せない!奴を捕らえます!」


「待ってください、ハーバス様。彼の闇の魔術は強力です。通常の魔法では対抗できません」


憤る彼を落ち着かせる。


「では、どうすれば……!?」


「私も前線に出ます。エルフの里で学んだ精霊魔法ならば、対抗できる可能性があります」


「リゼット様、危険すぎます!あなたは王国の宝です。もしものことがあれば……!」


覚悟している。


「私も、この王国の一員です。この奇病を治すのは、使命です」


「……わかりました。ですが、決して無理はなさらないでください。必ず、あなたをお守りします」


「……ありがとうございます」


出発した先の廃墟にて、彼と対峙する。


「まさか、お前が来るとはな、リゼット。あのゴミのような公爵家の娘が、ここまで成り上がるとは、面白い。だが、お前もここで終わりだ!」


「ゾルディック!あなたの憎悪は、あなた自身を滅ぼすだけ!」


「黙れ!お前は何もわかっていない!苦しみを……!」


「あなたの主は、あなたを道具としか見ていなかった!そして、ルネリア公爵家は、あなたを利用しただけだ」


言葉に気を取られたので、すかさずきめる。


「ぐぅっ……!」


「リゼット様、今です!」


「精霊よ、光の力を我に……!」


あっという間に、男を拘束。


「リゼット様、お疲れ様でした。本当に、ご無事で何よりです。」


「ハーバス様も、お疲れ様でした。あなたがいなければ、ゾルディックを倒すことはできませんでした」


「いいえ、あなたの力があったからこそです。あなたは、本当に強い方だ」


礼を述べた。


「リゼット様……、あなたを守りたい。これからもずっと、あなたの傍にいたいと、そう願っています。」


「ハーバス様……はい」


告白され、赤くなる。


「あなたの過去も、あなたの未来も、全てを共に歩みたいのです」


この人とならば、信頼し合えるはず。


「……私で、よければ」


「っ……!ありがとうございます、リゼット様……!」


思いっきり抱きしめられた。




数年後。


「リゼット、ハーバス。二人の結婚を、心より祝福する」


王が言葉を発した。


「リゼット姉様、ご結婚おめでとうございます。本当に、お幸せになってくださいね」


身内も来てくれた。


「ヒシリアナ、ありがとう。あなたも、幸せになってね。」


「リゼット、君と出会えて、本当に良かった。」


「私もよ、ハーバス」


笑みを浮かべて、花束を放り投げた。

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