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序章 プロローグ  作者: 鈴乱
始まり
3/12

はじめまして、こんにちは。



夕飛(ゆうひ):ちょっと、兄ちゃん!! 僕のパソコン、勝手に使わないでよ!


鈴乱(すずらん):え~? いいじゃん、ちょっとくらい~。


夕飛(ゆうひ):ダメ! 兄ちゃん、大人でしょ! パソコンくらい自分の買ってきなよ!


鈴乱(すずらん):だって……パソコン買ったら、俺の給金全部、なくなっちゃうもん……。


夕飛(ゆうひ):兄ちゃん……。僕、何度も言ってるじゃないか。『転職したら?』って。


鈴乱(すずらん):そうは言っても、今のところも悪いところじゃないし~。結構長いこと、世話になってるし~……。(辞めにくいっていうか~……)


夕飛(ゆうひ):兄ちゃん。いいかい。世話になってるからって、僕らには生活があるの。生活するに不自由ばっかりの仕事は、ぶっちゃけ、僕に言わせれば、仕事じゃない。仕事じゃ……うっ……(夕飛(ゆうひ)に1万のダメージ……)


鈴乱(すずらん)夕飛(ゆうひ)、お前……。自分で自分のトラウマを掘り起こすなんて……、なんて見上げた奴だ……。


夕飛(ゆうひ):ううっ……いつも、見下ろしてる兄ちゃんに言われたくない……。(物理的意味で)


鈴乱(すずらん):そんなっ、俺が夕飛(ゆうひ)を見下ろすわけがないじゃないかぁ~。はっはっは。だって、俺は……見下(みくだ)されるのが、何より一番好きなんだから!!


夕飛(ゆうひ):う、うぅ……。(プライド劇高な兄ちゃんを見下ろせる奴なんて、どこにもいないよ……)


鈴乱(すずらん):あれ? ま、マジでヤバイやつ!? きゅっ、救急車呼ぼうか!?


夕飛(ゆうひ):や、やめて……。マジでやめて……。昔のトラウマ思い出して救急車とか……一家末代(まつだい)までの恥……。


鈴乱(すずらん):いやいや、恥より命でしょ!? 命あっての物種(ものだね)でしょ!? や、やっぱ救急車……。


夕飛(ゆうひ):(スン)いや、マジで大丈夫。全然、問題なし。うん。アレは過去。あれは昔。あれは……(気が遠くなる)


鈴乱(すずらん):お、おーい! 夕飛(ゆうひ)ー? 夕飛(ゆうひ)く~ん!?


夕飛(ゆうひ):すやぁ……(寝息を立てて眠りこける)


鈴乱(すずらん):……寝ちゃった。……たぶん、夜中遅くまで誰かの話聞いてたんだろうな。仕事っちゃ仕事だけど……流石にやりすぎ。やりすぎだよ、夕飛(ゆうひ)


夕飛(ゆうひ):(寝言)うぅ……タイムマシンなんて……き、聞いてない……。嫌だ……嫌だ……。あの頃の僕なんて、僕なんて……見たくな~い……うぅ……人生は、なんて……無情……


鈴乱(すずらん):まぁ……一応、元気は元気? 元気、ってことでいいのか? いいのかな……?


(しばしの沈黙)


鈴乱(すずらん):やっぱ、しばらく取り上げるべきかなぁ、パソコン。俺はパソコンより夕飛(ゆうひ)の体が心配だよ。俺、医者でも何でもないし……。


夕飛(ゆうひ):はっ(起きる)。おはよう! 今、何時!? 何年何月何日の、何時!?


鈴乱(すずらん):えーと、令和7年の5月4日、たぶんみどりの日、20時過ぎたところ。


夕飛(ゆうひ):レイワ!? レイワ!! ……って、西暦何年?


鈴乱(すずらん):西暦? えっと、2025年……。(夕飛(ゆうひ)、寝ぼけてんのかな……?)


夕飛(ゆうひ):あぁー、よかった。良かった。帰ってこれた。


鈴乱(すずらん):夢の中でどこに行ってたの? なんか、うなされてたみたいだけど……。


夕飛(ゆうひ):……にんじん帝国……。


鈴乱(すずらん):(ゴクリ……)そ、それは、如何(いか)(よう)で……?


夕飛(ゆうひ):何から何まで人参(にんじん)で、出来てて、にんじんの王様とお(きさき)さまが冷戦を繰り広げて、冷夏(れいか)になるっていう……。


鈴乱(すずらん):そ、そりゃ大変だ!


夕飛(ゆうひ)夕飛(ゆうひ)が丁度いいところにいて、王宮にさらわれて……『ゆでた人参と焼いた人参、どっち派だ!?』って詰められてた……。


鈴乱(すずらん):して、その心は!?


夕飛(ゆうひ):『どっちも好きな人にとってその質問は失礼極まるんじゃないですか』って、いつもの調子で答えたら……しょっぴかれて、牢獄に入れられた……。にんじんの……。


鈴乱(すずらん):……お、おつかれさま。な、何か作ろっか……? 何か、元気の出るような……


夕飛(ゆうひ):カレーライス……。


鈴乱(すずらん):それは……その、一般的には人参が入ってる料理ですけども……。


夕飛(ゆうひ):そう。だから……人参は僕に任せて……。


鈴乱(すずらん):……どうなさるおつもりで?


夕飛(ゆうひ):とびっきり丁寧に皮向いて、とびっきり丁寧にお化粧して、とびっきり綺麗に型抜いて……とびっきりぐちゃぐちゃにしてやる……!


鈴乱(すずらん):あああぁ……、殿がご乱心だ~! 殿がご乱心あそばする~!! 逃げて~、人参~!!


夕飛(ゆうひ):ひっひっひ……! この僕に立てついたこと……、後悔させてやる……!


鈴乱(すずらん):今日は……人参カレーかな……。(遠い目)


夕飛(ゆうひ):もういっそ、生放送してやる! 見てろ、にんじん帝国!! 俺が正しかったと……すべてに認めさせてやる……!!


鈴乱(すずらん):……こうして、人参の運命は決まり、足のない人参は、無残にも夕飛(ゆうひ)の魔の手(=料理の腕)にかかり、(最後まで)綺麗に美味しく頂かれたのでした。(※人参カレーは、責任を持って、スタッフ(鈴乱)がすべて食らい尽くしました。怒らないで下さい)


夕飛(ゆうひ):兄ちゃん!


鈴乱(すずらん):はいぃ!!(焦り)


夕飛(ゆうひ):……手伝って♡


鈴乱(すずらん):(うわぁ……急な配信モード……)りょう、かい☆


黒灰(くろはい):(遠くから)おーい、バーチャル放送局サボんな、二人とも~!!


夕飛(ゆうひ)鈴乱(すずらん):ご飯出来たらね~!!!




白灰しろはい:ご飯と聞いて♡(来ちゃった♡)

黒灰くろはい:ご飯と聞いて……(白灰に)引っ張られてきました。どーも。


あか:みんないるって聞いてさ~。走ってきた!

きん:……何か企んでそうだから、様子見に来た。……大丈夫そ?


―――――――――

……おやおや。これはこれは。どうやら、にぎやかな食卓となりそうな予感……。

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